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渋谷区が2023年度の予算案発表 「未来の学校プロジェクト」に8.8億円

予算案の概要を発表する長谷部健渋谷区長

予算案の概要を発表する長谷部健渋谷区長

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 渋谷区が2月6日、2023年度の当初予算案を発表した。

玉川上水旧水路の代々木緑道の再整備イメージ

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 コロナ禍の「出口が見えつつある時期」であるなか、高齢者のデジタルデバイドの解消など進めてきたDX化も踏まえ、コロナ禍からの「出口から先」を想定。区制施行100周年を見据えた「ひとづくり」「まちづくり」など「未来への投資」に重点を置いた。

 財政規模は、一般会計は総額1,126億2,800万円で、対前年度比6.0%増という過去最大の予算規模。特別会計と合わせた総額は1,623億2,800万円で同4.6%増となる。歳入の大半を占める特別区税は、ふるさと納税に伴う減収が拡大しているが、来年度は56.9億2,600万円と対前年度比6.5%増となる。2020年に始めた渋谷区のふるさと納税は、コロナ禍もあり「コト消費」が伸び悩んだが、飲食店の食事券が好評など、本年度は昨年12月末現在で前年同時期の倍近くなる8億3,000万円程度と増えているという。

 8億7,900万円を計上する「未来の学校プロジェクト」は、建物の老朽化に対する「学校施設長寿命化計画」を具体化する事業として本格始動。学校施設建て替えや「新たな」学びの提供など「未来の学校」づくりの推進を図る。建て替えは青山病院跡地とスポーツセンターに仮設校舎を設けながら、今後20年間を目標に区内の小中学校25校(小学校18校、中学校8校(小中一貫校1校含む))、幼稚園2園の建て替えを順次行う。

 新校舎の完成に先駆けて、2025年度に運営開始を予定する青山病院跡地の仮設校舎では、可動式の椅子や多様な形の机を導入するほか、現在行っているオンラインでの海外との交流に加えて仮想空間での学びなど、テクノロジーを取り入れるなど、ラーニングコモンズ(学生主体の学習を支援する空間)を整備。防犯対策を講じた上で地域に開放することを前提に検討している。

 2021年から検討・推進する部活動の地域移行「シブヤ部活動改革プロジェクト」(2億800万円)ではサッカーやデジタルクリエーティブ&eスポーツ、料理・スイーツマスターなど9種目は引き続き実行。同プロジェクトを実施する一般社団法人「渋谷ユナイテッド」と連携して、代々木中学校と原宿外苑中学校をモデル校に位置付け、両校の部活動を地域移行し効果検証などを行う予定。

 2017(平成29)年度から検討を進めている、延長約2.6キロに及ぶ玉川上水旧水路緑道を、「FARM」をコンセプトに再整備する事業には11億100万円と最も多い予算を計上。今年に入ってから古損木撤去や試掘工事など工事に着手。来年度は詳細設計や整備工事・電線類地中化の詳細設計・都市計画道路の見直しを進め、2024年度以降に整備工事・電線類地中化の工事を行う予定。終了時期が確定していない長期にわたる事業となっている。

 明治神宮鎮座100年を機に整備を進めている、明治神宮の参道の一つである西参道と隣接する首都高速道路4号線の高架下の一部の再整備「西参道プロジェクト」の一環となる「駒テラス西参道」は2月20日に完工し、今夏のオープンを予定。開業準備などに2,000万円を計上。同施設は伝統文化の発展や地域の魅力向上に関する協力協定を結んでいる日本将棋連盟が運営するホール・ギャラリー・スタジオ・カフェと区立公園で構成する。同じく今夏オープンする渋谷区ふれあい植物センターのリニューアル事業には4億4,100万円を計上。植物の観賞機能に加えて、水耕栽培などの屋内栽培機能や「地産地消」をコンセプトにしたカフェなどを新たに設ける。

 路上飲酒に起因するごみや、スケートボードの騒音などの問題が「浮き彫りに」なったなか、電気自動車の「青色防犯灯付きパトロール車」(通称「ハチパト」、5台体制で常時3台運行)や民間に委託する徒歩(12人で金曜・土曜の深夜~早朝を原則とする)パトロールは6月から始める予定。予算は1億9,900万円。

 昨年11月に始めたデジタル地域通貨「ハチペイ」は1月末時点で4万ダウンロード(マイナンバーでの区民認証者数は1万7000人)されているほか、加盟店舗数は2100店、決済金額は約3億円に上る。利用者向けのキャンペーンや店舗向けの機能追加など総合的な推進を目指し4億9,000万円を計上する。

 今年、渋谷駅前に設置されている忠犬ハチ公像のモデルである秋田犬・ハチが生誕100年を迎えるなか、ハチの出身地秋田・大館市などと連携しながら、駅前広場でのイベント、記念冊子の制作、音楽祭・芸術祭などとの連携企画などを検討している。予算は1,000万円。

 渋谷区障がい者福祉センター代々木の社への児童発達支援センター併設や、保育所など訪問支援の拡充など、多様化・複雑化する子どもや家族の課題に対する支援や支援機関につなぐ相談機能の拡充(1億3,300万円)、不妊症・不育症ピアサポート(550万円)、区役所などに「福祉なんでも相談窓口」を設置したり「地域福祉コーディネーター」を増員したりする重層的支援体制整備事業(7,600万円)、帯状疱疹ワクチン助成(7,500万円)なども計上する。

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