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「渋谷の庭」、16年の歴史に幕 渋谷区ふれあい植物センター、大規模改装で休園へ

「『渋谷の庭』を愛してくれてありがとう」と感謝の言葉を口にする宮内元子園長

「『渋谷の庭』を愛してくれてありがとう」と感謝の言葉を口にする宮内元子園長

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 渋谷区ふれあい植物センター(渋谷区東2、TEL 03-5468-1384)がリニューアルのため12月28日で長期休園する。

熱帯植物を中心に年間通して約500種類の植物を育てている

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 2005(平成17)年4月10日、渋谷清掃工場の電気を使う還元施設として開園し、渋谷サービス公社(渋谷1)が運営してきた同センター。敷地面積は553.82平方メートル。地上4階建てで延べ床面積は773.39平方メートル。企画展示を行うホール50人収容の多目的ホールを併設している。

 1~2階が吹き抜けになっている園内は温室で、熱帯植物を中心に年間通して約500種類の植物を育てている。新型コロナウイルス感染症流行後は中止しているが、ホタル観賞会など季節に合わせたイベントを行ってきた。リニューアル後は温室ではなくなるため、現在育てている植物は協会を通じて譲渡先を募っている。

 利用者数は、初年度は1万7078人(うちボランティアは1041人)。翌年は1万3758人(同1845人)と最も少なかったが以降はおおむね右肩上がりで、最も多かったのは2018(平成30)年で3万4755人(同1704人)だった。

 2006(平成18)年から勤めている宮内元子園長は、渋谷区の中学生が同センターに職場体験学習に訪れたことをきっかけに園芸高校や農大に進学したこともあったと言い、「誰かの人生に関われたのかな」と振り返る。「植物と人間、人と植物園の架け橋になること」を目指してきたなか、「当園をきっかけに、他の植物園に行ってみよう、花を買おうなど何でも良いので一歩踏み出してほしい」と話す。リニューアル後は運営会社も変わる。宮内園長は「寂しいという気持ちしかない」と心境を吐露しつつ、「『渋谷の庭』を愛してくれてありがとう」と感謝の言葉を口にする。

 区は当初、バリアフリー工事を予定していたが、高温多湿による通路の傷みやさび、漏水などがあるほか、温室用ボイラーの更新時期、設備機器の不具合があるなど課題があったことから大規模なリニューアルを決めた。昨年の補正予算で決まってから具体的に計画を進めてきたという。

 区では昨年、リニューアルに向け郵送・インターネットでアンケート調査を実施。10~60代以上の1152人(区民373人、区外779人)の回答があったなか、リニューアルに際し新たに導入する機能として「家庭でできる野菜の育て方、家庭菜園の知識を得る」(405件)、「野菜を栽培して、生育過程を体験できる」(327件)などに対する意見が上位に上がった。

 リニューアル後は、これまで取り組んできた自然と触れ合う機会の提供に加え、「農と食の発信拠点」を目指す。ハード面では、老朽化箇所の改修、緊急時の避難通路の確保、エレベーターや多機能トイレの新設、高効率省エネ機器への更新などを行う。ソフト面では、植物の展示のほか、水耕栽培による野菜の栽培、そこで収穫した野菜を使ったワークショップ、料理教室、野菜や種、ガーデニング道具などの販売などを予定。軽食を提供するカフェ・レストラン機能も備えるという。

 開園時間は10時~18時。月曜休園。来年6月ごろから園内の改修を行い、2023年6月ごろにリニューアルオープンを予定する。

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