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ヒカリエデッキに原久路さんと林ナツミさんの壁面アート パンデミック収束願い 

「壁面アート」を手がけた林ナツミさん(左)、原久路さん(右)

「壁面アート」を手がけた林ナツミさん(左)、原久路さん(右)

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 歩行者デッキ「渋谷ヒカリエ ヒカリエデッキ」で12月5日、壁面アートプロジェクト第3弾作品として、大分・別府在住の写真ユニットである原久路さんと林ナツミさんが手がけた写真作品「本日の浮遊」の一般公開が始まった。

原久路さんと林ナツミさんが手掛けた写真作品「本日の浮遊」(正面から)

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 渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)の北側3階、4階に面し、東京メトロ銀座線線路直上に位置する「ヒカリエデッキ」は全長約190メートルの歩行者デッキ。将来的には渋谷ヒカリエから渋谷マークシティまで、渋谷駅の東西を空中でつなぐ歩行者デッキ「スカイウェイ(仮称)」が、同デッキの延長線上に完成する計画だ。「生活文化の情報発信・活動拠点」「まちに開かれた憩いの場」を目指す同デッキでは、昨年10月から「壁面アートプロジェクト」を始動し、これまでに2人の画家とコラボレーションを行ってきた。

 第3弾となる今回は、別府市を拠点に創作活動を行う写真ユニットの原久路さんと林ナツミさんが担当。プロジェクト初の写真作品となる。もともと東京で活動をしていた2人だが、東日本大震災後の2014(平成26)年に東京から別府市に活動拠点を移す。九州で知り合った少女たちを撮り続ける「セカイヲミツメル」や、1人の少女が双子になりきって一人二役を演じる「双子シリーズ」などの作品をSNSで積極的に発信し、国内外で高い評価を得ている。2020年には、東京都写真美術館が注目する作家として「あしたのひかり 日本の新進作家 vol. 17」にも選出された。

 今回の壁面アートの作品は、移住前にメインで取り組んでいた「本日の浮遊」シリーズの中から、2014年に多摩川で撮影した一枚を選出。もともと林さんのセルフポートレート写真としてスタートした同シリーズは、日常生活の中で林さん自身がジャンプした瞬間を自ら撮影し、ウェブに毎日投稿していた日記プロジェクト。技術的なサポートを原さんが行う中で共同作業が始まり、2013(平成25)年にユニットを結成し現在に至る。

 多摩川河川敷で撮影した2014年の作品を選んだ理由について、原さんは「渋谷のど真ん中に突然、東京郊外で撮影した写真を掲出することで、全く趣の違う空間が写真のトンネルを通してつながり、インスタレーションとしての面白さが増すだろうというのが一つ。また、パンデミックがあり、私たちが移住する前と後では世の中が変わった。この写真は移住した年に東京で撮影した最後の作品で、みんなが自然に呼吸したり、自由に行き来きしたりしていた時代の空気感がある。その写真を掲出することで、タイムトンネルみたいに今とあの時代をつなぎ、以前のような自由な時代に早く戻れるように」と祈りを込めたという。

 さらに「何度も河川敷をロケハンし、ビルなどに反射する自然の光も計算して西日で撮影を行ったが、どんどん日が暮れてしまうため、限られた短い時間の中で(林さんが)100回くらい飛んだのでとても大変だった」と当時を振り返る。林さんの手足を後方に伸ばした浮遊姿勢をきれいに収めるための秘訣(ひけつ)として、「連射をせず、タイミングを合わせて一枚一枚シャッターを切っている」とそのこだわりを明かす。

 横14メートル×高さ6.2メートルの作品サイズは、原さん、林さんにとっても過去最大の大きさ。作品は11列×2段の計22枚のシートで構成されているため、顔や腕などの部分につなぎ目がこないように注意を払いながらトリミング位置を決めた。美術館用のプリント素材と異なり、屋外設置のため耐久性や耐光性に考慮し、屋外広告用の素材を利用したが、美術館と同じ色味や風合いを出すのに苦労し、計7回の色校正を重ねるなど、かなり時間を要したという。

 そのかいあって、「晴れでも曇りでも、朝でも夜でもちゃんと見えるようにコントラストが落とし込まれて良かった。完成した作品に満足」と自信を見せる。

 「都市のど真ん中で生活している人が、急に水の存在を感じられるような写真であってくれるといいなと思っている。大自然につながる異空間、ここを通る人々の日常に小さな変化が起こさせれば」と期待を寄せる。

 掲出期間は2023年3月末ごろまで。

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