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渋谷の博物館で「渋谷の東京オリンピックと丹下健三」展 手描きスケッチ初公開

建築家・丹下健三が手帳に描き残したデザインも初公開

建築家・丹下健三が手帳に描き残したデザインも初公開

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 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4、TEL 03-3486-2791)で現在、特別展「渋谷の東京オリンピックと丹下健三」が開催されている。

「渋谷の東京オリンピックと丹下健三」展示風景

 1964(昭和34)年に開催された東京オリンピックでは、選手村や国立代々木競技場、渋谷公会堂などが建設され、渋谷は中心的な舞台だった。今年7月に2度目の夏季大会を控え、今回の特別展は前回大会に続き、2020年大会でも再び競技会場として使われる「国立代々木競技場」をテーマとし、設計者・丹下健三によるスケッチや書簡、図面のほか、建築過程の記録写真、記録映像など、初公開となる貴重な資料をそろえる。総展示数は100点以上。

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 会場は千葉大学の豊川斎赫准教授の監修の下、「基本設計時のスタディ模型」「基本設計時の構造検討」「実施設計」「国立代々木競技場施工」などの順に展示。1961(昭和36)年、丹下研究室メンバーが作った模型や、「巴型」「渦巻型」のユニークなデザインにブラッシュアップを重ねていった過程、柱のない巨大な競技会場を造るため世界的に類例の少なかった2本の支柱でメインケーブルを支える「つり屋根方式」の実現に向けた構造検討、青図の原寸大コピー、短い工期と高度な技術を要した建設時の工事写真などを紹介。丹下がどんな設計思想を持って国立代々木競技場に取り組んできたのか、当時の仕事ぶりを垣間見ることができる。

 初公開となるのが、丹下が自ら手帳の中に描き残した競技場に関するスケッチ。「口伝」でスタッフにイメージを伝えることが多かったため、「丹下が残したスケッチはごくわずかで、とても貴重な資料」という。

 そのほか、「代々木競技場の行く末」という視点から、五輪後の施設利用についても触れている。もともと代々木第一体育館は競泳会場で、広く国民にスポーツを普及するという観点から、五輪後もプール、アイススケートリンクとして一般開放してきたが、事業としては苦戦。70年後半には、施設の劣化を危惧した丹下が国会議員や施設関係者に向けて改修の必要性を訴え、その要望書も公開している。その後、80年代に入ると、メディアと連動して春の高校バレーで活用され始めたほか、人気アーティストのライブコンサートも行われるなど、都内屈指の人気会場へと変貌していく。五輪後の施設活用は今回の五輪でも大きな課題となっているが、代々木競技場は成功事例の一つといえるという。

 企画を担当した渋谷区郷土博物館の松井圭太さんは「今後、世界文化遺産登録されるのではないか、といわれている渋谷が世界に誇る建築の一つ。半世紀前の建物なのに未来的な、時代の趨勢(すうせい)を感じさせない建物はとても素晴らしい。五輪年だからということだけではなく、国立代々木競技場がいかに造られたのかを多くの皆さんに知ってもらいたい」と来館を呼び掛ける。

 開館時間は11時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は一般100円。3月22日まで。

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