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渋谷区、2020年度当初予算案発表 東京五輪・パラ推進やICT教育の再構築など

当初予算案の概要を発表する長谷部健渋谷区長

当初予算案の概要を発表する長谷部健渋谷区長

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 渋谷区は2月3日、2020年度の当初予算案を発表した。

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 今夏予定されている東京オリンピック・パラリンピック(五輪・パラ)を推進力に、持続的に成長を遂げていくための「未来への投資」として、「子育て支援・教育・福祉施策の充実」「新しい価値や文化、コミュニティーを創造する街づくりの推進」「安心・安全な街作りと快適な生活環境の整備」を重点課題に予算案を組んだ。一般会計予算総額は1,052億4,900万円で、前年度比13.9%増と過去最大の予算規模となる。

 東京五輪・パラ推進事業には1億8,600万円を計上。区民への気運醸成の「集大成」として、区内の会場で開催される競技や関連競技の選手たちの壮行会や大会終了後の報告会を行う。区が注力しているパラスポーツ(車いすラグビー、パラバドミントン、ボッチャ)を「区に根付かせる」ことを目指し、区長杯大会を継続して開いたり地域イベントで啓発したり、区内施設と連携して国際大会の開催を支援したりするなど、観戦や体験する機会を設ける。

 五輪・パラ期間中には区役所や千駄ヶ谷社会教育館、取り壊し前の「東急百貨店東横店」を活用するプロジェクト「渋谷エキスポ」の3カ所に「おもてなしスポット」を開設。休憩所になるほか、大会の情報発信や日本文化や渋谷区の歴史・未来の紹介などを行う場となる。パラ開催期間(8月25日~9月6日予定)には、再整備中の「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」(区立宮下公園)にライブサイトを設置。大型スクリーンで競技中継を行うほか、区が2017(平成29)年から実施している文化プログラム「MERRY SMILE SHIBUYA for 2020」のイベントなどを行う。

 同大会に伴い訪日外国人が増えることを見据え、多言語AEDも設置する(予算300万円)。3月中にセコムとセブン-イレブン・ジャパンと協定を締結し、4月に区内のセブンーイレブン(現在83店舗)の内オーナーが希望する店舗にAEDを設置する。セコムは設置店舗の従業員などに機器の取り扱いや救命といった講習の実施を担当する。

 ミヤシタパークは6月にオープンを控える(予算2億1,400万円)。芝生の広場やサンドコート(多目的運動施設)などを整備するとともにカフェも展開。公園と一体的に商業施設やホテルなどを整備し、低層複合施設を形成する。恵比寿南二公園は「インクルーシブ公園」として整備。「あらゆる人が遊べる」遊具の設置やバリアフリー導線の拡幅などを予定する(6月着工)。区立はるのおがわコミュニティパークで展開している、「自分の責任で自由に遊ぶ」場を提供するプレーパークの整備(予算はインクルーシブ公園と合わせて1億600万円)も検討していく。

かねて準備を進めてきた妊娠期から産後までの支援を図る「渋谷区子育てネウボラ」(同14億5,700万円)は、事業の拠点となる施設の建設が進んでいるほか、基幹システムとなる母子保健システムの導入による情報の一元化や情報共有による連携強化などを図る。待機児童対策(同26億7,200万円)として来年度には保育施設4カ所の整備や賃料補助の拡充、ベビーシッター派遣などで対策を図る。

 2017(平成29)年から行っているICT教育推進事業は9月、全面的に再構築を図る(同21億500万円)。区内の公立小・中学校に在籍している児童・生徒に1人1台配布しているタブレット端末の更新や、LTE回線を活用した遠隔教育などを進める。小学校でプログラミング教育が始まるのに合わせ、民間企業協力の下、授業支援や教員を対象にした研修などを行う(同1,100万円)。

 区では区民の利便性向上を目的に、住民票のコンビニ交付や住民税などのキャッシュレス化を導入しているが、4月以降は「非来庁型サービス」を推進(同300万円)。区の公式LINEアカウントで住民票や税証明申請、犬の登録などを行えるようにする。本人確認には、スマートフォンのカメラで撮影した顔写真と身分証明書の顔写真を顔認証で確認する技術「eKYC」を自治体業務として「全国で初めて」導入する。

 福祉分野では、特別養護老人ホームを中心とした複合施設の整備や、区営住宅や高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育園を併設した地域福祉の中核を担う複合施設の整備を行う(同62億6,300万円)。介護需要への対応として、人材確保に向けた職員の住宅費の一部助成、外国人介護職員の人材育成などを行う(同3,050万円)。

 このほか、体験型やコト消費型の返礼品を用意するふるさと納税制度の導入(4,800万円)、コンテナ型喫煙所の設置による受動喫煙防止や路上喫煙禁止を呼び掛ける広告やQRコードを使った喫煙所マップの案内など分煙対策推進(3億2,700万円)、2015(平成27)年に始め、延べ40組に交付した同性カップル向けのパートナーシップ証明の取得費用(約6万円)の一部助成(80万円)なども予定している。

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