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明治神宮で「文楽」公演 原宿口鳥居前に舞台、竹下通りでお練りも

2015年に六本木ヒルズで行った際の様子

2015年に六本木ヒルズで行った際の様子

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 明治神宮(渋谷区代々木神園町)原宿口鳥居前で3月、伝統芸能「文楽(人形浄瑠璃文楽)」の公演が行われる。主催は日本財団、一般財団法人「にっぽん文学プロジェクト」。

出演を予定する人形遣いの桐竹勘十郎さん

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 文楽は、語り手である「太夫(たゆう)」、三味線、人形を動かす「人形遣い」が一体となった舞台。同公演は、「文楽の魅力を多くの人に感じてもらうこと」を目的に、2014年に立ち上げた「にっぽん文楽」プロジェクトの公演となる。劇場ではなく街なかに組立舞台を造り公演するのが特徴で、2015年の六本木ヒルズ(港区)を皮切りに、これまで6カ所で公演を行ってきた。プロジェクトは2020年までを予定している。

 7回目を迎える今回は「繁華街のど真ん中に持ってきたい」との思いで場所を探し同所に決めた。明治神宮が来年鎮座100年を迎えることから奉納公演として開催する。日本財団が渋谷区と締結したソーシャルイノベーションに関する包括連携協定に基づく活動の一環となる。

 約1億円をかけて広場に設営するという舞台は、幅19.7メートル×高さ6.7メートルで、吉野産ヒノキ材を使う。周辺には、木綿の生地に藍で同プロジェクトの紋を染めた幔幕(まんまく)を装飾。舞台前には有料席約120席を配置するほか、「多くの人に見てほしい」と無料の立ち見エリアも用意する。会場は飲食自由で、場内では日本酒を販売する。

 演目は2題。「日高川入相花王(ざくら)」の四段目「渡し場の段」は、安珍清姫で知られる和歌山・道成寺の伝説を基にした物語。桜木親王に恋心を抱く清姫は、恋人のおだ巻姫と道成寺に向かう桜木親王を追いかけるが、日高川の岸で船頭が舟を渡してくれないことに怒り、ヘビとなって川を泳いで渡る。清姫の人形は、ヘビに変身すると首(かしら)が「ガブ」と呼ばれる恐ろしい表情に変わることでも知られる。「小鍛冶(こかじ)」は同名の能を基にした景事物(舞踊の応訴が強い小品)で、一条天皇の勅命で剣を打つことになった刀工・小鍛冶宗近が、キツネに姿を変えた稲荷明神と共に剣を打ち上げる物語。これまで約2時間の公演を1日2回行っていたが、今回は立ち見客も考慮し約1時間の公演を1日3回行う。

 公演に先立ち3月8日には、原宿・竹下通りで人形・人形遣い、太夫、三味線も含めて「お練り」を予定している。「竹下通りを歩いたことが無い」と話す人形遣いの桐竹勘十郎さんは「人形を持って初めて歩かせていただく。若い方にちょっとでも興味を持って知ってもらうには絶好の機会なので、舞台の一部として頑張りたい」と意欲を見せる。同プロジェクト総合プロデューサー中村雅之さんは「竹下通りは中高生のメッカ。文楽(という言葉)を聞いたこともない子たちが大部分だと思うが、人形を見て『きれいだな』『写真を撮りたい』と思ってもらえるだけでもいい」と笑顔を見せる。

 土地柄、若者の目に留まることも見込まれる今回。桐竹さんは「若い人が一番とっつきにくいのは語りなのでは。独特なので難しく聞こえると思うが、日本語でやっている。今回の演目は語りもそんなに難しくないし人形の動きもある。時間も短く設定されているので楽しんでいただけるのでは。何かやっているなと思って、立ち止まってくれるのでは」と期待を寄せる。。中村さんは「立三大歓迎で、『ちょっと見』で見ていただきたい」と話す。

 開催日は3月9日~12日(全11公演)。観賞料は1,000円。小雨決行。チケットは現在「ぴあ」で販売している。

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