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Bリーグ2020-21、サンロッカーズ渋谷特集 伊佐勉ヘッドコーチ

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新型コロナウイルス感染症拡大の影響でシーズンが中断してから約7カ月。コロナ禍の中、10月2日に5年目のBリーグが開幕する――。サンロッカーズ渋谷は昨シーズン、40分を通してフルコートでプッシャーをかけるアグレッシブなディフェンス、時には5人全員を入れ替えるタイムシェアなど、これまでと異なるスタイルを取り入れ存在感を示した。今回、昨シーズンに引き続きチームを指揮する伊佐勉ヘッドコーチ(HC)に今季の戦いに向け話を聞いた。

――27勝14敗、東地区4位という結果だった昨シーズンを改めて振り返ってください。

ぎりぎりチャンピオンシップに出場できるかできないかという位置でした。1桁は難しいが、敗戦を10か11試合に抑えられたのでは。勝ち切れるようになれば、カンファレンス上位のチームとも勝率で競えると思います。今季もタフなカンファレンスなのは変わらずですが、確実にチャンピオンシップに出られる位置にいないといけません。

――今季は昨シーズンから11選手がチームに残留しました。伊佐HCとしては今季も同じメンバーで戦いたいという思いを持っていたのでしょうか。

昨シーズン途中で終わったことが一番大きかったのですが、1年で完成するようなチーム作りではないので、全員残してほしいとお願いしました。でも、タイムシェアをするスタイルなので「もっと試合に出たい」という思いもあると思うので、数人が退団する覚悟はありました。

――ほぼメンバーが変わらない中で、NBA で2度の勝経験があるジェームズ・マイケル・マカドゥ(James Michael McAdoo)選手が新たに加入しました。

同じスタイルで積み上げている部分に、新しい血が入ることで化学変化が起きると思います。昨シーズンと違うシーンも多く見られるのでは、と楽しみにしています。

――その、マカドゥ選手は、まだチームに合流できていませんが。

メッセージのやり取りをしていますし、パフォーマンスチームが与えたメニューに取り組んでもらっている映像を見ています。1カ月ほど前からサンロッカーズの練習(映像)も見てもらっているので、どういうことをやりたいのかは伝わっていると思います。フォーメーションなどはしっかり頭にたたき込んでもらい、合流した時にはコンディションの調整だけ、という感じでできたらと考えています。

――マカドゥ選手の加入までの期間、ムッサ・ダマ選手を迎えました。

うちのプレースタイルから、ライアン・ケリー、チャールズ・ジャクソン(CJ)、日本人ビッグマンの野口大介に加え、もうひとり、サイズがある選手が必要だったので来てもらいました。マカドゥ選手と同じようにしっかりディフェンスができて、なおかつ走れるのが魅力なので、どんどん先頭を走ってもらいたいです。

「昨シーズンの続き」である今シーズンは「もっと走りたい」

――オフの期間が例年より長かったですが、チーム練習はどのように取り組んできましたか。

4月から選手は自主練をして体づくりをして、7月中旬からチーム練習を積んでいます。ただ、外国籍選手の合流が(来日後の隔離期間もあり)遅く、全然動いていない状況に等しかったので、コンディションを見ながら、となりました。激しさを求めすぎて、けがにつながってはいけないので、その加減が難しかった。まずバスケットができるスタミナを作り、ここ2週間くらいは細かい所を含め練習しています。今までとは異なるチーム作りとなっているので、年内いっぱいは試合をこなしながら練習で細かい所をやっていくことになると思います。

――シーズン中盤・終盤に向けて完成度を高めていくイメージですか。

できる限り早くチームを仕上げたいですが、試合となると強度が上がるので、なるべくけがをさせないように、かつできる限りハードにプレーさせるシーズンになるかと。みんな初めての経験なので読めないですし、どのチームも同じ条件なのでどう転がるか…。リーグ全体でけがをする選手が出てくる可能性はあるんじゃないかとも感じています。

――その中で、今季はどのような戦いを見せてくれますか。

昨シーズンの続きと捉え、アグレッシブにボールプレッシャーを掛け、トランジションで早い展開に持っていく同じスタイルを貫きながら、プラスアルファを求めていきます。特に昨シーズンは、オフェンスはほとんど手を加えていない状況だったので、今年はより走りたいと考えています。選手たちにも最初のミーティングでそのように伝えたので、それを受け止めて練習に取り組んでくれています。

――タイムシェアをする「全員バスケ」も継続?

そうですね、今シーズンもタイムシェアをしていく予定です。ただ序盤は「勝利」を大前提に、早いスパンで交代するのか、交代のペースをちょっと落とすのか、コンディションを見ながら調整していくことになります。

――各選手の出場タイムはどのように測っているのでしょうか。

「アシスタントコーチが管理しているのか」などと聞かれるんですが、僕の体内時計です(笑い)。自分の感覚と、実際の出場タイムを見比べても誤差は1分くらいで、自分としても変な感覚なのですが…。試合中、35分間は疲れの状況などを見ながら交代し、最後の5分でどれだけその試合で調子のいい選手がフレッシュでいられるかを考えながらやっています。残り5分は、各々「頑張って」という感じです(笑い)。

――そこの采配は今年も見どころの一つですね。一方、昨シーズンは途中から「失点の多さ」を一つ課題に挙げていました。

失点が少なかったわけではないので、今季はしっかりやっていきたい。特にペイントエリア(ゴール下周辺)の失点率が高かったので、そこの得点を下げたいと考えています。原因として、前のめりにディフェンスをしているのでリング下が空いてしまうのは分かっています。そこを「前に出ろ、下がれ」というのをCJとマカドゥには守護神として相当期待しています。

――昨シーズン、スターティングメンバーには「試合のトーンをセットする」ディフェンスを求めていましたが、今季に向けての考えをお聞かせください。

今シーズンも、「ディフェンスでいく」というチームカラーを体現できる選手を先に出します。昨シーズンは特に関野(剛平選手)がその役目を担ってくれたので、今季もそこには相当期待しています。プラス、よりサイズ・フィジカルがあり経験豊富な広瀬健太がいます。彼はいつ出ても同じレベルでディフェンスをしてくれるので、この2人がかなり重要になってきます。さらに、オフェンスも期待していますが、シューターとのマッチアップに長けている石井(講祐選手)もスタートの候補の一人です。

ファンを含めた「結-FIGHT AS ONE-」で戦う

――今季は昨シーズンまでの3地区制から2地区制に変わりましたが、チャンピオンシップ争いは激化しそうですか。

我々のチーム力的に、ぎりぎりチャンピオンシップに行けるかいけないかくらいの立ち位置だと思っているので、今季の2地区制はいいのかな、と感じています。

――外国籍選手のベンチ登録数も変わり、2人から3人に増えました。

昨シーズンは(外国籍選手)3選手がほぼ同じ試合数・プレータイムになっていました。ですが、フルコートでディフェンスをするに当たり外国籍選手のタイムシェアが実はできていませんでした。今季は野口を含めビッグマンが4人いるので、タイムシェアをしつつ、もっとアグレッシブに当たることを要求できます。昨シーズンもやった「スモールボール」(外角のシュートや速攻に重点を置くラインアップ)に近い状況ももっとやっていきたいです。

――プレシーズンマッチなどを見ていると、オールコートでプレッシャーを掛けてくるチームが増えた印象があります。昨シーズンのサンロッカーズ渋谷の戦いが影響していると思いますか。

それは分かりませんが、「こんなに前から当たっていたっけ」というチーム、自分たちと似ているチームが増えた印象はあるので「楽しくなってきたな」と感じています。僕たちは普段からそのスタイルで練習をしているので、戦う上での心配はしていません。「ガチャガチャした試合」にはなると思いますが、プロでもハードにディフェンスを頑張る姿を、子どもや学生たちに見せられるいい機会になるのではないでしょうか。

――いよいよ開幕が間近に迫りました。今の心境は。

ここ数カ月いろいろと考えさせることがありましたが、今は例年と変わらず、日に日に緊張感が増してきています。例年のように思ったような練習ができていないので、どのようなシーズンになるかという不安はいつも以上にあります。

――昨シーズンは開幕戦を勝利したことで、序盤に勢いに乗ることができたと思います。そういった意味では、開幕戦(10月3日・4日)は一つの重要なポイントになりますね。

2連勝して次の週を迎えるのと、そうでないのとでは全く変わってきます。なので、連勝するには初戦、是が非でもどんな手を使ってでも勝たないといけないと思います。

――その開幕戦の相手は、リーグ屈指のスコアラーがいるシーホース三河(以下、三河)です。

あれだけのタレントがそろった三河を60点台に抑えることは無理だと思っているので、点取り勝負でもいいと思っています。三河のペースにはまらないように、三河が根負けするくらいどんどん走っていきたいと考えています。

――機動力の高い選手が中心の分、ダバンテ・ガードナー選手のようなフィジカルのある選手をどう抑えるかも気になります。

1人ではなく人数を使って守らないといけない時間が出てくると思うので、試合状況を見て駆け引きをしていけたらいいかなと。

――ありがとうございます。ファンの方も開幕を心待ちにしていたと思いますので、今季に向けた意気込みを含め、メッセージをお願いします。

(観客数が)人数制限のある中での開幕でどのようなシーズンになるか分かりませんが、ファンの方々の前で試合ができる喜びはコロナ前より相当増しているので、ファンの方々に何か届くように一生懸命ハッスルさせて、いいバスケットを届けたいと思っています。今季もチームスローガンは「結-FIGHT AS ONE-」。その中にはファンの皆さんも含まれているので、今シーズンも一緒に戦い抜いてください。よろしくお願いします。

伊佐勉
1969(昭和44)年11月2日沖縄生まれ。「ムーさん」の愛称で親しまれる人情派。琉球ゴールデンキングスで10シーズン指揮を執り、Bリーグ統合前のbjリーグ時代には同チームを2度優勝に導いた経験を持つ。Bリーグ2017-18シーズンにSR渋谷のアシスタントコーチとして加わり、翌シーズン途中からHCに就任。昨シーズンはSR渋谷を天皇杯優勝に導いた。

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