特集

Bリーグ2017-18、サンロッカーズ渋谷特集.9
#1 清水太志郎選手

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野球・サッカーに次ぐプロスポーツリーグとして発足した男子プロバスケ「Bリーグ」開幕に合わせ、渋谷区をホームタウンとするチーム「サンロッカーズ渋谷」が参入。2季目となる2017-18シーズンも佳境を迎える中、チームと共に2シーズン目を戦う選手たちを紹介。今回は、1月に左アキレス腱(けん)をけがしシーズン途中での離脱となった清水太志郎選手。

«第8回 ベンドラメ礼生選手

よき理解者として、若いチームを精神的に鼓舞

――今回全治6カ月という診断でしたが、キャリアの中でこれだけのけがは過去にありましたか?

インフルエンザで2・3試合休んだくらいで、大きいけがを全くしたことが無かったんですよ。試合に出られないもどかしさはありますが、どう頑張っても、復帰がシーズン中に間に合わないので。逆に踏ん切りが付いたというか、もう吹っ切れています。

――チームとしては負けが立て込んでいますが現状をどう見ていますか。

ここ最近の傾向を見てみると、オフェンスが悪いとディフェンスまで引っ張られてしまう。試合を見に来ていない人が得点だけを見たら、接戦だと言われるゲームになっているかもしれませんが…。最終クオーターに20点差をうまく1桁差に持っていけていただけで、(接戦と最終クオーターで追い上げる試合は)内容的には全然違う。うちのチームに限ったことでなく、負けが続いている時は個人もチームも見失ってしまうので、そういう時に立ち返る強いもの、「芯」が無かったのが連敗の原因だと思います。悪く言えば、この時期になってしまったのは…チームミーティングでも言ったんですけど、バスケ自体を立て直すというより、それぞれがメンタルをしっかり保つことでより良い方向にいくと思っています。

――そうした中で、先日(4月8日)のアルバルク東京戦で1勝を挙げられた要因はどこにあると思いますか。

オフェンスがうまく入れて、良い気持ちでディフェンスができたと思います。勝てて良かったんですけど、シュートは入る日もあれば入らない日もあるので、それに左右されると強いチームは作れない。連勝している時はオフェンスが良かったんじゃなくて、ディフェンスで耐えて勝っていたので。そこに立ち返ることができれば、残りの試合も同じように勝利の確率を上げることができるんじゃないかと思います。

――鍵はディフェンス?

先日はシュートも入りましたが、それまではシュートの確率が(B1)18チーム中18位。それじゃやっぱり勝てないですよね。ただ、(シュート率を)上げるために今からシュート練習をたくさんしても上がらないですし、そんなものはオフシーズンにすること。そこを当てにするよりは、ディフェンスをしっかりやって、より確実な速い攻撃につなげたり、アウトナンバー(ディフェンスよりオフェンスの人数が多い状況)を作ったりするなど順序がある。そのきっかけはディフェンスです。

――試合に出られない中、心掛けているのはどんなところですか。

負けが続くと誰かのせいにしたり風通しがよくなくなったり、自分の中にため込んで思いを閉ざす傾向にあるので、話を聞いて選手とコーチの中間に入ることですかね。

――コミュニケーションを大事にしているんですね。

そうですね、最年長なので皆いろいろなことを聞いてくれるし、コーチ陣も一新したので。ただ、最年長ですけど、「他の先輩より怖くない」と思います。僕が新人の頃は、本当に先輩が怖くて、しゃべることもできなかったので。時代かもしれないですけど(笑)、ただ、言わなきゃいけない時はちゃんと言いますけどね。

――試合ではタイムアウトの時など積極的に声を掛けている姿が印象的です。

バスケットの内容も言いますけど、(昨シーズンから)選手が半分も入れ替わってチームとしては若い…、28(=チームの平均年齢)っていったらいい年齢ですけど(笑)。まだ精神的にもろい部分があるので後押しするような、「思いっきり打ってこい」「外しても気にするな」とか。コーチ陣もいろいろ言うけど、「やっているのは自分なんだ、しっかり自分で判断してやれば怒られても別にいいじゃん」って、メンタル面の話しかしていないですね。

――ポジションの違う選手にも声を掛けていますよね。

先日(アルバルク東京の2日目)だったら、(ベンドラメ)礼生がずっと勢いに乗っていたけど、やっぱりシュートが入り続けることはないし、打たせ続けても駄目なので、ロブ(=ロバート・サクレ選手)に「流れを持ってきた礼生の仕事は終わったから、次はお前の時間だよ。お前が決めればゲームは終わるからいけ」って。もちろん礼生には言わないですけど、インサイドはゴールに近いし、(入る)確率が全然違うので。

――今のチームの雰囲気はどう感じていますか。

連勝している時は、点数を離されていても「4クオーターで追いつくから」みたいな余裕があったんですけど、連敗中は余裕がないから「どうやって勝っていたっけ」って、勝ち方を見失っていました。信じるものを見失っている感じで。

――そうした意味では、清水選手の声掛けは大きな力になっている気がします。

本当は、コートの中で声を掛けて落ち着かせたいのですが、外からしかできないので…。各選手にはこの経験を次に生かしてほしいし、自立してほしいというか、もうしななきゃいけない年齢だと思うんですけど(笑)。

――ギプスも取れて歩けるようになっていますが、今はどんなことに取り組んでいるのですか。

今、僕がチームで一番充実していますよ(笑)。週6でウエートトレーニングとリハビリをしていて、練習の時もトレーナーさんが付きっきりでやってくれているので、筋肉痛の日が無いくらい。

――復帰が楽しみです。

オフシーズンにしっかり死んで、復活しようかなと思っています!

現役選手として子どもたちに刺激と夢を

――バスケ以外の趣味はなんですか?

スポーツ観戦は大好きでで、全般見ますよ。バレーとかテニスもテレビで見ますし、オフにはビーチバレーを見に行きましたし。

――オフシーズンと言えば、清水選手は地元・宮崎でクリニック(子ども向けのバスケ教室)を開くなどしていますよね。

引退したらキャリアや経験を伝えることは当たり前の仕事だと思いますが、小学生から「誰、このおやじ?」って、なると思うんですよ(笑)。試合に出てるかどうかじゃなく、子どもは(選手を)全然知らないので。なら、1年目のルーキーが指導した方が、影響力や刺激の大きさが違うんですよね。2時間くらいの指導でうまくなるっていうことは無いんですけど、現役のプロ選手が来てくれたっていう記憶は残るし、その刺激で「明日から部活動を頑張ろう」とか「こういう選手になりたい」とか夢につながると思うので、現役のうちに子どもとの触れ合いを多くすることを心掛けています。しかも僕は宮崎に固執していて。郷土愛もありますし、今は宮崎にプロバスケチームが無いので。

――バスケをする子やプロを目指す子が増えてほしいという思いから?

何かを感じてもらえればいいかなって。バスケを続けて、プロを目指す子が増えるのはうれしいけれど、どこかで選択を迫られる時がくる。そういう時に「こういうことあったから頑張ろう」とか、「(僕との出会いで)表情が変わった」とか言ってもらえたらいいなと思います。

――「郷土愛」というワードが出てきましたが、ホームタウンはどんな存在ですか。

心強い存在ではありますよね。ホームコートでは、結果としては同じかもしれないですけど、勝たなくちゃいけないというより、負けちゃいけないという気持ちの方が上回りますね。もっと強く思うのは、僕はずっとbjリーグでプレーをしてきたので、地域色がすごく濃かったんですね。だから、いろいろな意味でもっと渋谷を知らなくてはいけないなと。「渋谷のどこが好きか」って聞かれたら、当たり前のことを応えるんじゃなくて、「何それ!」みたいなものを答えたいですよね。

――ちなみに、渋谷のどこが好きですか?

どこなんですかね(笑)。個人的には神泉エリアが好きなんですよね。渋谷っぽくないというか、ディープな感じが結構好きですね。宮崎の郷土料理の店もあり、行きつけが何軒かあって。その中でも「たもいやんせ」っていう店が好きです。僕の地元である日南市の方がやっていて、味も日南よりで。

――渋谷では開幕前にパレードもしましたね。

知らない人にも知ってもらう絶好の機会ですよね。初年度はセンセーショナルに打ち出すことができましたが、今はチームとして認知してもらうのが大事なので。

――街に定着させるために必要なことはどんなことだと思いますか。

知ってもらう機会を作るしかないのでは。バスケだけをやっていればいいわけではなく、今の小中高生がプロになるための土台を築き上げようとしている段階なので、将来1億円プレーヤーとかが出るくらい日本全体を盛り上げなくてはいけないという意味では、表に出る活動。コンディショニングとかあるかもしれないけれど、メンバーはいっぱいいるので、1カ月に1回とかでもいいので、触れ合いとか小さいことをやっていくのが一番だと思います。

清水太志郎
1981年8月6日宮崎生まれ。身長183センチ、体重85キロ。筑波大学卒業後、社会人リーグ「日本リーグ」の大塚商会に入団。bjリーグ発足に合わせ埼玉ブロンコスに入団後、宮崎シャイニングサンズ、大分ヒートデビルズ、ライジング福岡とbjリーグで11シーズンプレー。Bリーグ開幕と共にサンロッカーズ渋谷に入団し、今季2季目を迎える。