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特集

ポテトと水だけで2時間は当たり前!?
センター街ファストフード利用事情

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■マックの「ハッピーセット」が女子高生のお気に入り!?

ティーンズを対象とした市場調査やプロモーションを手掛けるアイ・エヌ・ジー(宇田川町)が、渋谷の女子高生200人を対象に毎月行なっているアンケート調査「渋谷トレンドリサーチ」では、毎年1回9月に「渋谷でよく行く飲食店」についてアンケート調査を実施している。2003年9月に行われた調査では、3位=「ロッテリア」10人、2位=「ファーストキッチン」48人、1位=「マクドナルド」57人という結果で、ベスト3はすべてファストフード・ショップが占めていた。ちなみに、この上位3位は2001年から3年連続で順位に変動がないという。

同社スタッフの中山さんに話を聞くと「1位のマクドナルドは、価格的に安いからという理由で行く子が大半」と言う。確かにハンバーガー単品84円のマクドナルドに比べると、ファーストキッチンやロッテリアは200円以上するバーガーしかないため、割高感は否めない。さらにセットメニューの場合、ファーストキッチンやロッテリアは一番安くても500円台だが、マクドナルドの場合は子供向けの「ハッピーセット」なら378円。「ハッピーセット」はドリンク、ポテト、バーガーにおまけのおもちゃが付く子供向け商品だが、これを好んで注文する女子高生が多いそうだ。「おまけによっては集めている子もいるし、何より少な目の量がちょうどいいようだ」と中山さん。使うお金も食べる量もちょっとずつ・・・というのが、お小遣い事情が厳しくダイエットに関心の高い女子高生の特徴と言えそうだ。

また、中山さんは「マクドナルドによく行く子の中でも「ファーストキッチン」が好きな子は多いが、はいつも混んでいるから、「ロッテリア」を利用する子も少なくない」と付け加える。商品面ではファーストキッチンの人気が高く、価格やその他の面でマクドナルドやロッテリアを利用・・・ということらしい。「実際はクラブで遊んでオール(ナイト)をした後に、始発の電車を待つ時間を潰すなら『ファーストキッチン』がベスト、という風潮があるのも確か」と中山さんは話す。センター街のマクドナルドは平日なら午前2時迄、ロッテリアは23時迄の営業だが、ファーストキッチンは朝5時迄営業しているからだ。

ファストフードの中でも牛丼店はサラリーマンや男性の多い店というイメージがあるが、最近では牛丼店にも好んで行く女子高生が少なくない。中山さんによると、牛丼店の人気1位は「吉野家」、2位が「すき家」、3位が「松屋」だという。中には牛丼が好きというわけではなく、サラダのようなサイドメニューが目的でよく行くという子もいるらしい。しかし、牛丼店に行く女子高生の場合は、あくまでも食事目的だという。その理由について「牛丼店は大勢で一緒に入ることができず、カウンター席で店員と向かい合うことから長居することができない。商品を買う時以外は店員と顔を合わさないで済むハンバーガー・ショップの方が、女子高生にとっては友達としゃべるにも時間を潰すにしても、落ち着くのではないか」と中山さんは見ている。平均でも2~3時間、長い子では1回に5時間も滞在する子がいるというから、10代にとってのファストフード・ショップは「食事をする場所」というよりも「時間を潰す場所」として利用されているようだ。「中にはほぼ毎日、学校帰りにファストフード・ショップへ行くという子もいて、1回に使うお金が400円前後だとしても、月に1万円はファストフードに使っていることになる」と言う。彼女たちにとってその1万円は、もしかすると「食費」ではなく「交際費」に該当するのだろうか。

アイ・エヌ・ジー
マクドナルド ロッテリア ロッテリア

■味付けポテトにソースをトッピング・・・マイ・テイストを楽しむ10代

夕方になると、センター街に面したガラス張りの店内が女子高生で一杯になる「ファーストキッチン」渋谷センター街店。同店店長の諸原さんに話を聞いた。「来店客のうち、大学生・高校生を合わせると約4割が10代女子客」と言う。一方、10代男子客は少なく、カップルで女子と一緒に来る以外、男子だけの来店客がほとんどないそうだ。諸原さんは「本部は、特に10代をターゲットにしてはいないが、女学生やOLなどの女性を意識した商品開発や店づくりを行っている」という。同店は、他店との差別化を図った商品バリエーションの豊富さがウリの一つ。一つのアイテムでも、数ある味の中からチョイスできるという点が、女性客に支持される所以なのだろう。

女子高生に人気の商品については「高校生はまず『フレーバーポテト』と水を頼む客が圧倒的に多い」と諸原さん。同店のフレーバーポテトは、定番のフレンチフライのほか、チリトマト・ペッパーマヨ・チーズ・コンソメ・じゃがバタ・B.B.Q・焼とうもろこし・テリヤキと全部で9種類の味を揃えている。ちなみに女子高生に人気のベスト3は1位=「じゃがバタ」、2位=「コンソメ」、3位=「チーズ」だという。9月30日には、チリトマトに代わってさらに辛味の増した「ハバネロチリトマト」が登場。1996年から現在までに約30種類のテイストが開発されたという。「当店で味付けポテトを開発してから競合他店も追随して販売を始めたため、マクドナルドの『シャカシャカポテト』やロッテリアの『フリポテ』など、間違えた名前で注文する10代客も多い」と諸原さんは苦笑いする。

また、同店ではオリジナルソースのピリ辛ケチャップ・ガーリックマヨネーズ・辛子明太子マヨネーズ・チーズソースなどを含めた計7種類のソースを用意した「ソースバー」を店内に備えているのが特徴。「全部のソースを席へ持って行って、味付けポテトにさらにソースを付けて食べるのも10代客の特徴。ソースを何種類か混ぜて、『マイ・テイスト』として友達に勧める様子もよく見かける」と諸原さん。10代は濃い味やはっきりした味を好むと言われているが、調味料をふんだんに使って自分なりの味にするのが好きなようだ。夏に人気のメニューとしてはフロートがあり、こちらもテイストは全部で7種類。「女子高生に人気なのは『アーモンドココアフロート』で、やはりコーヒーなどよりもココアの甘さが10代女子には好まれるようだ」と諸原さんは言う。

10代女子の来店動向については「ポテトと水だけで2~3時間滞在するのが平均的。店内が混み合ってきた時は、他のお客様に席を譲っていただく様、声を掛けることもある」という。センター街店は全部で120席、1階が喫煙席、地下1階が禁煙席となっているが、喫煙席に座る女子高生が多い理由については「地下は携帯の電波が入らないため、女子高生は例え喫煙席でも1階を好むようだ」と諸原さんは話す。友達とのおしゃべりを楽しんでいるとは言え、2時間もいたら手持ち無沙汰にもなるだろう。10代女子にとっては、時間を潰すためのファストフード店で「携帯の電波が入ること」も不可欠な条件だと推察される。

ファーストキッチン
ファーストキッチン ファーストキッチン:ソースバー ファーストキッチン:ハバネロチリトマト

■牛丼にフレンチ・ドレッシング…10代の斬新な味覚

ファーストキッチンの向かいに店を構える牛丼店「すき家」の状況を、同店スタッフの笹原さんに話を聞いた。「時間帯にもよるが、夕方以降は10~20代客が8割を占めている」と笹原さん。「すき家」は元々「郊外型ファミリー牛丼店」をコンセプトにチェーン展開しているが、都内の店舗のほとんどが主要客は会社員男性だそうだ。しかし、センター街店は中でも異例で、明らかに他店と客層が違うという。「10代客のうち男女比は半々くらい。カップルでの来店客が多いのも特徴的」。2、3人のグループで来店する客の中には、サラダ(100円)やとん汁(130円)といったサイドメニューだけを頼む子がいるのも、10代客ならではの傾向だそうだ。

10代に人気のメニューについては「10代客は基本的に新メニューに敏感。現在なら、9月17日に新発売となった牛丼が人気」という。また、トッピングに対してこだわりが強いのも10代の傾向で、ハーブチーズやマヨネーズ、たまごといったトッピングがよく売れるという。「当店ではサラダ用のドレッシングを2種、カウンターに設置しているが、10代客の中にはフレンチ・ドレッシングを牛丼にかける子も多く、ドレッシングの減り具合が異常に早い」と笹原さん。人気のマヨネーズのトッピングは50円だが、カウンター上のフレンチ・ドレッシングは無料だという理由もあるのかもしれないが「牛丼にドレッシング」の組み合わせは、10代ならではの斬新な味覚と言えそうだ。

「会社員の客は早いと3~5分で食事を終えて帰るが、10代客の場合はゆっくりと食事をする。おしゃべりをしながら、大体30~40分滞在するのが平均的」と笹原さんは言う。それでもバーガーショップに比べると滞在時間は短い方だ。やはりカウンター席ではくつろぎ難いのだろうか。ところが、「目の前のカウンターに化粧道具を広げ、ゆっくりと化粧直しをする女子高生もよく見かける」(笹原さん)というから驚く。同店では、セットメニューの場合はいくつかの食器をトレーに乗せて提供しているが、10代客が帰った後は食器がトレーの外側に置いてあったり、大量の紙ナプキンが散乱していたりと、その散らかりっぷりも大胆だと苦笑いする。ファストフードの中でも牛丼店の場合は食事が第一の目的であり、やはり「時間を潰す」とまではいかない10代も、相応にマイペースでくつろいでいる様子が伺える。

すき家(ゼンショー)
すき家 すき家 すき家:サイドメニュー

■安いから絶対「マック」―価格と立地が10代を惹きつける

渋谷を歩いている女子高生に、ファストフードの利用状況について話を聞いた。高校2年生のナミちゃんとチナツちゃんによく行くファストフード店を聞くと「安いから、絶対マック。マック大好き」と答えた。チナツちゃんは週に3回マクドナルドに行くそうで、1回に2~3時間は滞在するという。3時間も何をして過ごしているのかと聞くと「まずはガツ食いでしょう。何も言わずに食うのが先。その後、友達としゃべったり、トランス踊ったりもするかな」(チナツちゃん)とのこと。また、チナツちゃんが一番よく食べるメニューは今なら「月見バーガー」だという。やはり10代は新商品や期間限定商品には敏感なようだ。「よく行くのはマックだけど、ファッキン(=ファーストキッチン)も好き」と言う高2のユミちゃんとシホちゃんは、バーガーを食べるならマック、ポテトを食べるならファッキンと使い分けている。シホちゃんは「ファッキンではB.B.Q味のポテトにガーリックマヨネーズ味のソースを付けて食べるのが好き」とのこと。

高2のエリちゃんは「よく行くのはマック。安いし、どこにでもいっぱいあるから」と話す。よく食べるメニューは「ポテト」で、食べた後は友達としゃべったり、寝たりもするという。「食べると眠くなるし。マックはまたーりするために行く」と、エリちゃん。「またーり」とは、「まったりする」の進化系だそうで、たとえば「決定」を「けてーい」と言ったり、彼女の友達間では言葉を途中で伸ばすのが流行っているらしい。同じく高2のサキナちゃんは、「私はファッキン。よく食べるのがポテトで、ファッキンはソースがいっぱい置いてあるから」と話していて、ソースはガーリックマヨネーズ味が好きだという。また、サキナちゃんがバーガーを食べる時は、パンと挟んである肉やレタスなどを分解してそれぞれ個別に食べるのがお気に入りだそうだ。「マックは暇つぶしに行ったり、友達と『LOVEの作戦会議』をするために行ったりする」と言うサキナちゃん。やはり、10代女子にとってのファストフード店は「食事をする場」というより「友達と語る場」として機能しているようだ。

セルフサービスや画一的なオペレーションなどによって、手頃な料金と手早く摂れる食事をウリとしているファストフード店。利益を上げるためには、客の回転率を上げることが重要な課題の一つだろう。しかしファストフード好きな10代は、セルフサービスであるが故に居心地よく、長時間滞在する傾向にある。また、商品の味に惹かれて来店するわけでもなく、ソースやトッピングなどによって独自のテイストを楽しむ傾向も特徴だ。10代にとってのファストフードは、その商品メニューだけではなく、その空間で友人と過ごすことのできる「時間」に価値を感じているようにも映る。

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