特集

経済波及効果1兆1千億円の街づくり
都心の新拠点「汐留シオサイト」の全貌

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■汐留から「汐留シオサイト」へ。官民協働の街づくり

2002年にスタートした国内最大級の再開発プロジェクト「汐留シオサイト」。正式には「東京都計画事業汐留土地区画整理事業施行地区」と称される汐留地区。古くは鉄道発祥の地として名を馳せたこの地が、いま新たな都心に生まれ変わろうとしている。明治5年(1872年)、新橋・横浜間に日本初の鉄道が営業を開始。当時の“新橋駅”こと「旧新橋停車場」が置かれたのが汐留である。鉄道発祥の地は、やがて交通と文化の“交差点”として大きく発展していく。しかし、大正3年(1914年)に東京駅が開設され、「新橋停車場」は「汐留駅」に、「烏森駅」は「新橋駅」にそれぞれ名称が変わり、現在の「新橋駅」が開業したことで「汐留駅」は貨物専用になる。その後、汐留は高度経済成長に伴い、“一大貨物ターミナル”へと変貌を遂げる。東京-大阪間を専用のコンテナ列車が往復するなど、物流の“交差点”となった汐留だが、1973年の東京貨物ターミナル開業によって貨物駅としての汐留にも転機が訪れる。国鉄民営化の前年である1986年、汐留貨物駅は廃止される。国鉄の民営化にともない、国鉄清算事業団が旧国鉄汐留貨物駅跡地を売却したことで、多くの地権者からなる基盤整備エリアへと変わった。再開発に取りかかるまで、新橋や浜松町、銀座にも隣接するにもかかわらず、汐留には31ヘクタールという広大な空地が10年以上もそのままになっていた。

汐留シオサイト 汐留シオサイト

汐留再開発のスタートは、1985年に行われた「汐留周辺地区総合整備計画」から始まる。同年と翌年に実施された「汐留駅周辺地区総合整備計画調査」の結果を踏まえて、広大な土地には将来、オフィスと都市活動層を対象とした住宅、都市地域と臨海地域の接続空間の形成がふさわしいと謳われる。汐留で建設が進む大規模再開発の名称が「汐留シオサイト(SIO-SITE)」に決定したのは2002年7月。同再開発プロジェクトの最大の特徴は、官民協働型の街づくりにある。自主的な街づくりについて意見交換を行い、また東京都、港区との連絡調整を行う場の中心となるのが、1995年12月に設立された「汐留地区街づくり協議会」(事務局:東新橋)。同協議会は各街区の宅地の所有者と宅地の借地権者全員が会員となり、東京都と港区が特別会員となって構成されている。「汐留地区街づくり協議会」事務局長の毛島さんは「自然との共生をテーマに安全、安心、潤いのある街を目標にして街づくりに取り組んでいる」と語る。「汐留シオサイト」というネーミングについては「名前とシンボルマークを持つことによって自分たちが働き、暮らす街への愛着を持たせ、また記憶に残る街づくりを目指して『汐留シオサイト』というネーミングを定めた。地球と海をイメージしたロゴマークがこのエリアを象徴している。『汐留シオサイト』とは、地球と自然の共生によって生まれた水域未来発信基地、つまりサイトという意味である」と説明する。「汐留シオサイト」の街づくりの基本姿勢として同協議会事務局では次の4点を挙げている。

  1. 成長型から成熟型の街づくりへ
  2. 官民協働による街づくりへ
  3. プロセスを重視する街づくりへ
  4. 継続的な街づくりへ
汐留シオサイト 汐留シオサイト(SIO-SITE) 汐留シオサイト(SIO-SITE)

同協議会が定めた「安全で安心、緑あふれる快適な街づくり」を実現するために具体的に実施されるのは、街区の間をつなぐ共有空間、つまり公共施設整備のグレードアップであり、竣工後もそれらを地域全体として継続的に管理運営していくことである。これによって自然石を使用した歩道や街路灯、地下歩道、樹木の植栽など環境デザインが実施される。毛島さんは「汐留シオサイト」は街路やデッキなど、従来、官主導で進められてきた環境インフラの整備を官民協働で進めていることに加え、都市開発のポイントとして「都営大江戸線・新交通ゆりかもめの汐留駅も開業し、これで地上と地下が重層的な構造になる」ことも特徴のひとつに挙げる。地上2階の歩行者デッキ、地上の歩道、地上を通らずに駅に行ける地下歩道の建設はその一例。地下には幅40m、長さ450mの歩行者専用道が続き、JR新橋駅とも直結する。地下道のさらに下には街区を周回する約1kmの地下車路が設けられる。「基本整備は行政だが、地下歩道などの環境的な整備やデザインは汐留地区街づくり協議会が提案した。公共施設のグレードが高いこともポイントのひとつ」(毛島さん)。一方、グレードアップした分の維持費・管理費については、必要なコストの負担を地権者ら同協議会が担い、今後、地権者や住民が主体となって設立する管理法人を窓口に行政と協働した街づくりを進めていくという。最後に毛島さんは品川や六本木などで進められている都心部の再開発にふれ、「共存が大切。汐留だけでなく、銀座、新橋など互いに連携していくことが必要」と説く。

汐留駅 地下歩道 地下歩道

全プロジェクトが全貌を見せると予定される2007年まで継続的に続けられる街づくりは、複数のコンセプトからなる11街区に分かれ、建設が進められている。12月1日、A街区に誕生したのが、電通本社ビルとその商業施設「カレッタ汐留」。「カレッタ汐留」は飲食店33、物販・サービス業25、合計58店舗と、首都圏では3つ目となる「劇団四季」の新しい専用劇場「海」、広告の資料や文献が収められた「アド・ミュージアム東京」などからなる都市型複合施設。電通新本社オフィス棟は地下5階、地上48階。高さは210m。このオフィス棟の46、47階は「カレッタ汐留」のスカイレストランとなっている。オフィス棟と並んで建つ商業・文化棟は「キャニオンテラス」(地上3階)と「カレッタモール」(地下2階)から成る。前者は「電通四季劇場 海」のエントランスと5つのレストランが入り、後者には話題の飲食店15が集積する。「カレッタ汐留」のコンセプトは“スローライフ”。電通では「都市に暮らす大人の生活者のための時空間」と位置づけている。

電通 カレッタ汐留
カレッタ汐留 カレッタ汐留 カレッタ汐留

■渋谷圏から汐留へ進出する飲食ベンチャー

「カレッタ汐留」には、渋谷圏から飛び立ったフードベンチャーも健闘している。12月1日、「カレッタ汐留」46階にオープンした「YAKINIKU TORAJI PARAM(パラン)」は恵比寿で誕生した「炭火焼肉トラジ」(本社:渋谷区)の近未来型レストラン。「オードブルからメインに至るまで従来の焼肉店のイメージを覆すメニュー内容」となっている。PARAM(パラン)とは韓国語で「風」の意。「トラジ」は近年、「ヴィーナスフォート」「晴海トリトン」など大型商業施設に直営店を出店し、2002年には「丸ビル」(丸の内)、上野仲町通り、有楽町高架下に相次いで開業。来春には「六本木ヒルズ」にも直営店を設ける、現在破竹の勢いの企業である。同社では「今回は特にコースがおすすめ」と謳っている。コリアン・ランチ3,000円、ディナー6,000円と8,000円。「夜景も素晴らしいが、それに負けないくらいの新鮮でヘルシーな料理を提供する」と力が入る。「カレッタ汐留」に設けられた地上200mの「スカイレストラン」はお台場の夜景が見渡せる絶好のロケーション。オープン早々、話題を集めている。

トラジ

「キャニオンテラス」3階にオープンした「THE SEASONER(ザ・シーズナー)汐留店」は、カリフォルニア・キュイジーヌの人気店「カーディナス」(広尾、恵比寿、代官山)の姉妹店。今秋10月、恵比寿に新業態「Sushi cuisine」を開業した同社もまたフードベンチャーとして新天地に進出している。

カーディナス
電通本社ビル 海

■1,000戸を“即日完売”した超高層マンション

2002年内、D南街区に完成するのが、47階建ての超高層マンション2棟から成る「東京ツインパークス」。平均価格1億円。全1,000戸が“即日完売”したことで話題を提供した高級分譲マンションは、三菱地所、三井不動産、住友不動産など大手デベロッパーを中心とした8社共同企業体による物件であることが規模の大きさを物語っている。「汐留シオサイト」は“職・遊・住”を謳った新たな都市。“住”を担うのがこの「東京ツインパークス」と、2004年春に完成予定の「都市基盤公団賃貸住宅」(H街区)である。後者は完成時には“日本一高層”の公団賃貸マンションになる。

東京ツインパークス 都市基盤整備公団
東京ツインパークス

また来春には、明治5年に開業した「新橋駅」がB街区に「旧新橋停車場(ていしゃじょう)」として再現される。当時の写真や資料をもとに可能な限り正確に再現されるもので、本物が実在した場所に当時の外観が再現されることになる。事業主となるのは「財団法人東日本鉄道文化財団」(所在地:渋谷区)。復元駅舎内に汐留の歴史・鉄道を紹介する「鉄道歴史展示室」を設け、一般に開放。駅舎基礎石の見学窓や汐留で発見された鉄道遺物を展示するほか、当時の風景等を映像で紹介するコーナー、旧新橋停車場等に関するデータベース(パソコン)を設けるなど、多様な演出で鉄道の歴史などを振り返るテーマ性の高いものとなる。また、復元駅舎内に、JR東日本のグループ会社である「ジェイアール東日本フードビジネス」が、東京駅のレストラン「東京食堂 Central Mikuni's」で提携したフレンチの人気シェフ三国清三氏とのコラボレート第2弾として「グランカフェ新橋ミクニ」を開店する。1階はヨーロッパスタイルグランカフェをイメージしたメインダイニングと和紙を用いた回転寿司コーナー、テイクアウトコーナーなどを設ける。2階はゲストルームとして対応できるようグレードの高い個室を配置。「東京食堂 Central Mikuni's」で話題を呼んだ“回転寿司コーナー”が「旧新橋停車場復元駅舎」にも登場するとあって、グルメの間ではすでに話題を集めている。

東日本鉄道文化財団 ジェイアール東日本フードビジネス

複合街区であるB街区には他にも「汐留シティーセンター」と「松下電工東京本社ビル」が来春4月に開業。前者は43階建ての先鋭的賃貸オフィスと商業施設からなり、後者はショウルーム機能を備えたビルとなる。「汐留シティーセンター」の低層階と高層階にはショップやレストラン、カフェが入る予定。

■虎ノ門-新橋を結ぶ環状2号線=通称「マッカーサー道路」も始動

終戦直後に建設が計画されたまま、凍結状態が続き“幻の道路”となっていた虎ノ門-新橋(約1.4km)を結ぶ都道環状2号線、通称「マッカーサー道路」。東京都は今秋10月7日、「環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業」計画を決定し、告示を行った。これは戦後の1945年に都市計画決定された通称「マッカーサー道路」の整備を含む事業で、2011年度末の完成を目指す。総事業費は約2,200億円。全線開通すれば現在30分以上かかる虎ノ門から臨海副都心までの時間は半分に縮まるとされている。そもそもこの計画が浮上したのは終戦直後。米国が虎ノ門の米国大使館から東京湾の竹芝桟橋まで幅100mもの軍用道路の整備を要請したとされ、政府の戦災復興院が翌1946年に都市計画決定した。GHQ(連合国軍総司令部)のマッカーサー元帥にちなんで地元ではいつしか「マッカーサー道路」と呼ばれるようになった。しかし、予定地上は店舗や住宅が密集しており、地元の反対もあり、道路計画は凍結されたままであった。一方、環状2号線の延伸予定地は3階までしか建てられないなど厳しい建築制限が敷かれ、高層ビルが建ち並ぶ都心に奇妙な谷間が残されていた。

計画が浮上してから半世紀余り。「マッカーサー道路」の建設が“幻の道路”から現実味を帯びるようになった要因は、「汐留土地区画整理事業」が浮上したことにある。汐留再開発という巨大プロジェクトがきっかけとなり、再開発と一体化「マッカーサー道路」事業計画が息を吹き返したのである。8年にも及ぶ協議で、道路の大部分は地下を通し、その上の一部に住民が権利を持つ高層ビルを建設するなど、地元の意向を汲んだ形で開発計画は合意したという。現在、交通渋滞が続く周辺は「マッカーサー道路」の完成によって緩和されることになる。

「マッカーサー道路」

■空前のホテル開業ラッシュ。サービスを競う「汐留ホテル戦争」

「汐留シオサイト」は都市型ホテルの開業ラッシュとも深く関連している。東京都心では、2006年まで大型ホテルの新設が相次ぐため、既存ホテルも改装や設備拡充で対抗。顧客争奪戦はますます過熱しそうな勢いを見せる。現在、「汐留シオサイト」だけでも開業が予定されているホテルは4つ。2003年7月「ロイヤルパーク汐留タワー」、同年9月「パークホテル東京」、2004年10月「ヴィラフォンテーヌ」、2005年1月竣工予定の「セントレジス東京」で総客室数は約1,600室。それぞれが個性化を標榜し、ハード面だけでなく、オペレーション面でも独自のサービスや機能を競うことになる。開業ラッシュを「汐留シオサイト」周辺で見渡すと、今夏開業した「セレスティンホテル」(港区)、今秋開業した東京駅の八重洲南口「フォーシーズンズホテル丸の内東京」(57室)に加え、2003年には「品川全日空ホテル」(品川区)がオープンする、まさに空前のホテル開業ラッシュ。

顧客獲得へ向けて、深夜宿泊や出前の活用など斬新サービスを行うのが2003年7月1日に開業する「ロイヤルパーク汐留タワー」。未明や早朝からでも約10時間宿泊・滞在できる「タイムシェアリング」という新サービスを導入するもので、企業と提携して会員向けに24時間チェックイン対応を始めるなど深夜や早朝からの宿泊需要に応えるとともに、ルームサービスを近隣飲食店の出前でまかなうといった新サービスも導入が予定されている。同社が「タイムシェアリング」を導入するのは、「電通」や「日本テレビ」、「共同通信社」など広告やマスコミの大手が「汐留シオサイト」に集積することによって“不眠不休”の「メディアシティ」が当地に誕生するため、こうしたフレキシブルな宿泊ニーズが見込める企業などと契約を結び、宿泊需要を取り込もうという戦略。同社では「24時間、働き続けるメディアシティにおいては、客室は時にプライベートオフィスとしても利用される」とし、すべての客室に高速インターネット環境を整備するほか「利便性にこだわった機能的な構成により、ビジネスライフをパワフルにサポートする」と定めている。

一方、ルームサービスに周辺飲食店からの「出前」を活用するのもユニーク。同社では「24時間営業のビジネスコンビニや充実したデリバリーサービスも用意する」という。同ホテルはロビーラウンジと終日利用できるカジュアルレストランを自営で手がけるほか、中華と和食レストラン、喫茶店をテナントで入居させるが、ルームサービスは周辺の飲食店と契約し、すしやピザ、軽食を注文してまかなう。また、宅配は客室内に置いたテレビ兼用のパソコン画面「サイバーコンシェルジェ」や電話で受け付ける。飲食店から配達された食事はホテル従業員がロビーで受け取り、客室まで運ぶ。コンビニ商品の客室配達も検討する。同ホテルの客室数は490。宴会機能を絞り、ルームサービスなどの運営を効率化することで従業員数を抑える。

ロイヤルパーク汐留タワー

同じく2003月9月、「汐留シオサイト」に開業するのが「芝パークホテル」(港区)のグループホテルである「パークホテル東京」。同社でも「タイムシェアリング」の導入を予定しているという。パソコン、FAX、携帯電話の貸し出し、携帯電話バッテリー充電、通訳の紹介、名刺作成フォローなど、ビジネスマン向けにきめ細かなビジネスサポートサービスを実施する一方で “ヘルスメンテナンス” をキーワードに、本格的なリラクゼーションスペースを設備。「心理テストによりストレスを分析し、カウンセリングに基づくアロマテラピーが体験できる」という。さらにスポーツアロマテラピーの第一人者・日下部知世子氏の研究所としても展開、プロのアスリートのトータルサポートも実施される。

パークホテル東京

2004年10月に開業する「ヴィラフォンテーヌ汐留」は、住友不動産のビジネスユースのホテル。大手町、浜松町にも開業している。既存ホテルでは現在「お得な週末プラン」を実施しているが、「汐留」のサービス内容は未定。

ヴィラフォンテーヌ

2005年1月には6つのブランドを持つ世界最大のホテル会社「スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ」(米国)の日本初となる最高級ブランドホテル「セントレジス東京」が、オフィスとの複合ビルの高層部分に開業を予定している。誘致したのは「森トラスト」「森産業トラスト」とおよび「住友不動産」。3社が進める「(仮称)汐留・浜離宮サイドプロジェクト」によるもので、「森トラスト」では「浜離宮庭園に隣接する絶好の立地に、オフィス、ホテル、商業施設を組み合わせた複合開発を行うもの」と謳っている。「セントレジス」は1904年創業のニューヨークの名門ホテル「ザ・セントレジス」に由来する高級ホテルブランドで、ラグジュアリーホテル部門のトップブランドと称されている。客室数約350室。

森トラスト

このように多くのホテルが開業することで、街のポスピタリティ度は格段に向上する。ホテルは宿泊の機能のみならず、街にパブリックな影響を与え、地域活性化の推進力にもなる。都市の再開発にエリアの安全性や快適性、国際性、グレードなどを象徴するホテルの開業は今や不可欠な要素とも言える。特に「汐留シオサイト」では、個性をセールスポイントに掲げる複数のホテルが互いに競い合うことで、他のエリアとはレベルの異なるホスピタリティ性の実現に期待がかかる。

2002年~2003年は再開発ビルやエリアの再開発プロジェクト、大型商業施設や駅ビルなどが相次いで誕生あるいはリニューアルを迎える変節点でもある。9月に「丸ビル」(丸の内)が竣工、10月には開発中の「品川シーサイドフォレスト」(全貌は2004年に完成)に先陣を切って「オーバルガーデン」が完成、同じく10月には木場の再開発エリア「深川ギャザリア」に「ロータス・パーク」が誕生。11月には「恵比寿ガーデンプレイス」に「グラス・スクエア」がデビュー。東銀座では「ADK松竹スクエア(築地松竹ビル)が完成し、同じく11月にはJR新宿駅ビル「マイシティ新宿」に飲食施設「SHUN/KAN」がリニューアルオープン。11月末には川崎駅そばにイタリアの丘陵につくられた街をモチーフにしたエンタテインメントエリア「ラ・チッタデッラ」が開業した。2003年には「六本木6丁目」の「六本木ヒルズ」が完成し、六本木再開発の一部が姿を見せることになる。都心部では2003年前後にオフィスの供給過剰による「2003年問題」を抱えながらも、職住接近のワーク&ライフスタイルの進行が確実に進行する。東京都が1996年に建物の容積率(最大1200%)を大幅に緩和したことによる再開発の促進も背景にある。

再開発ブーム、リニューアルブームの背景には、不況が長引く中で値上がりが期待できないと判断した土地を売却した企業や地主の思惑や、IT時代に対応する新オフィスの需要と供給のバランスシート、バブル崩壊後の地価下落にともなう住宅の都心回帰とデベロッパーの戦略など、様々な要因が見え隠れする。「汐留シオサイト」に限ってみれば、そのユニークさは官民協働による「街づくり」が段階的かつ継続的に“ライブ”で届けられる稀有な開発プロジェクトであることと、そのスケール。行政と企業、地権者などが集まって実施する「街づくり」として国内最大規模であることは言うまでもないが、2002年から2007年の間に、同時進行して新たな地下鉄の駅が誕生し、環状2号線の延伸や313号線など周辺道路の整備や拡張されるなどインフラ整備が同時並行で行われる点も見逃せない。

2003年5月には「日本テレビ」の本社ビルとなる「日本テレビタワー」が、6月には「共同通信」の本社と同年9月に開業予定の「パークホテル東京」が入る「汐留メディアタワー」が誕生し、「汐留シオサイト」は電通本社ビルとあわせて一気に広告、マスコミ関連の最大手が集積する、国内でも珍しい不眠の「メディアシティ」「メディア城下町」という側面を生み出す。さらに、イタリア政府との提携により本格的なイタリアの街並みを再現する「チッタ・イタリア」の開業(2003年末オープン予定)や、2005年まで続く都市型ホテルの開業など、「汐留シオサイト」では“都市のグローバルスタンダード”を目指すスケールの大きい街づくりが進む。1,463億円をかけて都市基盤を整え、建設費だけで4,000億円以上の民間投資を呼び込むビックプロジェクトを、東京都では経済波及効果1兆1千億円に達すると試算している。ライブで開発が進む国内最大規模のプロジェクト「汐留シオサイト」から今後も目が離せない。

日本テレビ