プレスリリース

【イベントレポート】岩手県主催の林野火災・被災木利用セミナー。科学的データと実践から被災木利用の今を報告。11月には現地視察ツアーも実施

リリース発行企業:株式会社森未来

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「Sustainable Forest」をミッションとする株式会社森未来(本社:東京都港区、代表取締役:浅野純平)は、岩手県より「令和8年度林野火災復旧関連木材利用促進PR業務」を受託し、令和7年(2025年)2月に発生した大船渡市林野火災からの復旧に向けた被災木利用の普及・啓発PRに取り組んでいます。その一環として2026年7月24日(金)、「岩手県 林野火災・被災木利用セミナー in MOCTION-木づかいで繋がる、林野火災からの森林再生-」の企画・運営を担当いたしました。

■ セミナー開催の背景

大船渡市の林野火災は、森林被害面積3,370haという昭和39年以降で国内最大規模の延焼となり、1名の方が亡くなったほか、家屋や農林水産業の施設にも被害が及びました。さらに2026年4月には隣接する大槌町でも大規模な林野火災が発生しています。被害を受けた森林の再生には、被災木の伐採・搬出とその後の再造林が不可欠ですが、大量に発生する被災木の販売先・利用先の確保が大きな課題となっています。
本セミナーは、こうした被災木の「出口づくり」を都市の設計者やデザイナー、環境経営を重視する企業とともに考える場として、新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONEを会場に、会場参加とオンライン配信のハイブリッド形式で開催されました。当日の様子は、大手新聞社や地元のテレビ局など、複数のメディアでも取り上げられました。

■ 司会進行:2026ミス日本みどりの大使からのご挨拶


2026ミス日本みどりの大使 永田愛実氏

開会に先立ち、本セミナーの総合司会を務める2026ミス日本みどりの大使の永田愛実氏があいさつに立ちました。
長崎県出身で幼い頃から自然に親しんできた永田氏は、高校野球イメージガールなどの経験を通じて「大切な情報や人の想いを届ける」ことを志すようになった自身の原点を紹介。現在はみどりの大使として全国の森林や林業の現場を訪れ、木材の魅力を広く発信していると述べました。
また「一本の木が育つまでの長い時間と労力を思うと、林野火災は自然環境だけでなく、人々の積み重ねてきた努力や地域の財産にも影響を及ぼす深刻な出来事」と語り、参加者にとって本セミナーが森林との関わりや「木づかい」への理解を深める実りある時間となるよう、精一杯司会を務めたいと意気込みを述べました。

■ オープニング:岩手県知事・大船渡市長からのご挨拶


岩手県知事 達増拓也氏

開会にあたり、岩手県知事 達増拓也氏があいさつに立ち、岩手県が「森の国、木の街づくり宣言」や「いわて木づかい運動」などを通じて官民一体で県産木材の利用を進めてきたことに触れたうえで、「森林が持つ多面的機能の早期回復に加え、防火機能の強化や新たな価値の創出という視点を持ちながら取り組むことが重要」と述べました。

あわせて、企業や森林組合などで構成する「TEAM森林再生大船渡」が設立されるなど、官民連携による利活用の動きが広がりを見せていることも紹介しています。
このセミナーでは、1.林野火災による被害、2.被災木の利活用、3.森林再生の3つの視点から学びを深め、森林再生支援の輪が広がることを期待していると締めくくりました。

大船渡市長 渕上清氏

続いて、大船渡市長 渕上清氏が登壇。「令和7年大船渡市大規模林野火災等に係る森林再生計画」に基づき、市有林では2026年4月から一部で跡地造林を実施したこと、私有林でも境界確認作業に着手したことなど、復旧の進捗を報告しました。

また、被災木材を使用した建築工事への補助金を今年5月に創設したことを紹介し、被災した漁業者の作業小屋の再建にも活用できることや、他の補助金との併用も可能であることを説明。「すでに木材流通が確立している業界の中に、被災木をどう組み込むかは我々だけでは踏み込めない。専門家の皆様のお力添えが必要」と協力を呼びかけました。

■ 岩手県による取組報告:被災木の利用促進に向けた取組


岩手県農林水産部林業振興課 鈴木善之氏

岩手県農林水産部林業振興課の鈴木善之氏は、供給円滑化に向けて製材所や木質バイオマス発電所への調査の実施、現地検討会などを実施してきたことを説明しました。
被災木利用の必要性を、1.森林所有者の利益、2.時間経過による材質低下、3.倒木等の危険除去、4.災害復旧事業の円滑な実施という4つの視点から整理しました。特に、京都大学・東北大学と連携した強度試験によって「被災木の強度は健全木と遜色ない」ことを科学的に証明できたことが、流通促進にとって重要であると報告しています。

一方で、大規模な復旧事業の進展にともない被災木が供給過多になる可能性も見据え、県内外でのイベント等を通じた継続的な需要喚起の必要性を強調しています。

■ パネラーによる報告:研究と実践から考える被災木利用と森林再生

続くパートでは、4名のパネラーがそれぞれの立場から報告を行いました。
被災木はどう変化していくのか ─科学的データが示す早期利用の必要性

千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授 峠嘉哉氏



峠 嘉哉氏(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授)は、「林野火災後の被災森林の変遷とリスク管理」と題し、2017年に発生した釜石市尾崎半島の林野火災跡地の8年間の変化を、衛星解析と地上での実測データから紹介しました。
焼損した針葉樹は、焼損度が高いほど数年をかけて枯死し、「危険木」化していくこと、片面だけが焼けた木も構造的に弱くなり「チェーンソーを入れることすら考えられない状態」になり得ることを、釜石での定点写真を示しながら解説しました。
※危険木とは:倒木により樹高と同等の距離の範囲にある建造物又は公共施設等に被害を与えるおそれがある樹木

人工衛星では見えにくい中程度の焼損域については、デンドロメーターによる地上モニタリングを地域住民とともに進めていることも紹介し、「こうなる前に、被災木を利用しながら切っていく必要がある」と早期利用の重要性を訴えました。一方で、市民生活のうえでは安全性が確保されるよう、生活圏については対策が進められていることもあわせて強調しています。
焼損木の強度は健全材と変わらない ─科学的データが示す利用可能性

岩手県林業技術センター 首席専門研究員 谷内博規氏



谷内 博規氏(岩手県林業技術センター 首席専門研究員)は、「林野火災・被災木の力学特性について」と題し、鎮火から3カ月経過した大船渡市有林の被災木を焼損度別(低・中・激)に伐採・製材し、曲げ強度等を測定した結果を報告しました。「焼損の多くは樹皮の炭化にとどまり、皮を剥ぐと中は健全材と変わらない」とし、実際に製材した木材を測定した結果、焼損度によらずほとんどが集成材JASの基準を満たすことが判明。
一方で、焼損度が高いほど樹皮が薄くなり、乾燥による干割れやキクイムシなどの虫害リスクが高まることにも触れ、「水分や腐朽など材質変化の推移を把握したうえで適切な管理・選別を行えば、被災木は有効活用できる」と、継続調査の方針を示しました。
企業連携が生んだ"出口" ─被災木は、もう都市でも使われている

「TEAM森林再生大船渡」発起人メンバー/物林株式会社 社長室 新事業推進部 部長 勝田幸仁朗氏



勝田 幸仁朗氏(「TEAM森林再生大船渡」発起人メンバー/物林株式会社 社長室 新事業推進部 部長)は、「被災木で現地と企業をつなぐTEAM森林再生大船渡の取組」を報告しました。当初は「本当にこの木は使えないのか」という素朴な疑問から、森林組合や合板・素材流通企業などの6社が集まり、行政の強度試験と並行して民間主導で合板の試作を始めたことが、TEAM森林再生大船渡の出発点だったと振り返りました。

現在は約20社が参加し、協業のテーブルとなる「TEAM森林再生大船渡」では、大船渡の被災木を通じて川上・川中・川下それぞれの需要と供給をつなぎ、様々な課題解決を模索しながら活動しています。
すでに合板・LVL・製材品・羽目板・造作材など、通常のスギ材で作られるほぼすべての製品で製造可能であることが確認されています。その具体例として、東京・丸の内で2028年完成予定の高層木造ビル(東京海上日動火災新本店ビル)の仮設休憩所において、被災木を使った合板約1,200平米がいち早く採用・活用された事例を紹介。「注目されるプロジェクトで木材を使っていただけたことは、我々にとって大きな一歩」と語りました。
森をつくる担い手をどう増やすか ─企業協働と森林集約の両輪

青葉組株式会社 代表取締役 中井照大郎氏



中井 照大郎氏(青葉組株式会社 代表取締役)は、「企業との協働による林野火災からの森林再生」を報告しました。青葉組は伐採・下刈り・植林など造林を専門とする企業で、栃木・茨城・新潟に加え、2026年4月から大船渡にも拠点を開設し、3名体制で活動を始めています。

スギに加えて広葉樹の植栽にも力を入れ、地表の保水力を高め延焼しにくい森林づくりを進めているほか、企業からの資金協力を植林・森林管理につなげる仕組みも紹介しました。卓球用品メーカーの株式会社タマス(Butterfly)と組んだ北関東での事例を引き合いに、大船渡でも同様に、企業と森をつなぐ「関わりしろ」を広げていく考えを示しました。
あわせて、山林所有者から森林を長期で預かる一般社団法人「大船渡・森の再生」を新たに設立したことも報告しました。2026年7月時点で38名・168筆・約138haの引き取り実績があり、小規模で管理が難しい森林を集約することで、将来にわたり手入れが行き届く体制づくりを進めているといいます。

■ パネルディスカッション:被災木をどう活用し、森林再生につなげるか

報告後は、手塚さや香氏(コーディネーター)の進行でパネルディスカッションが行われました。手塚氏は復興支援員として釜石地方森林組合で活動し、2017年の釜石市林野火災の復旧にも携わった経歴を持ち、2026年2月には著書『つなぐ森林業 海のまちの森林組合 、復興からその先へ』を上梓しています。

(写真左から)「TEAM森林再生大船渡」発起人メンバー/物林株式会社 社長室 新事業推進部 部長 勝田幸仁朗氏、青葉組株式会社 代表取締役 中井照大郎氏、コーディネーター 手塚さや香氏

ディスカッションの冒頭、手塚氏が会場に「木を使うことに関心がある方」「山の再生に関わっていきたい方」「その他、林業自体に関心がある方」と挙手を求めたところ、いずれの問いにも多くの手が挙がりました。設計・建築・家具関連企業や、CSR・環境経営に関心を持つ企業担当者など、被災木利用を具体的に検討し得る層が多数参加していたことがうかがえます。

議論では、1haのスギ林から出材される木材量(約300m?、大型トラック約30台分)に対し、実際に製材品として供給できる量には限りがあり、「山に素材はあっても、明日すぐ大量にほしい、という要望には応えきれない」という供給側の実情も共有されました。木を伐ってから製品になるまでには短くて2カ月、長ければ半年ほどかかることから、パネラーからは「使いたいと思ったら、できるだけ早い段階でTEAM森林再生大船渡(事務局:気仙地方森林組合)に相談してほしい」との呼びかけがありました。
また、林野火災が頻発する三陸地方の地域特性を踏まえ、燃えにくい樹種の植栽や、都市部の人が現地に足を運び森林と関わり続けることの大切さについても意見が交わされました。

■ 今後の取り組み:11月には現地視察会を実施




セミナーの締めくくりでは、次のステップとして11月に開催する「現地視察会」をご案内いたしました。首都圏の設計士・ゼネコン・発注者など約20名を対象に、1泊2日の日程で盛岡から大船渡・陸前高田周辺を巡り、林野火災の被災現場や被災木を加工する製材所に加え、被災木を使って建設が進む店舗、東日本大震災津波伝承館など地域材を生かした復興建築を訪ねる行程を予定。現地の空気や木材に直接触れることで、被災木利用への理解と機運をさらに高めていく機会にできればと思います。
詳細はeTREEのイベントページよりご確認いただけます。

森未来は、今後も岩手県とともに、被災木の利用を通じて大船渡の森林再生を後押しする取り組みを進めてまいります。被災木や地域材の利用にご関心をお持ちの企業・自治体の皆様は、ぜひ下記よりお問い合わせください。

■ セミナー概要


■ 会社情報
会社名:株式会社森未来
代表者:代表取締役 浅野 純平
住所:〒108-0014 東京都港区芝5-27-6 泉田町ビル6階
設立:2016年4月
コーポレートサイト:https://shin-mirai.co.jp/
「Sustainable Forest」をミッションに、森林・林業・木材に関するITビジネスを展開。
木材利用の専門AIアシスタント Laurel:https://laurel-ai.jp/
BtoB向け木材プラットフォームeTREE:https://www.etree.jp/
■本リリースに関するお問い合わせ先
株式会社森未来 広報担当 
pr@shin-mirai.co.jp