AIが商品を選び、決済まで行う「Agentic Commerce(エージェンティック・コマース)」が注目される中、生活者はAIによる買い物をどのように受け止めているのでしょうか。
伊藤忠ファッションシステム株式会社(以下、ifs)は、20〜60代の生活者1,062名を対象に「AI時代の消費の楽しみ」をテーマとした独自調査を実施しました。

その結果、20〜30代の約3人に1人が「あらゆる買い物をAIに決済まで済ませてほしい」と回答する一方で、「AIがどれだけ発展しても、自分で選びたいもの」として衣服が多く挙げられ、「自分らしさ」や「自分のセンス」を理由とする声が多く見られました。
ifsでは、このようなAIとの対話を通じて自己理解を深め、アイデンティティに合うモノ・コトを選ぶ新たな消費行動を「AIdentity(エーアイデンティティ)消費」と名付け、その兆しを考察しました。
AI時代、「選ぶ」はどう変わるのか
2026年、世界最大級の小売イベント「NRF 2026:Retail’s Big Show」では、AIが商品の選定から決済までを担う「Agentic Commerce(エージェンティック・コマース)」が大きなテーマとなりました。
AIが買い物の意思決定に関わる未来は、もはや遠い話ではありません。
一方で、「生活者は本当にAIに買い物を任せたいと思っているのか」、「AIが選ぶ時代になっても、人は『選ぶ楽しみ』を求め続けるのか」。
こうした問いから、本調査はスタートしました。

時代によって変化する買い物の手段と情報源。生活者が昔よりも多い情報に触れている現代社会。「消費」はどうなっていくのかを読み解きました。
調査で見えた3つのポイント
1.20〜30代の約3人に1人がAIによる自動決済に肯定的
「あらゆる買い物をAIに決済まで済ませてほしい」という設問では、「とてもそう思う」「そう思う」と回答した割合が、ポスト3.11世代(29〜39歳)で31.4%、コロナ世代(21〜29歳)で30.2%となりました。
AIが買い物のパートナーから、意思決定者へと近づき始めていることがうかがえます。

コロナ世代・ポスト3.11世代の約1/3はAIに財布を預けることに肯定的。
2.AI時代でも、「リアル店舗」の価値は失われない
若い世代ほど、「スタッフとの会話自体も買い物の楽しみ」 「お店の空間を味わうことにワクワクする」という回答が多く見られました。
効率化が進む一方で、リアル店舗は「体験」や「共感」を得る場として、より重要性を増していく可能性があります。

今後どれだけAIが発展しても、自分で選んで買いたいものはどんなものか、についての自由記述解答。
3.情報の信頼は、「共感」が鍵になる
全世代を通して最も信頼される情報源は「身近な人のおすすめ」でした。
また若い世代では、「自分のことを理解してくれている」と感じられるAIやインフルエンサーへの信頼も比較的高く、情報の正確性だけでなく、「自分との距離感」が信頼形成に影響していることが分かりました。

若い世代では情報源との「共感」が信頼形成へ影響を与える比重が大きい。