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相直運転開始のもう一つの主役「代官山地下化切替工事」、ヒカリエでトーク

(左から)東急建設代官山作業所所長・浦部克人さん、東京急行電鉄広報部・矢澤史郎さん、昭和女子大学環境デザイン学科准教授・田村圭介さん、シブ経・西樹編集長

(左から)東急建設代官山作業所所長・浦部克人さん、東京急行電鉄広報部・矢澤史郎さん、昭和女子大学環境デザイン学科准教授・田村圭介さん、シブ経・西樹編集長

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 渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)8階クリエーティブスペース「8/」のコートで4月24日、シブヤ経済新聞文化センター/トークラウンジ「東横線・副都心線相直通開始、もう一つの主役-ドキュメント3/16『代官山地下化切替工事』」が開催された。

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 シブヤ経済新聞(以下シブ経)が多彩な分野から「キーマン」を招き、トークを中心としたイベントを行う「シブ経文化センター」の10回目となる今回。パネリストには、東京急行電鉄広報部・矢澤史郎さん、東急建設代官山作業所所長・浦部克人さん、昭和女子大学環境デザイン学科准教授・田村圭介さんを迎えた。進行はシブ経・西樹編集長。

 3月16日早朝の相互直通運転開始に向け、前日15日終電後から3時間46分で行われた代官山駅周辺地下化切替工事に焦点を当てた。今回の相互直通運転は、2000年に国土交通省の諮問機関である運輸政策審議会から「2015年までに東京メトロ副都心線と相互直通運転をするのが望ましい」という答申を受けたことから計画され、2002年から渋谷駅の改良工事、2005年から渋谷-代官山間で地下化工事が進められてきた。

 東急電鉄と東急建設が独自に開発した「STRUM(ストラム)工法」を採用した今回の工事。会場では浦部さんの解説とともに、レールの切断、撤去、架線の取り付け、仮設ホームの撤去、新線の検査など時系列に沿って写真で振り返った。工事区間273メートルはA~Jブロックまでに分け、それぞれでレールをクレーンで撤去したり、ジャッキを使いレールを上げ・下げしたり、砂利で擦(す)り付けたりする(=降下させる)などした。レールは最大で1.7メートルほど下げたという。

 土木作業員や保線作業員など総勢1200人を動員した大規模な工事になったため、当日を迎えるにあたりシミュレーションとして試験施工を数回重ねた。当日は作業員がどこのブロックを担当しているかが一目でわかるようゼッケンで色分けしたほか、現場では200台ほどの無線機・30チャンネルを使い連絡を取り合った。

 工事の2日前の13日、列車が止まるなど各地で影響がでた強風が吹き荒れたこともあり、天候に関する議論も行われたという。当日は微風だったものの、現場に置いた風速計のデータを1時間おきに東急電鉄に報告していた。「最後は神頼み。晴れますようにと祈っていた」(矢澤さん)という。

 4月は新生活を迎える人が増え「ダイヤが乱れやすくなる」ため「何としても3月中にしたかった」という東急電鉄サイドの思いから決定した工事日程。浦部さんは「春風や雪の心配もあり、非常に厳しい工期だった。(旧東横線渋谷駅に置かれていたカウントダウンモニュメント)『のるるん』上部の『(相互直通運転開始まで)あと○日』という表示を見るのが嫌で嫌で仕方がない時期もあった」と振り返りながらも、「無事切り替えが終わって良かった」と話す。

 来場者から「半日くらい運休しても良かったのでは」という声も上がったが、そうした考えは「(最初から)なかった」と矢澤さん。「技術の蓄積があるのでできる(自信があった)。考えの基本は、お客さまにできるだけご迷惑をかけず、安心安全に利用いただけるにはどうしたら良いかということ。その結果が今回の切替工事だった」とも。

 田村さんも、運休せず行われた工事について外国人と話した際に、「称賛を含めクレイジーと言われた」という。「五島慶太の書籍で、銀座線の上に東急東横線東館と西館をつなぐ跨線楼を作った際、絶対に国鉄を止めてはいけないという大前提から連日深夜の4~5時間を繰り返しながら工事を行ったとあった。それを今回も感じた」と話した。

 切替工事は終了したが、撤去作業や、部分的なホームの工事などが残っており、全てが終了するのは来年の秋ごろになるという。

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