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渋谷でヤン・シュヴァンクマイエル監督映画公開-原宿では展覧会も

夢の中をさまよう男のラブ・サスペンス「サヴァイヴィング ライフ-夢は第二の人生-」より

夢の中をさまよう男のラブ・サスペンス「サヴァイヴィング ライフ-夢は第二の人生-」より

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 シアター・イメージフォーラム(渋谷区渋谷2、TEL 03-5766-0114)で8月27日、チェコのアートアニメーションの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエルさんが監督した「サヴァイヴィング ライフ-夢は第二の人生-」の公開が始まった。

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」の会場の様子

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 1934年チェコスロヴァキア生まれのヤン・シュヴァンクマイエルさん。共産党政権下でブラックリストに載りながらも創作活動を続けてきた、シュルレアリスト。映像作家、映画監督、コラージュ作品、ドローイングなどの創作活動など多彩な分野で活躍している。

 同作は、シュヴァンクマイエルさん5年ぶりとなる長編作品。憂鬱(ゆううつ)な日常を脱出して夢の中をさまよう男を描いたラブ・サスペンスで、昨年のベネチア国際映画祭に出品された。

 中年の男・エフジェンはある日、「若く美しい女」エフジェニエと出会う夢を見た。その夢の記憶が気になり、精神分析医師・ホルホヴァーのカウンセリングを受け、夢の操作法に関する本を探し、自分の意志で夢の世界へ入っていく方法を見つけた。妻・ミラダには会社に行くふりをして毎日夢の中へ出掛け、宝くじに当選し、エフジェニエに「豪華な」アパートを購入するなどしていた。そんなエフジェンの行動を怪しんだミラダはエフジェンを尾行。ホルホヴァーを浮気相手と思い込むが、エフジェンの二重生活を教えられ衝撃を受けるもエフジェンの尾行を続け、彼のまねをして夢の世界へ入り込んでいく。やがて、現実と夢の境界があやふやに混ざり合う。

 「ジャンルは最初から『精神分析コメディー』と決めていた」というシュヴァンクマイエルさん。「アニメーションと実写が真っ二つに分裂しないように調和させて映画にするのは容易なことではなかった」と振り返り、「最後の映画になるのではないかと思っていた。しかし、まだまだ撮りたいと思っている。現在、『蟲(むし)』と題して新作の脚本を練っている」とコメントしている。

 初日となる27日、11時15分の回上映終了後(13時5分~約20分)と13時45分の回上映開始前(13時45分~約15分)にシュヴァンクマイエルさんによる舞台あいさつが行われる。整理券配布は10時30分から。

 関連企画としてラフォーレ原宿(神宮前1)6階「ラフォーレミュージアム原宿」では現在、シュヴァンクマイエル夫妻の展覧会「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展~映画とその周辺~」を開催。映画に関する作品を中心に、さまざまな素材を使ったオブジェや絵画、版画、ドローイング、コラージュなど多岐にわたる作品200点以上を展示。「大半」は国内初公開作品となる。

 新装版の表紙のために描いた「アリス」2点やシュヴァンクマイエルさんが下絵を描き、茨城と京都の彫師とすり師が江戸時代から伝わる技法で制作した木版画作品(下絵8点、木版画3点、版木と順序ずり)、現在制作中のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の怪奇文学作品集「怪談」のための挿絵、写真家・細江英公さんが撮影したシュヴァンクマイエルさんのポートレートなど。

 開催時間は11時~20時(最終日のみ18時まで)。入場料は、一般=900円、大学・高校生=800円、中学・小学生=600円、小学生未満無料。9月19日まで。

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