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人間・動物・植物・炭の生命サークル描く「四つのいのち」、渋谷で先行公開

セリフがなく、生活音だけで展開するも特徴的な「四つのいのち」より© Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

セリフがなく、生活音だけで展開するも特徴的な「四つのいのち」より© Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

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 シアター・イメージフォーラム(渋谷区渋谷2、TEL 03-5766-0114)で現在、イタリア南部の村を舞台に人間・動物・植物・炭の4つの生命サークルを描いた「四つのいのち」が公開されている。

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 舞台は南イタリア・カラブリア地方。ヤギの群れを追う年老いた牧夫はある晩病に倒れ、静かに息を引き取った。翌朝誕生した子ヤギは放牧で溝にはまり、群れからはぐれ、山中のモミの木の下で眠りにつく。春になるとモミの木は切り倒され、村の祭り「ピタ」の象徴となり、祭りが終わると「伝統的な」手法で木炭に生まれ変わる。人間・動物・植物・炭という生命が形を変えながら描くサークルを表現した。

 せりふが一切なく、動物たちの鳴き声やそこで暮らす人たちの営みが生み出す生活音のみで展開する同作。登場する唯一の「プロ」俳優は、カンヌ「パルムドッグ賞」を受賞した牧夫の飼う犬のみで、年老いた牧夫を演じたジュゼッペ・フーダさんをはじめ、登場する俳優たちが実際にカラブリア地方で暮らす人たちなのも特徴。

 監督・脚本を手掛けたのはミケランジェロ・フランマルティーノさん。1968年ミラノ生まれのフランマルティーノさんは、ミラノ工科大学建築家に入学し物理空間と視覚イメージとの関係に「夢中」になり、インスタレーションや短編映画を製作。2003年に初の長編映画「IL DONO」を監督し、アヌシー・イタリア国際映画祭グランプリなどを受賞。2作目の長編となる同作は、カンヌ国際映画祭ヨーロッパ映画賞を受賞するなどしている。

 「カラブリアは古代の魅力があふれる都市であり、古い伝統の宝庫。この土地には、私に人の役割を遠景の中で捉えることを、また人間から焦点を外してみることを教えてくれた。映画は『人間を主役として物語る』という映画のドグマから逃れることができるのか。この作品は、われわれに自分中心の視点から自由になるように勇気づける」とフランマルティーノさん。

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