
渋谷区は9月1日、相乗りサービス「GOシャトル」を活用したデマンド交通実証実験を始めた。
区内の利便性向上、移動機会の向上を目指す新たな交通手段となる同実験。区内の移動手段としては民間の公共交通に加え、区はコミュニティーバス「ハチ公バス」を運行。しかし、バス業界は人手不足や燃料費の高騰、利用者数の減少などの問題もある。区は、「持続可能な公共交通」に向けて公共交通のあり方を見直す中で、区民向けのサービスとして「デマンド交通は欠かせない」と考えた。
GOシャトルは、GO(港区)が提供するデマンド(1台の車両を複数人で相乗りする)サービス。昨年12月に豊洲エリアで運行を始めた。利用客が選択した到着スポットまでの、事前確定運賃計算法に基づく通常のタクシー運賃と送迎車の5~6割程度の料金で利用できることなどが特徴。実績やアプリが既にあること、乗降地を多数設定できることなどから、同社との連携を決めた。
利用は、同社のタクシーアプリ「GOアプリ」からあらかじめ決められた乗降スポットの中から乗降地と希望日時を選択して予約・配車できる。予約は利用2日前~当日15分前までに受け付ける。
運行エリアは、笹塚・幡ヶ谷・初台・本町などを中心とした区北西地域を中心に、渋谷駅・原宿駅・代々木上原駅などの主要駅方面。北西地域は高齢者が多いことに加え、谷地形で細い道路が多く、区役所へのルートや渋谷駅へのアクセスがあまりよくないことから選んだ。乗降地は、事前に町会メンバーに行ったアンケートを基に、役所や病院、区民施設などを「できるだけドアtoドアに近い形で」利用できるよう約700カ所を設定した。乗降地や運行エリアは、利用状況に応じて変更していく考え。
運行は代々木自動車(渋谷区)と日本交通(千代田区)の車両で、最大5人が乗車できるミニバンタイプの車両最大10台(代々木自動車1台、日本交通グループ9台)。
「幅広い利用者」の乗車促進として、70歳以上の高齢者・障害者手帳保持者・妊婦・未就学児のいる子育て世帯の申請者には、1回につき1枚使える400円の電子タクシーチケット「GOチケット」を区が毎月20枚補助する(繰り越し不可)。対象者は、西原・元代々木町・大山町・初台・本町・笹塚・幡ヶ谷の住民。8月31日までに、子育て世帯を中心に約600人から事前申請があったという。申請は区の公式LINEアカウントで受け付けている。
運行時間は8時~20時ごろ。支払いはキャッシュレス決済のみ。2026年3月31日まで。本年度の事業費は約1.3億円(補助費や車両借り上げ費など)。区は2年程度の実証実験の後、本格導入を目指す。