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「観る将」の聖地「駒テラス西参道」開業 羽生善治会長「地域の方とも協力」

オープニングセレモニーに出席した(左から)日本将棋連盟羽生善治会長と長谷部健渋谷区長

オープニングセレモニーに出席した(左から)日本将棋連盟羽生善治会長と長谷部健渋谷区長

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 将棋文化を通じたまちづくり施設「駒テラス西参道」(渋谷区代々木4)が6月10日、参宮橋駅近くの高架下にオープンした。

教室や大盤解説などを行うホール

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 渋谷区が明治神宮鎮座100年を機に進めている、明治神宮の参道の一つである西参道エリアを整備する「西参道プロジェクト」の一環。参道の中で表参道は広く知られているが、西参道は「参道であることが忘れられつつあった」(長谷部健渋谷区長)なか、地域住民と共に活性化を図り開発に着手した。

 施設は区が所有するが、かねて渋谷・千駄ヶ谷に本部でもある日本将棋会館を構え、2020年に区と伝統文化の発展や地域の魅力向上に関する協力協定も結んだ日本将棋連盟に一棟貸しし、運営を委託する。

 駒テラス西参道は、自転車集積場所だった場所など延伸約150メートルに整備。高架下という立地から柱からの距離や高さなどに制限があったことから、コンテナ4棟で構成。各コンテナの前には憩いの場になるようベンチを置く渡り廊下を作り、屋根は将棋の駒をイメージした形になっているほか、コンテナ内の天井も同様に凹凸を作っている。

 「観(み)る将の聖地」を目指す同施設。「観る将」とはここ5~10年で聞かれるようになった言葉といい、将棋を指すのではなく、見るファンのことを指す。棋士が食べたものや着ている着物など、ルールが分からなくてもさまざまな方面から「将棋に興味を示している人が増えた」ことから、観る将をメインターゲットに据える。

 コンテナはそれぞれ異なる4つの機能を持たせる。ホールでは、駒の並べ方などから教えるライト層向けの教室や、大会などを開催。「大盤解説」では、食事や着物などに触れつつ対局を解説するなど工夫を凝らすという。

ギャラリーでは将棋の歴史年表や藤井聡太七冠の扇子、羽生善治九段が永世七冠・国民栄誉賞を受賞した際の扇子、握手をしているような写真も撮れる同連盟佐藤康光前会長の等身大パネルなどの常設展示と、数カ月で入れ替える展示を行う。ショップも併設し、同施設のロゴをあしらう木製マグネット(330円)や今治刺しゅうタオル(1,320円)などの施設限定グッズなどを販売する。支払いはキャッシュレスのみ。

 スタジオは、同連盟公式ユーチューブの公開収録や配信、将棋に関する映像コンテンツの製作などを行う。3面ガラス張りで、コンテナ前の通りから見ることができるほか、スタジオ内の音声はコンテナ外に備え付けるスピーカーから聞こえるようになっている。ホールとスタジオは、イベントなどを開催しない日は区民らにも貸し出す。

 店内のモニターでは将棋の中継を上映するカフェはテーブル8卓で16席を用意。運営は同連盟が契約する民間企業が行う。店舗ではコーヒーや紅茶(各450円)などのドリンク、アイスクリームやマフィン(各380円)、カレー(800円)などを提供。ドリンクとアイスクリームはテイクアウトにも対応する。駒の形のスイーツなど、将棋に関連するメニューの提供も考えている。

 長谷部健渋谷区長は「街の歴史を見ると参道を大切にしていくことは大変重要。住民も多いエリアなので、住む人にとって参道がどうあるべきかを考えていくなかで将棋連盟と連携した。文化の香る参道にさらに将棋文化を交えて、新しい文化を発信していく通りになれば」と期待を込める。本年度中に同施設反対側の歩道が整備されるほか、玉川上水旧水路緑道の整備も控えていることから「連盟、地域の方と西参道を世界に誇れるような道にしていきたい」とも。

 連盟からは前日9日に会長に就任した羽生九段が会長としての初仕事として同施設のオープニングセレモニーへ出席。「対局とは全く違うところがあった」と笑顔を見せつつ、「さまざまなかたちで(将棋を)楽しまれている方が増えている。新しい将棋ファンの方々のニーズに応えるような企画なども工夫していく必要がある。同時に、連盟も半世紀以上(千駄ヶ谷に)いる。ただいるだけでなく地域の方とも協力して貢献できるようなことを考えていきたい」と話した。

 営業時間は10時~20時(駒テラス西参道公園の開園時間は8時~19時(11月~3月は18時まで))。火曜定休。

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