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渋谷川周辺のゴミを衣服に 若手2人が創作、「RIVERSIDE STORY」

「RIVERSIDE STORY 渋谷川編」会場の様子(写真中央左=半澤慶樹さん、右=シャンユーさん)

「RIVERSIDE STORY 渋谷川編」会場の様子(写真中央左=半澤慶樹さん、右=シャンユーさん)

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 空き缶や吸い殻、コンビニおにぎりの包みなど、渋谷駅周辺や渋谷川沿いなどに捨てられたゴミから創作されたドレスが、9月2日から、恵比寿「LIQUIDROOM」(渋谷区東3)2階KATAで展示されている。8月29日から渋谷ヒカリエ(渋谷2)などを主会場に行われているファッションイベント「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッションウィーク東京)」の関連イベント。

渋谷の駐車場に捨てられていた車内シートも衣服に

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 ペットボトルをらせん状に切り、手編みしたパーツをつなげたドレスや、羊毛に吸い殻を閉じ込めたトップス、格子状に編み込んだ段ボールのスカートなど、会場に並ぶのは、拾い集めたゴミを生まれ変わらせた独創的なピースの数々。学生時代に服飾を学んだ経験を持ち、歌手として活躍するxiangyu(シャンユー)さんと、ファッションブランド「PERMINUTE(パーミニット)」のデザイナー半澤慶樹さんが、今年3月からプロジェクトを進めてきた。

 「RIVERSIDE STORY(リバーサイドストーリー)」と付けたプロジェクト名の通り、川の周辺に落ちているゴミを通じ、人々の生活や都市の様子を、衣服に落とし込むかたちで「記録したい」という思いがあった。第1弾は「渋谷川編」として、渋谷駅東口の複合商業施設「渋谷ストリーム」周辺の川沿いから、天現寺橋より先の「古川」周辺を抜け、河口付近までのエリアで、ゴミを拾って回った。制作や展示に至るまで、2人の後輩に当たる文化服装学院の学生19人も協力した。

 3月にゴミを拾い始め、月に約1度のペースで継続。ゴールデンウイーク明けの量の多さや、エリアごとに落ちている種類が異なるなど、ゴミを拾うことでたくさんの気づきがあったという。「面白かったのが、渋谷~恵比寿の間でたらこむすびのゴミがとても多かったこと。このエリアでいつもたらこむすびを食べている人がいるのかなと勝手に思っていた。月をまたいでもまた同じで、印象に残った」と、シャンユーさん。

 「河口に近づいていくと、取れるゴミの種類が食べ物系から段々産業廃棄物系に近づいていく。自転車のタイヤやパソコンのディスプレーなど、サイズや質が変わるのが面白かった。渋谷などは街が頻繁に清掃されるのか、1カ月後に行ったらだいたいその月に出たゴミがある。それに対して高速道路の下など人の行き来が少ない場所などは年季が入ったものも多かった。それは発見だった」と半澤さん。

 特に多かったのは、「コンビニ系」のゴミ。コーヒーチェーンなどのカップやふたも目立った。初めに苦労したのは洗浄作業だ。プラスチックなどは水で洗い流し、「すぐにバケツが真っ黒になった」(半澤さん)。紙などの水に弱い素材は、作品に使うため雑巾で拭くなどし、きれいにしたものにさらに手を加えるなど、ゴミを服の素材に生まれ変わらせる工程には、特にこだわった。

 空き缶をつなぎ合わせたドレスに使った缶は、天面と底の部分を一つ一つハンマーでたたいて平らにし、機械では出せない個性を出した。おにぎりの包みやスナック菓子の袋、Amazonのバーコードステッカーなどは、一部を細かく刻むなどしてビニールで挟み、アイロンでプレスし一枚のシートにして、スカートなどに仕立てた。段ボールやファストフードの紙袋は、均一にカットして格子状に編んだ。

 「初めは大変で時間がかかっていた作業も、続けていくと楽しくなってくる。拾ってきたゴミ一つ一つに手をかけていると、愛着が湧いたり、『このゴミ好きだな』というのが人それぞれ出てきたりして、モノへの見方が変わった。普段探したり見たりしてこなかった素材にあえて触れてみるのは、自分たちにとって挑戦だった」(半澤さん)と振り返る。

 全6体に及ぶ各トルソーのルックに添えた解説文は、半澤さんらが実際にゴミを拾って歩いた際にずっと下を向いて歩いていたこともあり、足元に掲示。ゴミが服に生まれ変わるまでの工程の説明に加え、QRコードを読み込むと、使ったゴミが主に落ちていたエリアが表示される仕組みだ。作品は壇上に展示し、2つのステージを分ける「溝」の部分には、制作過程で使わなかったゴミを、拾ったエリア別に川に見立てて並べた。

 「一度人の手から離れ捨てられたものが、服になることでまた人の体を感じるものに戻ってくる。そこにストーリー性があって感情移入できる。ゴミを拾っていて、毎月川の見え方が違った。ゴミ自体も、捨てる前は別のもので、それが今回洋服の形になって、本質がどんどん変わっていくように感じた。デザインそのものよりも、そうしたストーリーを感じてもらえたら」(半澤さん)と思いを込める。

 作品はトルソーに着せ展示しているが、「通常の服を作るやり方とはアプローチやプロセスが違ったので、実際に着ながらサイズを合わせたり、素材の組み合わせを考えたりしながら作った。だから実際に着られる」(シャンユーさん)と言い、アートピースとしてだけではなく、衣服としての機能もしっかり持たせた。

 渋谷エリアで見つけた、特に印象的だったゴミの一つが「渋谷ストリームの近くの駐車場の自販機の下に、隠されるように捨てられていた」と言う車内用のシート。上半身にくるっと巻き、背中の空いた部分には捨てられていた電源コードをレースアップ状に編み上げ、チューブトップに仕立てた。

 会場では、ゴミ拾いや制作過程の様子を収めたドキュメンタリー動画も合わせて上映する。

 開催時間は13時~20時30分(最終日は18時30分まで)。入場無料。9月6日まで。

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