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Bunkamuraで舞台「美しく青く」 向井理さん主演、「喪失」抱えた人々の日常描く

向井理さん(左)と田中麗奈さん(右奥)演じる夫婦を中心とした人々の日常を描く

向井理さん(左)と田中麗奈さん(右奥)演じる夫婦を中心とした人々の日常を描く

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 俳優・向井理(おさむ)さん主演の舞台「美しく青く」が7月11日、Bunkamura(渋谷区道玄坂1)シアターコクーンで開幕した。

取材に応じた向井さん田中さんら

 同施設30周年記念作品の一つ。作・演出を手掛けるのは赤堀雅秋さんで、同劇場での作品公演は4作目。2年ぶりの新作となる。震災で一度日常を失った人たちが新たな問題に立ち向かいながら新たな日常を生きる人たちの姿を描く。全22公演。

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 タイトルは「空や海などへの希望でもあり畏怖の念」を込めて命名した。赤堀さんは「極めて粗末な人間の描写を人知の及ばない、あらがえない空や海と対比することで、人間の根源的な在り方や幸福の在り方が浮き彫りになってこないかと考えた」と話す。

 作品の舞台は震災から8年後の海や山に囲まれたとある集落。日常を取り戻しつつあるかに見える町には人なれした野生の猿が出没し、田畑の作物を荒らしたり人間に危害を加えたりする問題が発生。認知症の母・節子(銀粉蝶(ぎんぷんちょう)さん)を介護する妻・直子(田中麗奈さん)をしり目に、青木保(向井さん)はリーダーとして保の同級生で猿害に苦しむ農家・古谷勝(大東俊介さん)らと共に自警団の活動に没頭。猿害対策について町内でアパートを経営する老人・片岡昭雄(平田満さん)に協力をはねつけられる。役場勤めの箕輪茂(大倉孝二さん)は自警団と片岡の間を取り持とうとするがうまくいかない。成果が上げられない自警団のメンバーや箕輪は、連日、佐々木幸司(赤堀さん)、順子(秋山奈津子さん)夫婦の営む居酒屋で飲み会を繰り広げる。誰もが不安や不満を抱えながらも生きていく姿を描く。

 夫・義理の息子・リーダーという側面を持つ保について、向井さんは「普通の人」と表現。「一生懸命生きているが、うまく向き合えないことがあったり逃げたりするのも人間の側面。誰にでもある衝動を抱えながら生きていく、普通の人を演じなくてはいけない」と話す。田中さんは直子を「抑えきれないものだったりそれを理性で抑えようとしたり、女性の生理的なものとうか、感情の不安定さを持っている。直子なのか自分なのか分からないくらいで演じられたらいいのかな」とも。

 田中さんは同作を「日常の積み重ね」と表現する。向井さんも「不毛なせりふばかりだが、内容の無い会話でも何かしら感情が動いている。積み重ねることで見えてくる感情とかが透けて見えれば」と意欲を見せる。田中さんは「感情移入する登場人物も違うかもしれないし、近い人や自分に重ねることで面白みが違うのでは。『ここが好きだった』という場面があれば聞いてみたい」期待を寄せる。

 上演時間は2時間15分(休憩無し)。観賞料は、S席=1万円、A席=8,000円ほか。今月28日まで。

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