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新生「渋谷パルコ」11月下旬開業へ フロア構成やテナント約180店など明らかに

渋谷PARCO外観パース(スペイン坂方面より)©竹中工務店

渋谷PARCO外観パース(スペイン坂方面より)©竹中工務店

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 2016年8月から建て替えのため一時閉店していた「渋谷PARCO(パルコ)」の開業が11月下旬となることが明らかになった。特定の年齢層や性別にターゲットを絞らず、地下1階から10階(一部を除く)まで約180のショップを展開し、世界から人が集まる「唯一無二」の次世代型商業施設を目指す。

ビル内に整備する歩行者通路「ナカシブ通り」(イメージ)

 渋谷区総合庁舎で6月18日に開かれた会見で発表されたのは、5つの要素「ファッション」「アート&カルチャー」「エンターテインメント」「フード」「テクノロジー」で構成するフロア編集や、屋外広場や立体通路などビルの詳細な建築意匠、開業後に展開する地域貢献、まちづくりへの取り組みについて。テナントの詳細も明らかになった。

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 「ファッション」は、「いかに面白く、独創的でエッジが効いているか」に焦点を当て誘致。ラグジュアリー、モード、ストリート、カジュアル、ビンテージなど「東京」の多様なジャンルを代表する約100店を集積。次世代ファッションデザイナーやブランドのインキュベーションにも力を入れ、自主編集売り場「GEYSER PARCO」(3階)と「PORT PARCO」(4階)ではブランドの育成にも着手する。

 自主編集売り場では集合レジ・共通フィッティングなど出店しやすい環境を整えるほか、3階は、ショップネーミングやロゴ・ビジュアルなどを、気鋭アートディレクターYOSHIROTTENさん率いるクリエーティブチーム「YAR」が担当。4階は、東京都から業務を受託し、都内で活動する才能あるデザイナーを支援するポップアップショップを運営。ショップと連動しショーやインスタレーションなども企画し販路拡大につなげる。

 新生・渋谷パルコ出店に当たり「レパートリーを広げ強化する」というファッションの中でも、力を入れるラグジュアリーブランドは1階・2階に集積。「コムデギャルソン」「グッチ」「ロエベ」(以上1階)、「アレキサンダーワン」「アンブッシュ」「イッセイミヤケ」「エムエムシックスメゾンマルジェラ」「トーガ」「アンダーカバー」(以上2階)などのファッションブランドをはじめ、「イプサ」「ディオール ビューティ」「イブサンローランボーテ」(以上1階)などのコスメブランドも出店。

 「ベルベルジン」などの古着店や、「スタイリング」「アンスリード」(以上3階)など国内のレディース人気ブランド、「フレイアイディー」「スナイデル」「サマンサタバサ」(以上4階)など渋谷系の若い女性にも人気のブランドや、「ジュエティ」「メルシーボークー」「キャンディストリッパー」(以上5階)などの原宿系、ロリータ系など「東京の多様なファッション」が詰まった編集で、ジャンルや国籍を問わず「本当のファッション好きがたどり着く場所」を目指す。

 「アート&カルチャー」面では、ギャラリー機能を備えたショップ9店が出店。4階に復活する「PARCO MUSEUM TOKYO」は、ロゴを人気デザイン集団「TOMATO」がデザイン。新進気鋭のインテリアデザイナー山本大介さんと天水義敬さんによる「de:sign」が内装を手掛ける。世界に向けアート、デザイン、ファッションをメインにカルチャーを発信する。自社運営ではほかに、「GALLERY X(ギャラリーエックス)」が渋谷スペイン坂から地下1階に移転する。

 美術専門誌「美術手帖」が現代アートを発信する初直営店「OIL by 美術手帖」(2階)や、共に「ほぼ日刊イトイ新聞」が運営する、東京カルチャーの案内所「ほぼ日カルチャん」(4階)、「新しいことに出合える」拠点「ほぼ日曜日」(8階)をはじめ、中目黒のコンセプトショップ「M.I.U.」が手掛けるギャラリー「M.I.U. N°2」(7階)などのギャラリー型ショップも集積。

 6階には、「ジャパンカルチャー」を発信するゾーンが登場。任天堂の国内初の直営オフィシャルショップ「Nintendo TOKYO」やポケモンの新オフィシャルショップ「ポケモンセンター シブヤ」をはじめ、この日の会見で明らかになったゲーム「刀剣乱舞-オンライン-」初の公式ショップ「刀剣乱舞万屋本舗」など日本を代表するコンテンツホルダーが集結。「電脳サブカルチャー」の情報発信基地を掲げジャパンカルチャーの聖地を目指す。

 「エンターテインメント」の核を成すのは、1973(昭和48)年の開業時からパルコ内に劇場を構えパルコの文化戦略の一翼を担ってきた「PARCO劇場」の復活。旧劇場の約1.5倍となる座席数636席に規模を拡張し、オールS席で鑑賞できる「プレミアムな空間」を演出。国際観光都市として活気を帯びる渋谷の現状を背景に、世界に発信できるコンテンツとして年間公演を100%自主プロデュースする。

 直営ミニシアター「CINE QUINTO(シネクイント)」は8階にオープン。ジャンルを問わない「個性的」「良質」な作品を上映するほか、海外ミュージカルなど映画以外の作品も積極的に上映。現在、井の頭通りにもスクリーンを構えるが、パルコ開業後も内容ですみ分けしながら3スクリーン体制で営業を続けるという。

 ライブハウス「CLUB QUATTRO」チームが手掛けるミュージックカフェ&バー「QUATTRO LABO」は現在の吉祥寺路面から、「ギャラリーエックス」と隣接する形で地下1階に移転。ハイエンドオーディオと3000枚を超えるレコードコレクションで、アナログレコードのリバイバルを象徴する店を目指し、サテライト展示やイベントなどギャラリーエックスとの連動企画でシナジー効果も狙う。

 商業施設における食空間の価値が年々高まりを見せ、「勝ち負けが決まる」(パルコ)とも捉え力を入れる要素が「フード」だ。メインレストランフロア「CHAOS KITCHEN(カオスキッチン)」を地下1階に展開し、「食・音楽・カルチャー」をコンセプトに、ミシュランビブグルマンを獲得した有名店の新業態から、うどん、ジビエ・昆虫料理、純喫茶、ミックスバーまで、多様なジャンルの21の飲食店が出店。物販やギャラリーも合わせ「カオス」な飲食ゾーンを提案する。

 7階は、回転ずしや天ぷら、焼き肉、ラーメンなどの日本食やビーガン料理専門店などを集積。インバウンド需要も見込んだラインアップとなるほか、1階路面部には物販併設のカフェや日本酒・ビアスタンドに加え、フードカルチャーを発信する食のギャラリー「COMINGSOON」、フラワーショップに不定期で登場するワインバーなど、まち歩きの楽しさも味わえる飲食テナントを展開する。4階ダイニングには、若手シェフ森枝幹さんが仕掛けるタイ料理レストラン「chompoo」が出店。

 5つの構成要素の柱の一つ「デジタル」分野では、店頭販売に加えECを併設したオムニチャネル型売り場「CUBE(仮称)」を5階で展開。約130坪のエリアに11店の小型ショップが出店し、従来の売り場より小さなスペース・店頭在庫数で、デジタルテクノロジーを活用した新型の売り場を提案。商品はデジタルで在庫管理し、「PARCO ONLINE STORE」(EC)でも販売する。共用部に設置する大型サイネージや店内サイネージでは、手持ちのスマートフォンにデータを直接転送し、店頭にない商品をオンラインで購入できるようにする。

 同じ5階には、「VR」「AR」「MR」といったXR技術を活用し制作した3次元のクリエーティブ作品を、スマホやAR対応グラスを通して展示する空間が出現。昨年に実施したVRコンテンツアワード「NEWVIEW AWARD 2018」でPARCO賞を受賞したVR空間デザイナー、Discontさんによるインスタレーション作品を展示する予定だ。

 地下1階には、XRコンテンツ事業を手掛ける「ティフォン」の新業態カフェ「Tyffonium cafe」が出店し、ARを組み合わせたスイーツを提供する。パルコと「CAMPFIRE」が共同出資するクラウドファンディング「BOOSTER」と連携したショールーム形式の実証実験型AIショールーム「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」は1階に出店。IoT製品などをはじめ世に出る前のユニークなデジタル製品やアイデアを「展示」する。

 新施設は、建築設計を竹中工務店、商業空間デザインの基本構想を英デザイン事務所「Benoy」社が担当。渋谷の特徴である「坂」と「通り」に注目し、通路・階段をスペイン坂かららせん状に建物外周に沿って10階までつなぐことで立体街路を形成し街と融合させる独自の空間設計のコンセプトなどもこの日、明らかになった。

 さまざまな面を持つ立体的な外壁構成のテーマは「原石の集積」。異なった形状・素材を思想・才能にひも付け、インキュベーションやイノベーションの「誘発」を表現。屋上広場や立体街路などの屋外空間を創出するほか、高効率エネルギーシステムの積極的導入など省CO2を実現する。

 取り壊し前に渋谷パルコ・パート1とパート3の間にあった道路は、ペンギン通りとオルガン坂をつなぎ、24時間通れる2層吹き抜けの歩行者専用通路として生まれ変わり、名称は「サンドウィッチ通り」から「ナカシブ通り」に改める。幅約8メートルの通路の両側には路面店10店が並び、2階部分には幅約17×高さ約3メートルのアートウインドーで作品などを掲出する。

 地下1階「CHAOS KITCHEN」の環境デザインは、気鋭建築家の藤本壮介さんが手掛ける。天井・床に鏡面素材を使い、ショップのファサードが映り込む設計で、ショップの個性や多様さを「増幅」。五十嵐威暢さんがデザインした旧渋谷パルコ・パート1外壁のネオンサインのうち「C」の文字も設置。そのほかの文字「R」は7階に、「P」は8階にそれぞれ設置し、「現代アート作品」として恒常的に展示する。

 ファッションのコアとなる2階の環境デザインは、シンガポールを拠点に活動するクリエーティブディレクター、テセウス・チャンさんが担当。スクランブル交差点に着想を得たボーダーの模様が象徴的な空間とし、見える部分(白)と隠された部分(黒)が混在するボーダーでファッションの可能性や力を引き立てるという。

 旧渋谷パルコ・パート1とパート3に加え、周辺街区を含む再開発事業として建て替えに着手した施設は、地下1階~地上8階・10階の一部を商業部分とし、10階の一部と12階~18階にはオフィスが入居する。9階に入るのは、育成施設・クリエーティブスタジオと、渋谷区の外郭団体で現在の原宿から拠点を移すことになる「渋谷未来デザイン」。

 周辺の歩道や敷地内の広場を一体的に整備し、歩行者スペースを拡充するほか、ビル内には地域荷さばき場や駐輪場を整備。屋外広場では地域と連動したイベントや、ファッションショー、音楽、フードイベントなど幅広い分野のイベントを開催し、ハード・ソフト両面から街の活性化に貢献していきたい考えだ。

 会見に出席した長谷部健区長は「渋谷パルコはさまざまなカルチャーを発信する中心的な存在」と話し、「帰宅困難者の受け入れなどにも館全体を活用させていただく」などと今後災害時などにも協力していく意向を明らかにし、「仲間としてこの町を一緒に盛り上げていけたら」と意気込みを語った。

 各フロアの名称と概要は以下の通り。地下1階=フードの人気店・新業態やレコード店、ギャラリーなどが集積する食空間「CHAOS KITCHEN」、1階=ザッピング編集でカルチャーとファッションが行き交う路面感覚の強い「SHOTENGAI- SHOTENGAI-EDIT-TOKYO」、2階=モードを軸に世界的ファッションブランドを編集する「MODE & ART」、3階=フロアの半分以上が商業施設初出店となるカルチャーミックスフロア「CORNER of TOKYO STREET」、4階=リアルな東京トレンドレディースファッションを編集する「FASHION APARTMENT」。

 5階=ファッション売り場にテクノロジーを掛け合わせたデジタル化時代のネクスト売り場「NEXT TOKYO」、6階=アニメ・ゲーム・漫画・サブカルチャーのトップコンテンツを集積した「CYBERSPACE SHIBUYA」、7階・8階・9階=PARCO劇場、7階=回転ずし、天ぷら、ラーメンなど7店のレストランから成る「RESTAURANT SEVEN」、8階=「シネクイント」「ほぼ日曜日」、9階=育成施設・クリエーティブスタジオ、「渋谷未来デザイン」、10階=約60坪の屋内イベントスペースを併設し、植栽などに囲まれる約420坪の公園のような屋上広場「ROOFTOP PARK」。

 パルコの牧山浩三社長は、1973年に開業した渋谷パルコについて「『劇場の中に商業施設を作る』をコンセプトに誕生した。渋谷パルコの役割は『インキュベーション』『まちづくり』『情報発信』の3つ。渋谷こそがパルコの原点そのもの」と振り返り、「その原点の進化版、『原点進化』として新たに生まれ変わる」と復活に向け力を込めた。

 「都市が心豊かになる非日常性を体験するエンタメがここにある。渋谷パルコがエンタメシティー=渋谷のへそとなりたい」とも明かし、「坂の上に文化は宿ると、皆さんが言ってくれた。それをリスペクトして、スペイン坂と(そこからつながる)外遊回路を上がると、劇場を通り抜けて広場体験ができる」と、外階段で10階までつながる立体街路のコンセプトにも触れた。

 投資額は約214億円。商業延べ床面積は約4万2000平方メートル(全延べ床面積は約6万4000平方メートル)。年間テナント取扱高約200億円を目指す。旧渋谷パルコでは約2割だったインバウンドの割合は3割まで引き上げる狙い。施設は10月中にも完成する予定。

 営業時間は、物販・サービス=10時~21時、飲食店=11時~23時30分。

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