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渋谷区、映画でLGBT理解促進へ 生田斗真さん主演作とコラボ

コラボレーションを発表した(左から)長谷部健渋谷区長と荻上直子監督

コラボレーションを発表した(左から)長谷部健渋谷区長と荻上直子監督

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 渋谷区は1月24日、映画「彼らが本気で編むときは、」とのコラボレーションを発表した。

「彼らが本気で編むときは、」より

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 就任以来、渋谷がロンドンやパリ、ニューヨークと並ぶ「成熟した国際都市」となることを目指している長谷部健渋谷区長。同性カップルに男女の婚姻関係に相当する関係を認める「パートナーシップ証明書」を国内で初めて導入するなど、「ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括・包含)」をキーワードにした取り組みを行っている。

 そうした中、昨年10月には20年後の未来像を「ちがいを ちからに 変える街」とした新たな渋谷区基本構想を策定。その柱の一つである「ダイバーシティー&インクルージョン教育」の一環として、区と渋谷区教育委員会がLGBTをテーマにした同作を「推奨作品」に選定。同作を通じて、区内でのLGBT理解促進に取り組んでいきたい考え。

 同作は、トランスジェンダーの女性リンコ(生田斗真さん)と、彼女の全てを受け入れる恋人のマキオ(桐谷健太さん)、ネグレクトに遭い叔父であるマキオの元に身を寄せるようになった少女トモ(柿原りんかさん)の3人が、それぞれの幸せを見つけるまでの60日を描いた作品。

 メガホンを取ったのは「かもめ食堂」(2006年)などで知られる荻上直子監督。7年ほどアメリカで暮らした経験がある荻上さんは、「レストランに行けば、ゲイカップルが隣に座っていることは日常的にあったが、日本に帰ってきてからはほとんどなかった」という。そうした中、2015年にトランスジェンダーの息子のために胸に着ける「偽乳」を作った母親を紹介した新聞記事を目にし、「映画にしたい」と同作を構想。昨年3月~4月にかけて撮影した。荻上さんは「トランスジェンダーに悩む映画にはしたくなかった。一歩踏み込んで描きたいと思った」と振り返る。

 長谷部区長は「LGBTについて教育現場で伝えていくのが難しかった。映像であれば、子どもが見ても分かりやすいのでは」と、今回のコラボに至った経緯を説明する。作品については「性障害や子どもの孤食、認知症など今の時代を切り取っている作品。これまではLGBTについてエキセントリックに描かれることが多かったが、身近な隣人として描かれている距離感が印象的」と話し、「正解はなく、見た人それぞれがどう感じるかを問い掛けている」とも。

 今回のコラボに伴い、映画のビジュアルや区の花「ハナショウブ」を6色の虹色にカラーリングした、ダイバーシティー促進を表すマーク「レインボー・アイリス」をデザインしたLGBT促進ポスター・チラシを製作し、区の施設や学校などに配布。今後は映画の上映会や、区の担当者による勉強会と上映会を一緒にして学校などでの出張授業も計画していく。

 同作品は2月25日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷区道玄坂2)などで公開する。

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