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Bunkamuraで「エリック・サティとその時代展」 芸術家の作品と共に活動ひもとく

サティが作曲したピアノ独奏曲の楽譜とマルタンの版画で構成した「スポーツと気晴らし」

サティが作曲したピアノ独奏曲の楽譜とマルタンの版画で構成した「スポーツと気晴らし」

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 渋谷「Bunkamuraザ・ミュージアム」(渋谷区道玄坂2、TEL 03-3477-9413)で7月8日、「エリック・サティとその時代展」が始まった。

一般に初公開となるサティ直筆「3つのジムノペディ」第2番の楽譜

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 作曲家であるエリック・サティ(本名エリック=アルフレッド=レスリ・サティ)の活動を、同時代の芸術家たちの作品を通してひもとく同展。サティは1866年、仏ノルマンディー地方の港町オンフルール生まれ。6歳の時に母親を亡くしたが、継母がピアノ教師であったことから幼少から音楽に親しみ、19歳でパリ音楽院に入学するも「最も怠惰な生徒」と評価される。1887年にモンマルトルに移り住み、キャバレーでのピアノ伴奏、作曲、舞台作品への参加などさまざまな活動をし、1925年に59歳で亡くなった。

 全5章、約120点の作品展示で構成する同展。第1章「モンマルトルでの第一歩」では、後のサティの活動に通じる環境に焦点を当てた。モンマルトルに移住して以降サティが常連客として出入りし、影絵芝居の伴奏者として活動したキャバレー「シャ・ルノワール」を中心に、当時モンマルトルで流行していたキャバレー文化を紹介。シャ・ルノワールの資料や、仏画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、ジュール・シェレらが手掛けたポスターなどが並ぶ。

 サティの代表曲の一つとして知られる「3つのペディ」は、シャ・ルノワールを初めて訪れた数カ月後の1888年に作曲。場内には一般には初公開となるサティ自筆の「3つのジムノペディ」第2番の楽譜と、同キャバレーで出会い親交を深めた作曲家クロード・ドビュッシーがオーケストラに編曲した「3つのジムノペディ」(第1番と第3番)の楽譜もディスプレーしている。

 音楽院時代からの友人の影響で秘教的な思想に傾倒していたサティは、1893年に自身のみが信者となる「導き手イエスの芸術大司教座協会」を創設。第2章「秘教的なサティ」では、サティが自分へ宛てた手紙など同協会の活動などを紹介。1分程度の曲を840回繰り返す「ヴィクサシオン」はこの時期に作曲されている。

 1898年にサティはパリの郊外アルクイユ=カシャンに転居するも、徒歩でモンマルトルへ通い続けていた。シャンソン歌手への楽曲提供で生計を立てており、日本ではテレビCMなどに起用されていることでも広く知られる「ジュ・トゥ・ヴー(あなたが欲しい)」もその中で生まれた1曲。第4章「アルクイユにて」では、高級モード誌「ガゼット・デュ・ボン・トン」編集者からの提案で楽譜集「スポーツと気晴らし」を出版するなど、多岐にわたる活動と確立しつつあった評価に焦点を当てる。場内では20のテーマに合わせて作曲した同楽譜集の短いピアノ独奏曲の楽譜と、挿絵として添えられたシャルル・マルタンの版画を並べて展示している。サティ直筆のものを転写した楽譜は小節線がないことや、随所に詩が挿入されているのが特徴。

 サティが関わった舞台作品などを紹介する第4章「モンパルナスのモダニズムのなかで」。サティが音楽を担当したロシアのバレエ団「バレエ・リュス」の公演「パラード」関連資料として、脚本を手掛けた仏芸術家ジャン・コクトーの素描や詩、衣装と美術舞台を担当したパブロ・ピカソの下図や習作なども見られる。同章では、サティの交響劇「ソクラテス」を思わせる「SOCRAT」の文字を描いた仏画家ジョルジュ・ブラックの作品や、彫刻家コンスタンティン・ブランクーシが手掛けた「ソクラテス」と同名の彫刻作品など、芸術家たちがサティとの交流の中で制作した作品も紹介している。

 最終章となる第5章「サティの受容」では、サティ没後間もないころから現代に至るまでに制作されたサティへの「オマージュ作品」を紹介。サティを「目を持った唯一の音楽家」と称した米美術家マン・レイによる、サティの顔写真一部をマッチ箱に貼った「エリック・サティの眼(め)」など。

 同施設が美術館や映画館、ホールなどを複合的に展開していることから「美術と音楽の関わりがある展覧会を開きたいと思っていた」(学芸員の黒田和士さん)ことから企画した同展。サティの魅力を「結びつかないものをつなげてしまうところ」と黒田さんは言い、「ジュール・シェレとマン・レイの作品が同じ空間に並ぶ展覧会はなかなか無いのでは」と話す。

 「曲は聞いたことある方も多いとは思うが、サティ自身の音楽の関心に基づいて作った曲、他人に歌ってもらうための曲、バレエやオケのための曲など、それぞれ文脈が異なる。音楽を聴くのとは違うかたちで面白さが伝われば」

 開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで、入館は閉館の30分前まで)。入館料は、当日一般=1,400円、大・高校生=1,000円ほか。8月30日まで。場内では「3つのジムノペディ」などの楽曲がBGMとして流れるほか、期間中は場内に設置するピアノの生演奏も予定。

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