渋谷駅前「忠犬ハチ公像」設置から80年-初代ひな形の存在判明

存在が明らかになった初代ハチ公像のひな形

存在が明らかになった初代ハチ公像のひな形

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 渋谷駅前に設置されている「忠犬ハチ公像」が設置されてから4月21日で80年目を迎えた。「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」(渋谷区東4、TEL 03-3486-2791)は今月、初代ハチ公像の石こう製のひな形の存在を明らかにした。

現在設置されている2代目の「忠犬ハチ公像」

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 渋谷の待ち合わせスポットとして知られ、観光名所にもなっている「忠犬ハチ公像」(以下ハチ公像)。モデルとなったのは現在の東急本店(道玄坂2)裏手付近に住んでいた東京帝国大学(現・東京大学)上野英三郎博士に飼われていた秋田犬の「ハチ」。

 渋谷駅(現・JR渋谷駅)に送り迎えをしていたハチは、1925(大正14)年に上野博士が亡くなった後も駅前で博士の帰りを待った。その様子を模して彫刻家の安藤照が制作した同像は1934(昭和9)年に設置。ハチは除幕式に出席するも、翌1935(昭和10)年に死んだ。太平洋戦争中の1944(昭和19)年、金属類回収令により同像は撤去されるが、1948(昭和23)年に安藤の長男・士(たけし)さんが2代目となる現在の像を制作した。

 同館では、昨年1年間で集まった資料を展示する「新収蔵資料展」開催のタイミングで、初代ハチ公像の石こう製のひな形の存在が判明したことを明らかにした。

 戦時中、初代ハチ公像の原型は疎開させる途中の東京駅で空襲に遭い失われ、照自身も1945(昭和20)年に亡くなったため、初代ハチ公像に関する資料は「わずかに」写真が残っているだけだった。今回ひな形が見つかったことについて、同館学芸員の松井圭太さんは「この資料のみからしか(初代ハチ公像の)詳細が分からないので極めて重要な資料」と話す。

 同館では昨年、ハチの生誕90年を記念した「ハチ公展」開催に向け資料の収集や調査を実施。その中で、戦前に一般販売を予定していた「テラコッタのハチ公像」の製作に向け照自身が制作したと思われるひな形が見つかり、展覧会内で展示・公開した。その後、同ひな形の調査を進めたところ、「子どものころ父のアトリエで見た」という士さんの証言などから、そのひな形がテラコッタの販売を目的としたものではなく、初代ハチ公像の制作に向けたひな形だったことが判明したという。

 ひな形の高さは約24センチ。台座には「忠犬ハチ公」の文字や照のサインも記されている。垂れている左耳などは現在の像と同じだが、初代は「日本犬の迫力をリアルに表現」しているという。像を管理するのは杉並区在住の谷内真理子さんで、照の知人である母親の白川セキさんが所持していた。

 現在開催中の新収蔵資料展では同像設置80年目を記念し、会場内の3分の1ほどのスペースを使ってハチに関する資料を展示。ひな形の写真や、初公開となる昭和8~9年ごろに撮影された、渋谷駅前にいるハチとその周りに集まる子どもたちを収めた写真のほか、照の資料や、ハチのことを新聞に投稿した日本犬保存会の斎藤弘吉の資料なども紹介している。

 開館時間は11時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌火曜が休み)。入館料は、一般=100円、小中学生=50円ほか。新収蔵資料展は6月1日まで。

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