新「山種美術館」竣工、10月開館へ-こけら落としは「速水御舟」展

10月1日に開館する新「山種美術館」の外観。写真=恵比寿方面からの眺め

10月1日に開館する新「山種美術館」の外観。写真=恵比寿方面からの眺め

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 千代田区にある日本画専門美術館「山種美術館」が移転し、10月1日に新「山種美術館」として渋谷区広尾に再オープンする。

青山方面から眺めた新「山種美術館」外観

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 近代・現代日本画を中心に1,800点以上の日本画を収蔵し、日本画の巨匠、速水御舟作品の優れたコレクションでも知られる同館は、1966(昭和41)年に日本橋兜町に開館。建物の老朽化などに伴って1998年に千代田区三番町へ仮移転し、昨年3月に広尾への施設の移転・新築を発表していた。

 駒沢通り沿い、都立広尾高校の向いに竣工した地上6階地下1階から成る新築のビルは、クリーム色の石が短冊状に縦に連なるファサードで、恵比寿に面する外観と青山に面する外観では大きく印象を変える構造に。新館は同ビル地下1階、地上1階部分に開館し、地下1階には常設展示室、企画展示室、ミュージアムショップを、地上1階部分にはロビー、ミュージアムカフェ「Cafe 椿」、受け付けを併設する。

 ロビーから展示室へとつながる階段脇の壁面には、日本画家加山又造による陶板壁画「千羽鶴」を常設。40年以上前から引き継ぐ同館のロゴマークは、歴史や文学を題材にした人物画で知られる日本画家、安田靫彦(ゆきひこ)によるもので、同ロゴを彫った看板が新館のエントランスにも掲出される。

 地下1階には、旧美術館の約2倍のスペースを持つ企画展示室、常設展示室を配置。企画展示室には総長92.5メートルの可動式展示壁面を設置し、大型作品の陳列に備えるほか、常設展示室では、速水御舟の作品を中心に所蔵品数点を年6~7回展示替えして公開する。また、両展示室の中央にはミュージアムショップを配置。日本画の持つ素材と質感を丁寧に取り入れた「山種ブランド」から、絹糸を撮影して罫線に見立てた一筆せん(10絵柄×2枚、800円)や、和紙と純白紙を貼り合わせたポストカード(180円)などを販売する。和ブランド「コラゾン」社や京都の老舗「川島織物セルコン(旧川島織物)」とのコラボレーショングッズも用意し、幅広い客層に対応する。

 1階エントランス隣接部には、40席から成るミュージアムカフェ「Cafe 椿」を設ける。御舟作品の白眉「名樹散椿」(重要文化財)にちなんだ同カフェでは、四季や開催中の展覧会に連動しながら、青山の老舗菓子店「菊屋」によるオリジナル和菓子と抹茶のセットや、気鋭のパテシィエ本間淳さんによる米のオリジナルスイーツとオーガニックコーヒーのセット(各1,000円)などを提供する。

 10月1日から、新美術館開館記念特別展として「速水御舟-日本画への挑戦-」を開催。同館所蔵で重要文化財の「炎舞」「名樹散椿」をはじめとする120点の御舟作品に加え、初公開となる未完の大作「婦女群像」と1930年の渡欧日記も展示。40歳の若さで急逝した御舟が晩年に目指した方向性を探る。11月29日まで。

 通常開館時間は10時~17時(「速水御舟-日本画への挑戦-」開催期間中は19時まで)。月曜休館(10月12日、11月23日は開館、翌火曜日は休館)。入館料は、一般=1,200円、大高生=900円、中校生以下=無料。

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