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岡本太郎「明日の神話」第3期大規模改修 タローマン描き下ろしシートも

 渋谷マークシティ連絡通路内に展示されている岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」の第3期大規模改修工事が3月30日に始まった。今回の改修では、全14枚で構成される壁画のうち左側6枚(右から9~14枚目)を対象に、亀裂や剥落、変色などの修復を行い、2023年から3期にわたって進めてきた大規模改修が完了する。

迂回(うかい)路頭上の左6枚の壁画の改修

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 「明日の神話」は、アメリカの水爆実験で被爆したマグロ漁船「第五福竜丸」をテーマに岡本太郎が1960年代後半に制作した大作で、「日本版ゲルニカ」とも称される。メキシコの新築ホテルに飾るために描かれたが、ホテル計画の頓挫により長く行方不明となり、2003(平成15)年にメキシコ郊外で発見された。その後、修復を経て、2008(平成20)年11月から渋谷マークシティ連絡通路で一般公開されている。

 公開から15年以上がたち、作品表面には亀裂や剥落、変色など経年劣化の症状が見られるようになったことから、同機構は2024年、改修費用を募るクラウドファンディングを実施。多くの支援者からの協力を得て、壁画を3期に分けて改修するプロジェクトを進めてきた。第1期では渋谷マークシティ側、第2期では中央部分を修復し、今回の第3期で左側6枚に着手する。作業内容は、汚れや付着物の除去、亀裂・剥落部分の補修、保護剤の塗布など。修復作業は引き続き絵画修復家の吉村絵美留さんが担当する。

 今回は、工事用足場を覆うシートに「タローマン」のイラストを採用した。テレビ版「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」はNHK Eテレで放送された作品で、岡本太郎の世界観をモチーフにした独特の表現で話題を集めた。壁画の展示・維持管理を行うNPO法人「明日の神話保全継承機構」によると、昨年は大阪・関西万博の開催に加え、映画「大長編 タローマン 万博大爆発」の上映もあり、岡本太郎への関心が高まった年だったという。そうした流れを受け、より多くの人に「明日の神話」を知ってもらうきっかけになればとの思いから、「タローマン」を制作した豪勢スタジオの藤井亮監督の協力を得て、シート掲出を決めた。

 掲出のビジュアルは、タローマンと破壊の奇獣「明日の神話」が対峙(たいじ)する場面を描いたもので、今回のための描き下ろし。藤井監督は「元々は、『横断幕にタローマンの写真などが使えるかもしれない』という話だった。ただ、このような機会は二度とないかもしれないと感じ、ぜひイラストで作らせてほしいとお願いした」とコメント。「普段のタローマンのイラストよりも、塗りを岡本太郎作品に近づけ、すぐ横に見える『明日の神話』に対して悪目立ちしないバランスを意識している。『明日の神話』の世界の中に、タローマンのキャラクターたちが入り込み、対峙している。そこから生まれるストーリーを想像していただけたら」と続ける。

 今回の工事は、通勤・通学で多くの人が行き交う迂回(うかい)路の頭上で実施されるため、安全面への配慮も大きなテーマとなる。同機構は「足場の設置に関しては、安全面を考慮し何度も施工者とすり合わせを重ね、過去の改修工事よりも万全を期した足場組み立てを行った」と説明する。「タローマン」のイラスト入りシートについても、視線を引き付けることで「工事中」であることを通行者に認知してもらい、注意喚起につなげる意図があるという。

 3期にわたる大規模改修工事の完了に向けて、同機構は「会員をはじめ、一昨年のクラウドファンディングに協力いただいた皆さま、通行動線の頭上という高難度な工事に携わっていただいた皆さまに感謝申し上げたい」とコメント。「今後も皆さまと『明日の神話』を末永く守っていきたい」としている。

 改修期間は5月31日までを予定し、足場は6月末ごろに解体する見通し。

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