渋谷区と渋谷区商店街連合会が3月23日、災害時の支援協力などに関する協定を締結した。
区内で異常な自然現象や大規模な火事・爆発など、災害対策基本法第2条第1号に定める災害が発生した・する恐れがある際に、地域防災計画に基づき、同連合会が行う支援協力や、平時における防災協力を定める。支援協力として、災害時に物資などの給与・貸与や、避難所生活の「質の向上」に資するサービスの提供、平時は防災に関する意識啓発の普及、加盟店舗での商品確保に努める。
いつ発生するか分からない大規模災害。東日本大地震時には、渋谷駅周辺を中心に約10万人の帰宅困難者が発生した。区でも備蓄はしているが、災害規模によっては「行政の備えだけでは行き届かないことが浮き彫りになった」と、長谷部健渋谷区長。
区は山梨・甲府や長野・茅野など5都市と「災害時相互応援協定」を締結し、災害時に食料・生活必需品を提供することなどを盛り込むなど、対策を強化している。一方で、「物資をどう蓄え、地域の人たちと回していくのか」などを考えた際に、地域に根ざした「商店街にあるストックをうまくつなげられたら」と考えたという。
これまでも避難訓練に参加するなど、区と同商店会のつながりはあった。かつては食住一致の事業者も多かったが、現在は店舗と住まいが異なる事業者も多いことから、「明文化してやっていくタイミングだったのでは」(長谷部区長)と協定を締結した。
大西賢治渋谷区商店街連合会会長は「町会・商店街も(防災に対する)意識は持っているが、行政との取り決めでのシステム化が足りていなかった。(協定は)行政と一緒になってできるシステム」と言及。「商売の中での付き合いもある。ルールができると、連携の一つの構図がつくりやすい。我々にとっても助かる」と続ける。
渋谷区と一口に言っても、渋谷や原宿など来街者が多いエリアや、笹塚や幡ヶ谷など住民が多いエリアなどさまざま。大西会長は「(加盟する)61の商店街に浸透させられるいい機会。渋谷区も狭くないので、商店街同士の絆も深めて、どこで災害が起きても、同じ目線・同じマニュアルで来街者のために対応できるようなシステムになることを期待したい」と話す。長谷部区長は「商店街連合会と包括的に進めることで、それぞれの地域で課題に対応して、どう商店街のリソースを活用できるかに取り組んでいけたら」とも。
商店街の店舗が提供するのは、物資ではオムツなどの日用品、食用品など、サービスでは、理美容や医療などをそれぞれ想定。具体的にはこれから話し合うと言う。その際に発生する経費は、一部区が負担する。大西会長は「ケースバイケースで、ニーズに沿ったものを提供できるのがいい。困った人目線で、できるだけ現場主義でやっていきたい」と説明。
長谷部区長は「復興に向かう間の中心は、地域の助け合い。スキルを持った人や商売できる人などが商店街には詰まっているので心強い。可能性を一緒に考える話し合いや情報交換を進むことに期待している」と力を込めた。
有効期限は来年3月31日まで。以降は1年ごとに更新していく予定。