サッポロホールディングス(渋谷区恵比寿4)は12月24日、不動産事業を担う完全子会社のサッポロ不動産開発(同)に外部資本を導入すると発表した。
PAG インベストメント・マネジメント(港区)と、 米ニューヨークを拠点とする不動産ファンドKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.(KKR)などが運営するファンドが共同出資する SPARKが段階的に出資。2026年6月をめどに、サッポロ不動産開発はサッポログループの連結対象から外れる。サッポロホールディングスによると、取引全体の企業価値は4,770億円。
サッポロ不動産開発は、ビール工場跡地を起点とした再開発を通じて事業を拡大。1994(平成6)年に開業した複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」は、敷地面積約8万3000平方メートルで、オフィスタワーや商業施設、ホテル、ミニシアターなどで構成。2022年11月には旧「恵比寿三越」が入っていた商業棟「センタープラザ」を大幅リニューアル。開業30周年を迎えた昨年4月には醸造施設を併設する「ヱビス」ビールブランドの体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)」もオープンした。
札幌市中心部にも、ビール工場跡地を再開発した大型複合商業施設「サッポロファクトリー」を運営。いずれもサッポロブランドの発祥地としてまちづくりに携わってきた。今回の取引実行後も、SPARKはサッポロ不動産開発の経営・事業運営に対する自主性を尊重しながら、事業基盤強化や不動産開発、営業活動などを支援。サッポロホールディングスは今後も、恵比寿・札幌エリアとのつながりを継続しながらブランド体験や情報発信を続けていくという。
取引では、SPARKが3段階に分けて株式を取得。第1段階となる2026年6月に出資と自社株買いなどを通じて議決権の51%を取得。サッポロ不動産開発は連結子会社から外れる。その後、2028年6月に29%、2029年6月に残る全ての追加取得を進め、全株式を異動する。
サッポロホールディングスはこれまで、グループの不動産活用方法などについて不動産事業 への外部資本導入や物件売却などの選択肢を比較検討。昨年9月から、国内外の事業会社やファンドなどを対象に候補を募り、外部資本導入への提案などを募集。同年 12 月に、一部コンソーシアムを含む 11 陣営から具体的な提案を受け、その後、複数回にわたり価格も含めた具体的な提案機会を設け、候補者の絞り込みを進めてきた。
今回の取引で得た資金は、酒類事業などグループの成長に向けた投資や財務基盤の強化、株主還元充実の原資などに活用。恵比寿ガーデンプレイスの信託受益権 の30%などは、子会社のサッポロビールに移管する。