デフ(耳が聞こえない)アスリートの国際スポーツ大会「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025」の応援イベントが11月11日、渋谷区役所に隣接するシビルガーデン(渋谷区宇田川町)で開催された。
デフリンピックは聴覚に障害のあるアスリートが参加し、補聴器などを外して競技を行う大会。1924年にフランスで始まり、オリンピック・パラリンピック同様、4年に1度春と夏に開催。今年は11月15日~26日に東京を中心に日本で初めて開催される。渋谷区内にある東京体育館(千駄ヶ谷1)では、開閉会式や卓球の試合が行われる。
区は昨年度から、デフアスリートによる学校訪問やトークイベントなどを展開。区役所に開催日までのカウントダウンボードを設置するなど、機運の醸成などを図ってきた。この日は、全日本ろうあ連盟が3月から、開催地である東京を目指して47都道府県を巡回してきたキャラバンカーが区に到着したタイミングで開催した。
会場には、区の職員や区のスポーツボランティアらが来場。「行け」「日本、メダル、つかみ取れ」などの「サインエール」を練習した。サインエールは、目で見て分かる応援として日本の手話をベースに複数の動きを組み合わせたもの。会場には、小学生~高校生の投票でデザインが決まったメダルのレプリカなども展示。手袋をして触れるようにした。メダルは、表に選手が「大きく羽ばたき、活躍すること」を願い、折り鶴をデザイン。裏は複数の線が混じり合うデザインで「世界の人とのつながり」を表現している。
東京都聴覚障害者連盟大石欣也副会長は、各地を巡ってきて来たキャラバンを「大変だった」と振り返りつつ、「行く所々で大声援をいただき、本当にデフリンピックが近づいてきたと感じている」と話す。デフリンピックについては「デフのスポーツというだけではなく、社会を変えるきっかけにする目的もある。私たち耳の聞こえない人たちは差別を受けてきたが、少しずつ平等にするため、共生社会を目的に、私たちのことを認めていただくために運動している意味もある」と意義を語った。
苗字を手話にしてあいさつを始めた長谷部健渋谷区長は、「いよいよデフリンピック始まる。始まると盛り上がり、多くの人が注目すると思う。スポーツの楽しみを伝えていただければ」と期待を込め、「手話など準備してきたことを楽しみながらいかんなく発揮する機会になれば。これを機に、さらに聴覚障害者への理解が進めば」と話した。
松澤香副区長は、デフ卓球の選手はかがんで靴ひもを結び直す際に作戦会議をしているというエピソードを披露。「面白いと思った。(聞こえない・聞こえにくいので)自分の感覚や目での追い方が匠(たくみ)の技というか、すごく見どころなんだと思う。ぜひ楽しんでいただければ」とも。