
東急電鉄・田園都市線を中心に運航していた「8500系」の車両で実際に使われていたつり輪をアップサイクルした照明器具「WA」が8月25日に限定発売された。
東急線の「主力車両」として運行していた8500系は、1975(昭和50)年に8000系をベースに開発。「ハチゴー」の愛称でも知られ、後継車両である5000系、2020系車両の導入に伴い2023年1月に定期運行を終えた。
同商品は、循環型社会の実現を目指す取り組みとして、東急と東急電鉄が企画・販売。両社は、博報堂が設立した研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY」が2021年に展開した「Circular Creativity Lab.~クリエイティビティで廃材をハックしよう」で、8500系の車両部品を活用するアイデアを募集。その中で、英ロンドンを拠点に活動するデザインスタジオ「Akasaki & Vanhuyse」が応募したアイデアを、今回実現した。
デザインは、つり輪の白色と形状を着想源に「機能的で長く愛用できること」をテーマにした。つり輪は表面を洗浄した後、傷やへこみは残しつつ、「サンドブラスト加工」を施すことで光沢のあるコーティングを落とし「マット仕上げ」にした。9個を積み上げるように、明かりが漏れるように少しの隙間を空けて重ねて、ランプシェードにした。
同スタジオが注目したのは、一目で「つり輪だと分かりやすい」形状が、デザインに落とし込む際に「生かしやすい特徴」だったことや、樹脂製のつり輪が金属部分に比べると「リサイクル率が低い」課題がある点。世界各地の鉄道車両などで大量に、汎用(はんよう)的にも使われているつり輪は、生産数も確保しやすいなどとも考えたという。東急電鉄ではこれまでつり輪を、不要になった鉄道部品や廃材などを販売する「鉄道お宝市」で販売。新しい商品として活用し販売するのは初の試みとなる。
幅11.4センチ×奥行き12センチ、高さ19.3センチ。本体重量は約1.2キロ。8500系の約1編成分を商品化し、販売台数は150台。シリアルナンバー入りの化粧箱が付く。価格は10万9,000円。ECサイトで販売している。