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代官山エリアに万年筆調整とステーショナリーのセレクト店 三田から移転

オーナーの鈴木智子さん

オーナーの鈴木智子さん

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 万年筆調整とステーショナリーのセレクトショップ「Lichtope(リヒトープ)」(渋谷区恵比寿西1、TEL 03-3464-0330)が5月、代官山駅近くにオープンした。経営は光緒(同)。

落ち着いた空間に仕上げた店内

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 オーナーの鈴木智子さんが行う万年筆の調整サービスと、セレクトする万年筆やステーショナリーを販売する同店。鈴木さんは、重要無形文化財各個認定保持者(人間国宝)を父に持つ伝統芸能の浄瑠璃「常磐津」の奏者・常磐津兼豊としても活動しており、常磐津の「唄本」は自身で書かなくてはいけないことから手書きが好きになったという。そこから万年筆を使うようになり、2018(平成30)年ごろに、愛好家で構成する万年筆研究会「WAGNER(ワーグナー)」に入会。同会を主宰する森睦さんに師事し、万年筆の修理や調整を学び同会の認定「調整師」となった。万年筆の調整を行うのには資格などはないが、メーカーには「ペンドクター」と呼ばれるスタッフが在籍し調整などを行っている。

 同店は2020年に三田で開業したが、都市開発のため移転。鈴木さんがかねて「懇意にしている」店が近くにあることから代官山~恵比寿エリアは移転地の候補にあったと言い、駅から近く、思い描いていた「落ち着ける空間」「隠れ家的なサロン」がつくれると感じ同所に出店した。新築で出店した同店の店舗面積はオフィス部分含めて約29平方メートル。英国式ガーデンをコンセプトに、コンクリート打ちっぱなしの空間にアンティークショップで仕入れるなどした「シャビーシック」な雰囲気の家具や什器を置いた。

 予約制で対応する調整メニューは、段差直しや書き味の調整(各1,000円=整備基本料)、研磨によるペンポイントの形状を変える研ぎ出し(1,000円~5,500円、要別途整備基本料)、ペン先の曲がり直し(2,000円~8,000円)ほか。好みの書き味などは人によって異なることから、調整は基本的に対面で話しながら行う。同じモデルでも個体差があることから、「万年筆の本来の良さを十二分に発揮できるようにしてお渡しできるようにしている」と鈴木さんは話す。

 「手書きの時間をプロデュースしたい」と、販売する商品は万年筆をはじめとしたステーショナリーを扱う。万年筆は、日本のメーカーであるパイロットコーポレーション、プラチナ万年筆、セーラー万年筆をはじめ、同社が代理店を務めるドイツのオットー・フット、台湾のラバンなどの海外のブランドなど鈴木さんが実際に使いセレクト。

 オリジナル商品は、日本の自然・文化・芸術を盛り込んだ商品の「MITSUO」と、ガーデンをイメージした商品の「リヒトープ」を展開。「MITSUO」では、常磐津の舞踊曲「積恋雪関扉(通称「関の扉(せきのと)」)をイメージした万年筆とインクのセット「黒染」(4万6,200円)、京都・八坂庚申堂の願掛け「くくり猿」から着想を得たパウダーピンクを基調にした万年筆「くくりざる」(2万8,500円)、「鴨川」「八坂」などのインク(各2,640円)などを用意。「リヒトープ」では、ラメ入りで香りが付いているくすみピンクの「エバーラスティングノート」(2,400円)など8色を用意するインク(1,980円~2,400円)や、クリップボードと用紙のセット(小990円、大1,330円)、ノンブルノート(1,650円)などをラインアップする。

 移転後は客層が広がったといい、女性客も増え、買い物客は7割程度が女性、調整サービス利用は6割程度が男性だという。鈴木さんは「リーズナブルな万年筆も出てきているのでまずは使ってみてほしい一方で、手間の掛かる筆記具でもある。そこに愛着を持っていただき、自分と一緒に時間を経ていく相棒みたいな存在にロマンを感じていただけたら」と話す。

 営業時間は12時~19時。アポイントメント制の日とフリーオープンの日がある(詳細はホームページに記載している)。

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