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26年の歴史に幕を下ろす「アップリンク渋谷」 最終日迎える

名残惜しそうに映画館を見つめたり、記念撮影したりする映画ファンの姿も(撮影:2021年5月20日)

名残惜しそうに映画館を見つめたり、記念撮影したりする映画ファンの姿も(撮影:2021年5月20日)

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 渋谷のミニシアターを長らくけん引してきた「アップリンク渋谷」(渋谷区宇田川町)が5月20日で閉館し、26年の歴史に幕を下ろす。昨年から続くコロナ禍で映画館経営が厳しさを増す中、4月22日に同館を経営するアップリンクの浅井隆社長が公式ホームページ内で「設備や機材の老朽化による再投資を考えなければならない時にコロナ禍に襲われ、収入が途絶えた」と閉館を発表し、SNSなどを中心に映画ファンから惜しむ声が上がった。

入口に貼り出された「閉館のお知らせ」

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 アップリンクは1995(平成7)年、渋谷・神南にイベントスペース「アップリンク・ファクトリー」を開業。2004(平成16)年、現在の宇田川町に移転し、「日本一小さな映画館」のキャッチフレーズで「アップリンクX」をスタートした。その後、スクリーン数を3つに拡大し、ギャラリーやマーケット、カフェレストランを併設する現在の「アップリンク渋谷」が誕生する。

 渋谷のミニシアターブームは、80年代に「ユーロスペース」「シネマライズ渋谷」「シネセゾン」「Bunkamuraル・シネマ」などの小規模な映画館が集積したことに始まる。90年代に映画館運営を始めた同社は後発ながら、作家性の強い作品をそろえたプログラムで独自色を打ち出す。中でもデレク・ジャーマン監督作品の配給や、「アカルイミライ」(黒沢清監督)や「I.K.U.」(シューリー・チェン監督)、「ストロベリーショートケイクス」(矢崎仁司監督)をプロデュースするなど、上映のみならず、作品の買い付けや映画製作にも力を注ぐ。2011(平成23)年には、震災間もない4月2日に放射性廃棄物の処理を描いた映画「100,000年後の安全」を公開し、社会問題やメッセージ性の強いドキュメンタリー作品も臆することなく取り扱ってきた。

 26年間の歴代上映作品で最も多くの動員を記録した作品は、ジャズピアニストのビル・エヴァンスの生涯を追ったドキュメンタリー映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」(上映期間=2018年4月27日~8月30日)。これに、東京国際映画祭で監督賞を受賞したサスペンス・コメディー映画「メランコリック」(同=2019年8月3日~12月11日)、89歳のピアノ教師シーモア・バーンスタインの魅力に迫るドキュメンタリー映画「シーモアさんと、大人のための人生入門」(同=2016年10月1日~12月30日)が続く。

 昨年春、新型コロナの感染拡大防止による緊急事態宣言を受け、いち早く4月には配給作品60本以上が見放題になるオンライン映画館「アップリンク・クラウド」をスタート。さらに全国のミニシアターを応援するクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」にも参加し映画ファンから支援金を受けるなど、出来る限りのコロナ対策を講じてきたが、「今年はさすがに限界を超える状態で、再投資をしても先が見えない状況となり、閉館という決断に」(公式ホームページより)と苦しい胸中を明かした。

 最終営業日を迎えた20日は、9時55分に上映を始め、最終上映開始の19時15分までに3スクリーンで大島渚監督の「戦場のメリークリスマス 4K修復版」などの名作や、篠原利恵監督の新作ドキュメンタリー映画「裏ゾッキ」などを含む計14本の作品を上映。前日夜から販売したチケットは、平日にもかかわらず全上映回共にほぼ完売。名残惜しそうにスマートフォンで館内や外観にカメラを向けたり、1階マーケットで映画グッズを買い求めたりする映画ファンの姿も目立った。

 トークイベントなどに数多く登壇してきたドラァグクイーンで美術家のヴィヴィアン佐藤さんは「渋谷の消防署の傍にあったときから通っていたアップリンク。早稲田にカフェ&ギャラリーがあったときも。都内場所に限らず常に挑戦し続ける浅井さん。これからもまた東京のどこか別の場所で、別の形態で、何か企んでいるに違いない」と今後活動に期待を寄せる。

 5月末までに1階のマーケット、カフェスペース、1・2階の映画館、4階の事務所を全て引き払い、本社を吉祥寺に移転する。「アップリンク吉祥寺」(武蔵野市)、「アップリンク京都」(京都市中京区)は、これまで通り営業を続けていくという。

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