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東急東横店の「伊東屋」、別れ惜しむ客でにぎわう 閉店まで3週間

佐古玲店長の後方には、閉店まで21日を示すカウントダウンカレンダーが設置

佐古玲店長の後方には、閉店まで21日を示すカウントダウンカレンダーが設置

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 東急百貨店東横店(渋谷区渋谷2)の3月末の営業終了に伴う閉店まであと3週間と迫った「伊東屋 渋谷店」が連日、別れを惜しむ客でにぎわいを見せている。

渋谷限定ショッパー、東急東横店の「伊東屋」閉店へ

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 銀座に本店を構える同社(中央区)は、1975(昭和50)年に東邦生命ビル(現渋谷クロスタワー)に出店。2000(平成12)年に銀座線渋谷駅改札口の向かい東急百貨店東横店南館3階に店舗を移転し、渋谷での営業は45年目、東横店では20年目を迎える。渋谷駅の再開発事業の進捗に伴い、今月31日に東急百貨店東横店が営業を終了し、同店も閉店することが決まっている。

 レジカウンター後方には、閉店日までの100日間をカウントダウンする「日めくりカレンダー」を設置。入社29年目を迎える佐古玲店長は「昨年末にカレンダーの掲出を始めると、『えっ、閉店するの?ショック』『これからどこで文房具を買えばいいの?困る』と、閉店を知らなかったお客さまから驚きの声が上がった」と話す。渋谷店の店舗は120坪と他支店と比べてコンパクトながら、全支店の中で常に売り上げトップを誇り、渋谷店に長年愛着を持つファンも多い。「次は渋谷のどこに移転するの?」という声も多いが、今のところ渋谷での再出店の計画は無いという。

 渋谷店での思い出について、佐古店長は「東邦生命ビルでは画材や色見本などデザインショップとしてのんびり営業していたが、東横店に移転した際、オフィス用品を中心とした品ぞろえに一新。駅直結の好立地もあり、ものすごく多いお客さまの数に泡を食らったのを今でも覚えている」と当時を懐かしむ。さらに「3・11では電力を控えるため、薄暗い中で営業をしたり、東横店東館閉館時には売り上げが大きく落ち込んだりしたこともあった」など、浮き沈みのあった20年間を振り返る。

 「Thank you! Shibuya」と名付けたクロージング企画では、「ハチ公」と「渋谷スクランブル交差点」をデザインに取り入れた「閉店限定ショッパー(購入客向けの紙袋)」や、オリジナルポストカード(無料)にハチ公スタンプが押せる台を用意したほか、店頭に設置した桜木を模したメッセージコーナーでは、同店に対する利用客の思い出やエピソードを募り、貼り出している。「約1週間前に始めたが、もうメッセージの花が満開になった」。予想以上の反響に急きょ、桜木をもう一本増やした。

 さらに「定価販売をポリシーとする伊東屋では異例ながら、お客さまへの感謝の気持ちを込めて」として、店内ではほぼ全品3割引(一部商品を除く)で売りつくしセールを実施。連日11時開店と同時に多くの人々で店内がにぎわい、「コロナウイルスの影響で売り上げが伸び悩む店が多い中でありがたい。閉店まで商品が持つかな」と佐古店長。

 「20年間ご愛顧いただき感謝の気持ちしかない。『渋谷に出店して』という声もたくさん頂いたが、残念ながら希望に沿うことができず、我々も寂しく感じている。諦めたわけではなく、伊東屋としてもいつか渋谷のまちで(再出店)できないかと思っている。今後、他の伊東屋もご愛顧いただければ」

 営業時間は10時~21時(今月13日までは11時~21時)。

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