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渋谷観光の新名所誕生! 地上230メートルの屋上展望空間「渋谷スカイ」全貌リポート

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 11月1日開業の渋谷最高峰・230メートルの高さを誇る複合施設「渋谷スクランブルスクエア東棟」。その屋上スペースにはエンターテインメント性に富んだ屋上展望空間が誕生する。渋谷スクランブル交差点を真上から見下ろせるロケーションなど、来年に五輪開催を控え、渋谷の新たな観光コンテンツとして大いに期待されている。今週末の開業に先駆け、同施設の屋上展望空間「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」の全貌と魅力をいち早くレポートする。

地上では見えなかった「新しい渋谷の観光コンテンツ」

 五輪開催を翌年に控え、訪日旅行者が急増している。国土交通省が発表する「観光白書(令和元年版)」によれば、2018年(平成30年)の訪日外国人旅行者数は、過去最高となる3119万人を数え、初めて3000万人を突破。東京都が発表する「平成30年訪都旅行者数等実態調査」でも、2018年に東京都を訪れた外国人旅行者数が約1424万人に達し、訪日旅行者のほぼ半数が東京に訪れていることが分かる。

渋谷スクランブル交差点を望む「MAGNET by SHIBUYA109」の展望台「CROSSING VIEW」

 ここ渋谷も例外ではなく、忠犬ハチ公像や渋谷スクランブル交差点付近は連日、外国人旅行者でにぎわい、記念撮影を行う姿が目立っている。とはいえ、「渋谷の観光スポットは?」と聞かれても、この2つ以外に思い浮かぶスポットも少なく、「渋谷の観光コンテンツの乏しさ」が課題となっていた。こうした中、2018年4月に「109MEN’S」を「MAGNET by SHIBUYA109(以下、マグネット)」が大規模リニューアルしたのに伴い、それ以前まで一般公開していなかった屋上スペースを展望台「CROSSING VIEW(クロッシング ビュー)」として開放。それまで地上レベルでしか楽しめなかった渋谷スクランブル交差点を、真上から俯瞰(ふかん)できるユニークなロケーションとして一躍人気のスポットに。「渋谷スクランブル交差点」を観光コンテンツ化した、訪日外国人向けのインバウンド施策の一つとして初めての成功事例といえそうだ。

渋谷スクランブルスクエア外観

 地上8階、地上約30メートルの高さから交差点を見下ろせる「マグネット」に続き、11月1日に開業する「渋谷スクランブルスクエア(以下、渋スク)東棟」にも、渋谷最高峰の地上約230メートルの屋上スペースに展望空間「渋谷スカイ」がオープンする。渋スクに比べ低層のマグネットは、信号が変わると同時に360度さまざまな方向から一斉に動き出す歩行者の姿がはっきり見え、街のダイナミズムを感じることができる。一方、約200メートル高い渋スクの魅力は、何といってもその眺望の素晴らしさ。スクランブル交差点のみならず都心や、天気が良ければ富士山まで一望できるロケーション、さらに2500平方メートルの広さを誇る屋上空間は浮遊感すら感じてしまう高さと解放感が味わえる。

渋谷スカイ全貌リポート! エレベーターから始まる展望エンターテインメント

 渋谷スカイが他の展望施設と大きく異なる特徴が、単なる屋上空間ではない点だ。チケットカウンターのある14階から45階・46階・屋上の4つのフロアで構成。中でも14階から45階まで移動する空間を「SKY GATE(スカイゲート)」と名付け、展望空間(屋上)へ向けた期待感を醸成する上昇空間として位置付ける。

14階にあるSHIBUYA SKY入り口

人の移動に反応してさまざまな色に変化する天井

 14階の入り口から出口までを誘導する光、人が移動すると変化する天井のLEDライトが行く手を案内。屋上に向け30フロア以上を一気に上昇するエレベーター「TRANSITION POD(トランスポーテ―ションポッド)」は、速度や重力に合わせて天井に映し出される映像と音響が加速していく。

エレベーター「TRANSITION POD」の天井映像。まるで天空へ一気に飛び出すかのような、不思議な感覚に包まれる。

 その時間は30秒くらい。遊園地やテーマパークでアトラクションに乗り込む前のワクワクやドキドキに近い感覚が得られる。

 展望施設全体の演出は、クリエーティブ集団「ライゾマティクス」のデザイン部門「ライゾマティクスデザイン」が担当し、インタラクティブなデジタルアートやビッグデータを活用したビジュアライズなどを手掛けている。施設内の随所に見られる「ライゾマらしさ」を感じながら見学するのも楽しい。

46階の展望スペースから光が差し込む

 エレベーターを降りた先には、「LEADING LINE(LEDの光)」が導く階段が屋上へと続く。暗い上昇空間を抜け、一気に明るい46階に出た瞬間に思わず声を上げてしまうかもしれない。そこには今まで見たことない天空の世界が広がっている。

ロッカールーム

 屋外スペースへと先を急ぎたくなるが、その前に手荷物等の預け入れが必要となる。46階には真っ白いロッカールームがあり、400台以上のロッカーを備える。かばんや帽子、ペットボトルなど、落下の危険があるものは厳しく持ち込みが制限される。

大きな手荷物2~3個が収納可能

 ロッカーの使用料は100円。使用後にキャッシュバックされるが、100円玉の準備が必要となるため事前の準備をお忘れなく。

広がる絶景 昼夜で表情を変える360度パノラマビュー

 準備が整ったところで、いよいよ屋外スペースへ。46階からさらに屋外のエスカレーターでデッキの展望空間「SKY STAGE(スカイステージ)」へと徐々に昇っていく。

SKY STAGEの入り口

さらにエレベーターを昇り、最上階のSKY STAGEへ

 エスカレーターの横はガラスの仕切り一枚のみで、眼下には渋谷スクランブル交差点、その先にはSHIBUYA109や道玄坂、文化村通りなどが一望できる大パノラマが広がる。高所恐怖症でない人でも、下をのぞき込めばきっと足がすくむはずだ。

 約2500平方メートルの広さを誇るスカイステージの上は人工芝が敷かれ、思わずゴロンと寝転びたくなるような解放感にあふれている。その中央には「H」マークが配され、緊急発着用のヘリポートとして整備されている。屋上スペースを囲むガラス壁はヘリポートよりも低く設置されており、視界を遮らない配慮がなされている。

遮るものはガラス壁1枚のみで、体全体で都心の景色が楽しめる

東京五輪のメイン会場となる国立競技場もよく見える

セルリアンタワーや12月に開業予定の渋谷フクラスなどが見える

11月後半に開業する渋谷パルコ、その後方には代々木公園も見える

 すり鉢状の地形の渋谷駅の最も低い場所に立つビルとはいえ、そこは地上230メートル。屋上まで昇れば、富士山や代々木公園・新宿方面、六本木・東京タワー方面など、東京中の観光名所を360度パノラマで一望できる。

運が良ければ、こんな景色も見られる(画像提供=渋谷スクランブルスクエア)

単に屋上眺望を楽しむだけではなく、工夫を凝らした演出やアクティビティーも見逃せない。

渋谷スクランブル交差点を見下ろせるスポット

 渋谷スクランブル交差点を直下に見下ろせる一角は「SKY EDGE(スカイエッジ)」。床にLEDを配して、まるで矢印のように交差点方向を指し示す。

ハンモックに寝すべりながらゴロゴロ

 そのほか、ネットに寝そべりながら空を見上げ過ごせる「CLOUD HAMMOCK(クラウドハンモック)」や、SHIBUYA SKYの最も高い位置から景色が楽しめる「GEO COMPASS(ジオコンパス)」、ガラス壁の近くにはスタンドテーブルやソファなども配し、街の景色をゆっくりと満喫できる。

のんびり景色が楽しめるソファー席

ガラス越しにスタンドテーブルが並ぶ。近くにはカウンターも設置されており、開業後はルーフトップバーとしてドリンクなども提供されるのでは。

 展望施設にはもう一つの大きな見せ場がある。施設は23時まで(最終入場22時)営業するため、地上230メートルからぜいたくな東京の夜景が望める。

18台のサーチライトが夜空に点灯

 日没後には、縦に伸びるサーチライト(18台)「CROSSING LIGHT」が音楽とともに夜空を彩り、日中とは異なるロマンチックな演出も見どころ。デートや記念日にもぴったりなスポットになりそうだ。

 ただし、地上230メートルの屋上は地上より風も強く、体感温度も低くなる。冬の日没後に訪れる場合は、しっかりとした防寒対策が必要になりそうだ。

雨天でも楽しめる屋内ギャラリー&ミュージックバー

 名残惜しいが屋上空間に別れを告げ、46階の屋内に戻る。SHIBUYA SKYの46階には、雨天や強風で屋上スペースに出られない日であっても楽しめる屋内展望回廊「SKY GALLEY(スカイギャラリー)」が設けられている。

「時の流れと人の関り」を可視化した「TIME RIVER」

 ギャラリー入り口にある「TIME RIVER(タイムリバー)」は4K 70インチディスプレー10台で構成し、来場者の「触れる」アクションによって映し出される映像が変化していく。「時の流れと人の関り」を可視化したアートコンテンツだという。

「時間・世界・自分」を3つのディスプレーで映し出す「PARALLEL WINDOWS」

 その先の東側の回廊には、窓の外の眺望を切り取った街並みを3つの縦型のディスプレーが映し出す「PARALLEL WINDOWS(パラレルウインドー)」を設置。左側のディスプレーは「時間」を表し、窓の外に見える景色が朝から夜まで時間ごとに刻々と変化する街の姿を映す。中央のディスプレーは「世界」を表し、同じ方角にある異国の地の姿を映す。右側のディスプレーは「自分」を表し、画面上で動くと、その動きに合わせて街の風景も変化していく。3つのディスプレーは現在の街の風景とシンクロをしながら、実際にこの場で見ることのできないもう一つの世界と融合するという新しい眺望体験ができる。それぞれの世界に没入してみてほしい。

「渋谷に関するデータ」をビジュアライズしたメディアアート「DATA SCAPE」

 「PARALLEL WINDOWS」の反対側の壁には、30平方メートルの巨大なLEDディスプレーで映像を映し出す「DATA SCAPE(データスケープ)」を設置。「渋谷エリアの3D都市データ」(パスコ)、「位置情報解析に基づく人流情報」(データワイズ/NTTドコモ)、「渋谷駅を通過する鉄道のリアルタイム運行情報」(東急/東日本旅客鉄道/東京地下鉄)、「渋谷スクランブル交差点ライブ映像」(シブヤテレビジョン)、「渋谷に関するニュース」(シブヤ経済新聞)、「渋谷駅周辺の人流情報」(渋谷再開発協会)、「渋谷の天気」(日本気象)、「渋谷の写真」(東急)の「渋谷のデータ」をビジュアライズした映像を、巨大なLEDディスプレーで表現。目の前に広がる渋谷の眺望と融合し、渋谷の今を「データの景色」として映し出す。「データ×渋谷×テクノロジー」を掛け合わせた、まさに「ライゾマらしい」メディアアートといえそうだ。

カフェ&バー「Paradise Lounge」

 展望ギャラリーの先には、46階から渋谷ストリーム、恵比寿方面を望めるカフェ&バー「Paradise Lounge(パラダイスラウンジ)」がある。レッドとホワイトを基調としたインテリアデザインは、世界的に有名なデザイナーのトム・ディクソンさんが担当し、渋谷の街やスクランブル交差点をイメージした空間づくりを行ったという。カウンタースペースでは軽食やスイーツ、コーヒー、アルコールなどのメニューを提供。

 ラウンジに流れるBGMはFPM(Fantastic Plastic Machine)の田中知之さんがセレクトするほか、カウンター内にはDJブースも用意。今後、音楽イベントやパーティーなどの利用もありそうだ。

旅の思い出を買うなら、ここでしか買えない限定品を

 カフェ&バーを過ぎると、渋谷スカイの締めくくり。渋谷ならではの土産やグッズがそろう「SHIBUYA SKY SOUVENIR SHOP(渋谷スカイスーベニアショップ)」へ行き着く。

 「日本」「東京」「渋谷」のカルチャーとライフスタイルが体感できる土産がそろう。

「渋谷プティシーガル」(ヨックモック)

「渋スク」オリジナルパッケージの「バームクーヘントゥルム」(ユーハイム)

渋谷区観光協会公認土産の「ハチチョコ」

 渋谷の街をパッケージデザインに採用した「渋谷プティシーガル」(ヨックモック)や、渋スクをデザインした「SHIBUYA SKYフールセック」(コロンバン)、「バームクーヘントゥルム」(ユーハイム)、忠犬ハチ公像を模った「ハチチョコ」など、渋スク限定や渋谷ならではの菓子やオリジナル商品が多数並ぶ量販店などで土産を手にするのであれば、渋谷スカイでしか買えないものも狙い目だ。

渋スクならではのフォトサービスも

 スーベニアショップの店の前には、渋スクを背景にトリックアートが撮影できるフォトスポットも開設。撮影料は1,500円。旅の記念に家族や友人たちとワイワイ撮影するのも楽しい思い出になるだろう。プリントした写真は1階下った45階のスーベニアショップで受け取れる。

 気になる入場チケットの料金は、公式サイトでの事前予約の場合、大人(18歳以上)=1,800円(当日券2,000円)、中学生・高校生=1,400円(当日券1,600円)、小学生=900円(当日券1,000円)、幼児(3歳~5歳)=500円(当日券600円)、3歳未満無料。開業日の11月1日~30日の1カ月間は、サイトからの予約受付のみで、当日券は12月1日以降、窓口で販売を始める予定。

「渋谷スクランブル交差点」から「渋スク」を見上げる

 ウェブでの予約は朝10時から20分単位で日時指定となっているが、展望施設内の滞在時間に制限はない。時間制限なくゆっくりと過ごせるのはうれしい。渋谷をホームグラウンドしている人にも、一度は体験してみてほしい。夕方日没前に入館し、西の方角に夕日が沈むのを眺めた後、サーチライトが点灯する夜景まで楽しみたいところだ。

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