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渋谷で故レオ・レオーニさん「絵本づくり展」 原画で技法・物語など紹介

原画でコラージュなどの技法を紹介する。「レオ・レーニの絵本づくり展」展示風景、ヒカリエホール、2025年

原画でコラージュなどの技法を紹介する。「レオ・レーニの絵本づくり展」展示風景、ヒカリエホール、2025年

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 絵本作家、故レオ・レオーニさんの絵本作りに焦点を当てる展覧会「レオ・レオーニの絵本づくり展」が7月5日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)9階のホール「ヒカリエホール」で始まる。主催はBunkamuraと朝日新聞社。

第2章で展示する「6わのからす」

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 同展は板橋区立美術館を皮切りに各地を巡回する「レオ・レオーニと仲間たち」展の絵本のセクションに焦点を当てた展覧会。オランダ・アムステルダム生まれのレオーニさんは、1930年代半ばから伊ミラノでグラフィックデザインの仕事を始め、1939年に渡米して以降アートディレクターとして活動。49歳の時に初の絵本「あおくんときいろちゃん」を出版して以降、年に1冊のペースで絵本を出版し、「スイミー」は日本でも小学校の教科書に作品が掲載されるなど広く知られる。

 第1章「レオーニのテクニック(技法)」では、さまざまな技法を使って絵本を制作したレオーニさんが「手仕事に込めた思い」を紹介。最も「頻繁に採用した」コラージュは、材料や道具を紹介する場面から物語が始まる「うさぎをつくろう」、ネズミたちの「モフモフした毛の感じ」を出すために手ちぎりした紙で胴体を表現していた「アレクサンダとぜんまいねずみ」などの原画で紹介。「マシューのゆめ」には新聞紙やクラフト紙を、「ペッツェッティーノ」ではレオーニさんがさまざまな色で塗って描いたモザイク柄の紙を使うなど素材も多岐にわたった。同じ形のスタンプの色や押す向きを変える「スタンピング」が使われた「あいうえおのき」、鉛筆・色鉛筆、油彩・水彩で描かれた原画なども並ぶ。

 スイミーの絵本原画は行方不明になっている。スロバキア国立美術館に5点が所蔵されている原画はあるが、絵本とは細部が異なっているという。場内では、1967年に同作が賞を受賞した際に制作されたと孫のアニー・レオーニさんが推察する「スイミーの習作」が並ぶ。

 絵本は絵柄と物語が一体となっていることから物語に焦点を当て、第2章では、レオーニさんが「伝えたかったメッセージ」をひもとく。世代など問わず「誰でもコミットできる」作品として、話し合いの大切さなどを描いた「6わのからす」の原画を展示する。

 最終章「レオレオリウム!」は、アートユニット「plaplax」が手がけた同展オリジナルの体験型コンテンツを展開。フロア中央の「空想の庭」は、円形スクリーンに囲まれた空間。内部にはレオーニさんの家を中心にアトリエ、海の風景などで構成するジオラマを置き、スクリーンには、レオーニさんの作品に登場するネズミのキャラクターを見比べられる映像など4作品を投影する。

 「スイミー・スクロール!」は、スイミーのイラストをプリントした全長40メートルのスクリーンに光などを投影し、「海底に降り立ったような視点で」作品を体感できるようにした。フロッタージュ(型押し)を体験できるエリアでは、場内に用意する魚やキノコなどをかたどった紙に畳や石などの素材で模様を付けることができる。

 レオーニさんの孫のアニー・レオーニさんは、「全ての絵本の主人公はレオ自身」と語っているといい、オランダ・ベルギー・イタリアなどを転々としながら育つ中で「体験したこと」が反映されているとも言われる。キュレーターの岡田由里さんは「子どもの時と大人になって読むのでは違う受け取り方ができるのが、レオーニさんの絵本のすごいところ。教訓とまでは言えないが、エールになる感じがする。(大人が読んでも)自分事として感じることもできるのでは」と話す。

 開催時間は10時~19時。7月24日は休館。入場料は、7月鑑賞券=一般1,800円、大学・高校生1,200円、中学・小学生900円、8月鑑賞券=同2,400円、大学・高校生1,700円、中学・小学生1,300円ほか。8月27日まで。

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