
渋谷区職員と、NTT東日本東京南支店、東京電力パワーグリッド渋谷支社の社員が6月13日、渋谷駅周辺の電話ボックスなどの落書きを消去する活動を行った。
渋谷区と両者は今月2日、これまで協定を結んでいた電柱だけでなく、それ以外の電話ボックスなども新たに含む「電柱等の落書き消去に係る協定」を締結。今回はそれに伴う落書き消去活動となった。渋谷駅周辺を中心に落書きが多く存在する区では2021年度に「落書き対策プロジェクト」を立ち上げ、啓発用ポスターや落書き対策用防犯カメラ、電話やオンラインでの情報収集などで落書き対策に当たってきた条例では落書き対象物の所有者らに原状回復の管理義務を課しているが、所有者側が費用を負担することなどから、思うように進んでいない。
この日は両者の社員、渋谷区職員計約35人が参加。渋谷~恵比寿方面を結ぶ明治通り沿いに設置されている、電気を高圧から低圧に変換したり、電気の流れを変えたりするための装置「地上機器」や電話ボックスに加え、東京都が管理する歩道橋、郵便局の郵便ポストも事前に許可を取り、シールを剥はがしたり、落書きを消したりする作業をした。
NTT東日本東京南支店長の米沢忠大さんは「電柱や電話ボックスは、地域の土地を借りて置かせていただいているという心持ちで、設備を管理している。かねて積極的にやるべきだと思っていたので、お声がけいただきありがたくうれしく感じている。点検で気になることなどはやってきたが社員自ら積極的に参加型でできる」と協定の意義を捉え、「作業中に通りすがりの方に『ご苦労さま』『ありがとう」などの声をかけられ素直にうれしかった」と振り返る。
東京電力パワーグリッド渋谷支社はかねて落書きなどの対策に取り組んでおり、地上機器の表面を凹凸にすることでポスターを張りにくくし、公園通りなど区内一部には区の花であるハナショウブをスプレーでデザインするなど抑止を図っている。この日も、自前の工具なども持ち込んでいたが、メーカーと相談しながら工具のパーツをカスタマイズしたり複数のスプレーを試したり、効率化を図っているという。
支社副支社長の小林宏至さんは「かなり消すのが大変だった」と振り返り、「公共物なので、落書きなどはせず大切にしてもらえたら」と話す。
同プロジェクトでは本年度から、渋谷の一時避難場所を、矢印を含むアートで指し示す「シブヤ・アロープロジェクト」を活用し、落書きされないよう「予防」にも注力する。第1弾として、千駄ヶ谷駅近くの「八幡前ガード」に7月5日・6日にアートを描く予定。
これまでプロジェクトでは、区職員や、連携する一般社団法人「CLEAN & ART.」による落書きの消去活動もしてきた。昨年度からは「セカンドステージ」として、地域の関係者との連携を強化。所有者との間で迅速に対応するため、今回活動に参加した両者や、JR東日本、自販機を扱うアサヒ飲料、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパンなどと落書き消去に関する連携協定をそれぞれ締結。落書きを消す人員を増やすため、昨年7月には「らくがき消去サポーター事業(らくサポ)」も立ち上げた。
電柱に関しては、これまでに40本以上の消去活動を行ってきたという。