欧州最大級の経営コンサルティングファームであるローランド・ベルガー日本法人(グローバル本社:ドイツ・ミュンヘン、日本法人代表:大橋譲、以下、ローランド・ベルガー)は、2040年に向けた地域医療構想[1]に伴い、ヘルスケア事業者が直面する顧客構造変化と、それに対応する事業機会を整理したレポート「地域医療構想と民間ヘルスケア事業者の勝ち筋」を公開いたしました。
厚生労働省が発出した「地域医療構想策定ガイドライン[2]」により、2040年に向けた地域医療提供体制の再構築が本格化しています。例えば、併せて公表された「2040年の病床数の必要量の機械的試算」では、急性期病床が50.0万床から24.0万床へ半減する一方、高齢者救急などを受け入れる包括期病床は大幅に増加する姿が示されていますが、これは、ヘルスケア事業者にとって、従来通りの営業体制では従来通りの売り上げが立たなくなることを意味します。優れた製品やサービスを医療機関や患者に、最適な価格で提供し続けるためには、自社の営業モデルの再設計が不可欠です。
この政策的指針に伴い、医療現場では4つの大きな構造変化が起きつつあります。第一に「急性期機能の集約」により、高度医療機器等の販売先が地域内のごく少数の拠点病院に集中します。第二に「病院機能の転換」が進み、これまで急性期を担っていた多くの病院が高齢者救急や在宅復帰支援へと舵を切ります。第三に「経営統合・広域連携」が進み、個別の病院内ではなく法人本部や複数病院の集約組織へ決裁権限が移行しています。第四に「外来・在宅・介護連携の強化」により、地域全体を一つの単位として捉える動きが広がっています。

本レポートでは、こうした構造変化を踏まえ、ヘルスケア事業者(医療機器・製薬・デジタルソリューションメーカー等)の営業モデル再設計の方向性に加え、急性期拠点病院向けの一貫型ソリューション、機器の圏域内シェアリングと遠隔診療、共同購買を契機としたSKU適正化、医療ツーリズム参入の統合パッケージ、包括期病棟の省人化DX、介護のロールアップなど、今後拡大が期待される事業機会を整理しています。特に、医療機関の再編方針が形作られる2026年10月の医療機関機能報告から2028年度末までの協議期間は、将来の市場構造を見据えた戦略転換を進める重要なタイミングとなります。
ヘルスケアチームのパートナーである徳本直紀は、次のように述べています。
「地域医療構想の進展により、病院の機能分化や経営統合が進み、ヘルスケア事業者の重点顧客や意思決定者は大きく変化します。構想が確定した時点では、主要な意思決定はすでに終わっています。制度確定を待たず、顧客ポートフォリオの見直しと営業モデルの再設計に着手することが、事業者の勝ち筋となります。」
最新レポート「地域医療構想と民間ヘルスケア事業者の勝ち筋」は、ウェブサイトよりダウンロードしてご覧いただけます。
[1] 2040年に向けた地域医療構想|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850_00014.html
[2] 地域医療構想策定ガイドライン:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001718620.pdf
*本稿の問題意識および構成の検討は、北脇優子氏の実務的知見に多面的に依拠しています。