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金王八幡宮でイマーシブオペラ 演者を追って境内を移動しながら没入鑑賞

金王八幡宮の参道でのシーン

金王八幡宮の参道でのシーン

 イタリアオペラと歌舞伎を融合させたイマーシブ(没入型)オペラ「KABUKI×パリアッチ」が3月7日・8日、金王八幡宮(渋谷区渋谷3)の境内で上演された。

観客の目前で繰り広げられる参道でのシーン

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 主催は、米系金融機関で日本人女性初のパートナーとなった長谷川留美子さんが代表を務めるモアザンミュージカル一般社団法人(港区)。従来の劇場空間ではないロケーションで「物語が本当にそこで起きているかのような」体験型のオペラを展開する「イマーシブオペラ」は昨年3月に九段ハウス(千代田区)で始めて上演された「椿姫」に次ぐもの。

 イタリアオペラの名作「パリアッチ(道化師)」と歌舞伎の代表作「助六」を融合させた同作。観客は固定の客席に座るスタイルと異なり、演者を追って境内各所の舞台空間を移動しながら物語が進行。観客もドラマの一部なれるような没入感を演出した。

 時は江戸時代。助六は幼き頃に実父を殺され母も早くに亡くしたが、臣下の養父に育てられた。その養父も、主君から預かっていた名刀「友切丸」を何者かに奪われた咎(とが)で切腹を命じられる。「わしの仇(あだ)を討ってくれ」という養父の遺言を胸に、名刀を隠し持つ移動芝居の一座を探り当てた助六は、女形の相手役として、カニオが座頭を務める一座に潜り込み、積年の恨みを果たすことだけを胸に、旅役者として日々を送っていた。カニオの妻・ネッダや、その恋人・シルヴィオ、ネッダに横恋慕するトニオなどの思惑が絡み合う中、助六は友切丸を取り戻し、仇討ちの機会をうかがう。

 出演は、日本を代表するテノール歌手の一人・樋口達哉さん(カニオ・意休役)、ソプラノ歌手・高野百合絵さん(ネッダ・揚巻役)ら。劇中劇の歌舞伎パートには、カブキカフェナゴヤ座の名古屋山三郎さん(助六役)を迎えた。

 初日の7日は境内に海外から訪れた観客を含め150人が神楽殿前の特設席に集まった。13時になると、境内の神楽殿に拍子木を手にした助六の口上で幕が開いた。その後、演者は舞台を下りて、拝殿前の空間に移動。神楽殿前に座っていた観客も同時に立ち上がり、拝殿の方へ向きを変えて鑑賞する中、拝殿前の階段を上がった場所をステージに見立て、ストーリーは進行。ここでは主に、カニオとネッダのやり取りが繰り広げられる。さらに2人は、石畳の参道をステージに、神門や手水(ちょうず)舎なども生かしながら、参道の両側から見守る観客の目の前で迫力あるオペラを繰り広げた。その後、神楽殿での劇中劇を経て、再度、参道がステージに。助六が仇討ちを果たすクライマックスのシーンを、観客は固唾(かたず)をのんで見守った。終演後に神楽殿で行われたカーテンカールでは、観客から大きな拍手と「ブラボー」などの大きなかけ声が送られた。

 長谷川さんは「自然光の下、金王八幡宮で実際に起きている物語のように伝えることが本公演の狙い。神社を訪れた際、イタリアオペラ『パリアッチ』の旅芸人一座が歌舞伎の一座となってこの神社に現れ、神楽殿で芝居をする情景が浮かんだ。オペラと歌舞伎、江戸と現代を行き来する物語を通して、垣根を越えて人の心に響く舞台体験を届けられたらうれしい」と話す。

 モアザンミュージカルの次回公演は、天王洲アイルで初となる水上オペラ「リトルマーメイド」を予定している。

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