渋谷駅周辺の落書き問題の解決を図るアートプロジェクト「TYPELESS(タイプレス)」の第3弾作品が2月25日、渋谷マークシティ(渋谷区道玄坂1)と旧東急東横店・西館を2階レベルでつなぐ渋谷マークシティ神宮通り上空通路の橋脚部分に掲出された。主催は、渋谷駅前の公共空間を盛り上げる活動を行う渋谷駅前エリアマネジメントと、アートプロジェクト企業「Embedded Blue」(品川区)。
同プロジェクトは、渋谷駅周辺の落書きやステッカーなどの景観問題をアートの力で解決することや、「100年に一度」といわれる大規模再開発が進む駅周辺で再開発中から「歩いて楽しい街をつくる」こと、来街者が多い街なかでアーティストが挑戦できる発表の場をつくることを目的に、2023年にスタートした。
同年3月に同所で第1弾作品を掲出。昨年2月には第2弾として、ハチ公前広場にある東急・東京メトロ渋谷駅A8出入口の壁面などに作品を掲出した。実際に落書きやシールが貼られるケースは少なくなっているという。今回は、経年劣化に伴い第1弾作品と入れ替える形で掲出した。
作品を手がけるアーティストは公募で選出。第1弾は4人、第2弾は12人と回を重ねるごとに増え、第3弾となる今回は78人から応募があった。その中から、公共性や地域住民の人、アートを知っている人知らない人など、「誰が見ても文句がない」ようなアーティスト・作品を選んだ。作品のサイズは柱によって異なり、縦4メートル~6.6メートル。ポリエステルクロスに作品をプリントし、柱に巻き付けている。
「Chill(チル)=心地よさや気持ちよさ」をテーマに制作する片山穣さんは、「何かしら良い影響を与えられるようにしたい」との思いから、ろうけつ染めで渋谷駅前スクランブル交差点から「SHIBUYA109渋谷店」方向を望む風景を描いた。
Marino Funahashiさんの作品は、見下ろした渋谷の風景をトレースし、その上から色を重ねた油彩画。多様な人が集う渋谷の「共存と調和の街」「カラフル」といったイメージを、色彩と質感に置き換えて表現した。
八木宇気さんは、メランコリック(憂鬱)と笑いや喜びといった感情を共存させる作品を手がける。渋谷で働いていた頃、「同じ道を歩いていても感情は日によってさまざまだった」という自身の経験から、「ポジティブなときもネガティブなときもあるからこそ、自分自身を魅力的だと思えるように」との思いを込めた。
三澤亮介さんは、掲出場所の天井が暗いことに着目し、「明るくなり、人が立ち止まって同じ時間を共有し、対話が生まれたら」と考えたという。「渋谷の多様性や包括性を投影したグラデーションで、各人の原風景となるような空」をイメージした作品に仕上げた。