
渋谷区は10月2日、月末に迫るハロウィーンの対策を発表した。多くの人が訪れ、一部の来街者らによる犯罪・迷惑行為などが社会問題にもなっており、今年も「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」というメッセージを掲げ、注意喚起や警備などに力を入れる。
例年対策を行っている渋谷区によると、昨年渋谷センター街の路上にいた来街者は最も多かった22時ごろで約1万8000人。コロナ禍前の2019年のピーク時の約4万人、前年のピーク時の約2万3000人より減少したという。条例による通年での路上飲酒の禁止に加え、駅周辺のコンビニなどに対して酒類販売自粛を依頼をしていることから、路上飲酒による「危ない雰囲気はだいぶ押さえ込まれた」と分析。
長谷部健渋谷区長は、続けてきた対策が「知れ渡ってきている」と、手応えを見せ、今年は昨年並みの来街を想定しつつも、「楽観視はしていない」と気を引き締める。「減る前提ではなく、昨年以上の方が来街しても対応できるように」と、対策を続ける。
毎年「変化し続けている」状況のなか、今年のメッセージは「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」。長谷部区長は迷惑行為の例として路上飲酒、滞留、喫煙、ゴミのポイ捨て、トイレ問題、騒音などを挙げ、「『迷惑なハロウィーン』が何かを、来街者の皆さんにも考えてほしい」と訴える。
区内では、親子を中心とした仮装パレードを行っている表参道をはじめ、商店街などが主催する子ども向けの企画、商業施設・クラブなど屋内での企画など、「ルールの範囲内で楽しんでいる人もいる」とし、「ハロウィーン自体は否定しない。良いハロウィーンと悪いハロウィーンを分けて訴えることで、良いハロウィーンが広がれば」と期待を込めた。
今年はハロウィーン当日の31日が金曜であることから、同日に来街者が集中すると予測。当日19時~翌5時には、ハチ公前広場など約10カ所に監視台を設置。民間の警備員125人を導入し、警察などとも連携しながら滞留の抑制を図る。区の職員は31日(19時~翌5時)を中心に、25日(19時~23時)、30日(19時~21時)の3日間で延べ約90人を導入。路上飲酒・喫煙・販売、客引きなどのマナー啓発を行う。
路上飲酒規制時間は18時~翌5時で、同時間帯は31日、路上飲酒禁止エリア付近のコンビニや百貨店、小売り店など酒類販売事業者58店舗に酒類販売の自粛依頼をしている。31日(早朝)~11月1日(早朝)には、渋谷駅前・宮益坂下・渋谷駅旧モヤイ像の喫煙所は閉鎖する。
31日(夕方)~11月1日(早朝)には、駅周辺を中心に警察が交通規制を行う。宮益坂下~渋谷駅前スクランブル交差点の道路はおおむね16時から警備終了まで車両通行止めを行う。混雑状況に応じて、公共交通機関の出入り口・歩行者同行などが変わる可能性もある。30日(6時ごろ)~11月1日(17時ごろ)には、人流整備や銅像の保護を目的に忠犬ハチ公像周辺に仮囲いを設置。ハチ公像を鑑賞もできないように完全に封鎖する。
サービスが拡大している電動マイクロモビリティーのシェアリングサービス「LUUP」ポートは、渋谷駅周辺15カ所を30日(17時)~11月1日(5時)は貸し出し・返却場所に選べないようにする。同様のサービスを展開する他ブランドへの対応なども検討していく。
ごみ対策として、宇田川町交番前(25日・30日・31日)・ハチ公広場前・グランド東京渋谷ビル前(以上31日)に、ごみ収集場を設置。ボランティアによる清掃なども予定している。仮設トイレや着替え場所などは設置しない。
今月16日~11月1日(場所によって時期は異なる)には渋谷駅前の憲章ボードや、センター街・公園通り・道玄坂・中央街の街路灯にメッセージフラッグを掲出。街頭ビジョンではポスターや動画を掲出・上映し周知を図る。
オーバーツーリズムによる「課題」も大きい。昨年仮装姿で来街した人は「肌感覚で」8~9割程度が外国人観光客だったと言い、その仮装も「本格的」になってきているという。その姿を写真撮る人たちの姿が見られた。
これまでSNSや街なかに掲出するポスターを多言語化し、昨年は日本外国特派員協会で会見も行った。周知の「難しさは感じている」なか、今年は外国人記者クラブと連携して街を紹介するメディアツアーを実施し、渋谷の多様な面を紹介。啓発ポスターなどの言語は英語・中国語・韓国語も用意する。
長谷部区長は「ハロウィーンやカウントダウンなど、特定の場所・時間に人が集中するケースを除けば、いつでも来訪を歓迎している。特にハロウィーンではルールを守り安全に楽しむことをお願いしている。例え路上で仮装して写真を撮るだけ、ごみを少し残すだけでも、多くの人が同じ行動を取ることで、人の滞留が発生して事故につながる可能性や、街がごみだらけになることを意識してほしい」と呼びかけた。
関連プロジェクトとして例年同様、仮想空間「バーチャル渋谷」「バーチャル宮下公園」「FORTNITE渋谷」「Roblox」で、ハロウィーンに合わせたイベントを展開すをる。
ハロウィーン対策の予算は、昨年約7,557万円。今年は、31日の一日を中心に行うことから6,800万円を計上している。内訳は、駅周辺安全対策=土木部企画管理課約5,200万円、ごみ対策=環境整備課200万円、フラッグ・憲章ボード=産業観光課1,400万円。