
メディアアーティストのシモヒロヤス(志茂浩和)さんの個展「PARALLEL NIPPON」が8月27日から、恵比寿の「日仏会館ギャラリー」(渋谷区恵比寿3)で開催される。
2018(平成30)年の「六本木アートナイト」に出品した「挟まる人」
シモさんは1960(昭和35)年大阪生まれ、東京在住。1997(平成9)年にサルバドール・ダリの絵画世界をゲーム化した「incarnatia」を発表。以降、プライベートアニメーション制作に取り組む。2007(平成19)年の芸術祭「神戸ビエンナーレ」以降は映像インスタレーション作品を制作。「日本文化の発展的継承」を基本テーマにしながら、特撮映像の影響を反映した作品で、観客に「現代を俯瞰(ふかん)する視点」の提供を試みている。
同展は「現代日本は、あるべき日本の姿なのか」という仮定から、「1960(昭和35)年に分岐し、いまだ昭和が続くもう一つの日本」を表現。「天才物理学者が『意識を解明した』」ことから始まる歴史を、架空の出版社「弁天舎」の視点から、生成AI(人工知能)や映像を駆使して「捏造(ねつぞう)」する。
実在するかのように見える映像作品「弁天様」は、2020年に公開した作品をアップデートして展示。本に挟まる人の映像作品「本に挟まる人」、中身のない表紙だけの本「未完文庫」全巻など、300以上の作品を展示。会期中はシモさんが全日在廊し、作品に関する講義やトークショーを行う。
シモさんは「虚構が真実を先行する、うそから出た実というアートのかたち。現実の世界が無意味化している中で、それでも存在する世界とは。自分にとっての日本を再考する展覧会になると思う。遊び心と難解さ、その狭間をゆく現代メディアアート」などとコメントを寄せる。
開催時間は11時~20時。入場料は500円(2回目以降は無料)、未就学児無料。9月7日まで。