
Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)とアルルバルク東京(同、A東京)のダービー戦が5月4日に行われ、A東京が57‐75で勝利した。
11得点7リバウンドなどで貢献したSR渋谷のジョシュ・ホーキンソン選手
昨年10月に開幕したB1リーグのレギュラーシーズン最終戦となったこの日。渋谷区を拠点にするクラブ同士のダービー戦ということもあり、来場した4102人はSR渋谷=黄色、A東京=赤色とそれぞれのチームカラーで二分されたが、SR渋谷のベンドラメ選手は「より雰囲気も面白くなると感じた」と触れた。
ベンドラメ選手の好守から先制したSR渋谷は、アンソニー・クレモンズ選手を起点にジョシュ・ホーキンソン選手やケビン・ジョーンズ選手が得点を挙げる。A東京はセバスチャン・サイズ選手とライアン・ロシター選手がゴール下で強さを見せるなどして得点を引っ張った。
11-13とA東京リードで迎えた第2クオーター(Q)は、この日誕生日のSR渋谷・阿部諒選手が積極的にアタック。ホーキンソン選手のシュートブロックなど好守が散見し、速い展開から連続得点を挙げるなどして一時6点のリードを奪う。A東京も負けじと速い展開から福澤晃平選手が3ポイント(P)シュートを連続で決めたほか、リバウンドでつないだボールをテーブス海選手がブザービーターで決め24‐34で前半を折り返す。
後半立ち上がりはベンドラメ選手とテーブス選手、小島元基選手(SR渋谷)と安藤周人(A東京)が3Pシュートを、トロイ・マーフィージュニア選手(SR渋谷)とサイズ選手がダンクをそれぞれ決め合ったほか、大倉颯太選手(A東京)がボールを奪う好守を見せれば、阿部選手も好守から速攻を決めるなど互いに攻防を見せた。その中で11本のシュートを全て決めたA東京が44‐60とリードを広げた。
最終Q序盤、A東京がファウルやミスなどで得点が停滞する間に、SR渋谷はリバウンドからの得点などでSR渋谷は8点差まで詰め寄る。それでもA東京は終盤に守備の強度を上げると共に、スクリーンを使った連係プレーなどから得点を重ね追い上げを許さず、勝利を収めた。終盤自ら仲間を集めて円陣を組んだり、交代でコートに立つ村越圭祐に声をかけたホーキンソン選手は、「一つになって最後まで戦い抜くことの大切さを見せたかったし、出場機会に恵まれなかったムラコの背中を押したいとアドバイスしていた」とその意図を明かした。
A東京のデイニアス・アドマイティスヘッドコーチ(HC)は「フィジカルで良かった」と守備面を評価すると同時に、65%を超えたフィードゴール(2点と3点のシュート)の確率については「良い形で入ったが、継続することが大事」と触れた。
3Pシュートを3本決めたテーブス選手。後半の2本については「スクリーンからのスリーが入らないと、トップでのスクリーンが多いからこそ永遠にミドルのシュートが生まれる流れになる。ちょっとでも確率を上げて、インサイドが生きることが理想なので、今シーズンずっと意識していた。ここ2週間くらいでシュートタッチも良くなってきているので、入ればオフェンスが変わるのかな」と手ごたえをうかがわせた。
「ファイトする姿勢は素晴らしかったが、ホーム最終戦でファンに法理を届けられなかったことは本当に残念」と肩を落としたSR渋谷カイル・ベイリーHC。4月16日にHCに就任し8試合を率いたが、「コンタクトのある練習ができたのは1回だけで、すごく難しいシチュエーションだったがスタッフ・選手が支えてくれたことに感謝したい」と振り返った。
「勝って終わりたかった」と悔しさをにじませたベンドラメ選手。高い運動量やアグレッシブさを見せたが、「多少無理なシュートやギャンブルな飛びつきもあったと思うが、消極的になりたくなくて、積極的に攻める・リバウンドに飛びつくことなどを改めてやっていこうという気持ちがあった。もう一回自分で積極性を見つけたいと思ってプレーした」と言う。
SR渋谷は30勝30敗でシーズンを終え2季連続でチャンピオンシップ(CS)進出を逃したが、「連勝する難しさを感じたシーズンだった。1戦目勝利しても、2戦目で足が止まったり相手の気持ちに受け身になったり、そういうことが多かった。悔しい結果になったが全員タフに戦い出し切った結果じゃないかな」と振り返り、ホーキンソン選手は「勝つか負けるか、これがプロの世界だ。僕らは勝とうとしているが、良い選手がいて良いチームなのにうまくいかないのは辛い。皆を同じように使って勝利につなげる方法を見つけるのに苦労した」と続けた。
ダービー戦についてベンドラメ選手は「観客の気合の入り方も違うと思うし、選手も少し意識する部分もあるのでは。日本の中心にあるチームとして、(リーグを)代表してバスケットを盛り上げることができたらうれしいし、今後も楽しみたいと思えた」と話した。連勝でレギュラーシーズンを終えたことについて大倉選手は「ダービーということもあるが、渋谷も難しい状況の中でプライドを感じたし、気持ちのぶつかり合いもありシーズン最後の試合ではなかった。勝ってCSに行けるのは良かった」と触れた。
A東京は今月10日からCSを戦う。