Bリーグ・アルバルク東京(以下、A東京)が11月8日、国立代々木競技場第二体育館(渋谷区神南2)で茨城ロボッツ(以下、茨城)と対戦し79-60で勝利した。
「一番大事であった集中力とメンタル的に戦う準備ができているかということを証明できた」(デイニアス・アドマイティスヘッドコーチ(HC))立ち上がりは、シュートブロックやリバウンドから走るなどして9-0とリードを奪う。第1クオーター(Q)後半の連続失点もあり19-15で迎えた第2Q。「(A東京は)選手がそろっていていろいろな方法で得点してくるので、選択肢を減らしたい」と茨城はゾーンディフェンスを多用。
対するA東京は、「1対1やミスから得点をされるとゾーンをしっかりセットされ、状況判断が良くなくて早打ちになるなど、少し慌ててしまう悪い連鎖になった。オフェンスが全体的にスローダウンしてしまった」(アドマイティスHC)と一時2点差まで詰め寄られるが、茨城の攻撃を制限時間いっぱい守るなど逆転は許さず38-32で前半を折り返した。
「セットされる前に速攻でどんどん走って得点すること」をゾーンの「攻略法」として挙げたなか、後半序盤は小酒部泰暉選手のミスを誘うアグレッシブな守備やセバスチャン・サイズ選手のパスカットなど好守から得点につなげる。さらに、前日妻が誕生日で、会場に応援に駆け付けていたこともあり「シュートを決めなければと思っていた」と言うザック・バランスキー選手が3連続で3ポイント(P)シュートを沈め65-41と点差を広げることに成功。最終Qも流れを引き渡すことなく連勝を8に伸ばした。
A東京が同体育館で試合をするのはBリーグ初年度の2016-17シーズン以来。当時を知る唯一の選手となったバランスキー選手は「懐かしさもあり、でもまた新しいアルバルクの良い雰囲気を作れる体育館だと感じた」と話した。
5季在籍した古巣との対戦となった福澤晃平選手は、「ローテーションの中での計算」(アドマイティスHC)ではあったが今季最長となる約10分出場した。「不思議な感じはあったが、負けたくなかったので勝てたのは良かった。でも個人的には何もできていない、むしろマイナスの部分が多かった」と振り返った。
3Pなどシュートを得意とし、これまではシューティングガードとしてのプレーが中心だったが、A東京ではポイントガード(PG)としての役割がメインとなっている。「不安もあったが、PGをできないと多分今後リーグの中で生きていけないと思った。一度しかない人生なのでどんどんチャレンジしていきたい」と意欲的に取り組んでいる。この日は「たぶん公式戦でPGとしてちゃんとプレーしたのはプロキャリアで初めて」となった。アシストを2本記録したが「安定してプレーすることや、どのコールを使うかなどもベンチにいる時からもっと考えないといけない。今日のような感じだったら2度とチャンスはもらえないと思う」と自己評価。「課題を挙げたら無限に出てくるが諦めるは簡単。できるようになるのがすごい楽しみでもあるので死ぬ気で頑張らなきゃいけない」と力を込めた。
A東京は11月の児童虐待防止推進月間(オレンジリボン)に合わせて啓発活動に取り組んでおり、1児の父である福澤選手は今月、オレンジ色が入ったシューズを履いてプレー。長男は間もなく9カ月になるが、「妻もそうだが、家に帰って顔を合わせると笑ってくれる。そういう日常の中でふっと笑ってくれるだけですごくうれしく幸せな気持ちになるし、夫・父親として頑張らなきゃいけないとも思う」と言い、「僕の周りでは経験したことはないが、(虐待が)実際にあるという事実を受け止めて、こういう取り組みを世の中の人に少しでも知ってもらうところから始まって、少しずつ虐待がなくなっていけば」と話した。