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渋谷ヒカリエなどで「超福祉展」 ゲル素材ハチ公像、難聴体験VRも

会場では触れたり体験したりできるコンテンツも用意する

会場では触れたり体験したりできるコンテンツも用意する

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 渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)8階の「8/」を中心に9月3日、「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」が始まった。主催はNPO法人ピープルデザイン研究所(千駄ヶ谷1)、渋谷区などが共催。

頭部などをゲル素材で作った忠犬ハチ公像

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 2020年までの時限イベントとなる同展は、展示や体験、シンポジウムなどを通じて、福祉に対するイメージや意識の転換を目指している。2014(平成26)年に始まり、今年で6回目を迎える。同法人の須藤シンジ代表理事は「2020年には渋谷という街が、ダイバーシティーが実現している街にしていきたいという思いで始めた」と振り返りつつ、「社会、ダイバーシティーの街を作るのは最終的には人だろう、というのが私たちの今年と来年に向けて放つ強いメッセージ。(今年は)次世代、子どもたち目線に振っている」と話す。

 場内では、遠隔育児支援ロボット「ChiCaRo(チカロ)」、磁石が入った積み木、肌のトーンや目の色、体形などが異なるバービー人形、難聴者の聞こえ方を体験できるVR、下肢装具をつけていても履ける「おしゃれ靴」などを紹介。

 日本マイクロソフトは触覚デバイスとヘッドセットを着け、音と触覚を頼りに仮想空間に隠された卵を探すゲームコンテンツ「触覚でエッグハント」を展開。「やわらかロボット」開発に取り組む山形大学は、鶴岡で発見された忠犬ハチ公像の試作品のデータから作ったハチ公像を展示。前足の一部と頭部をゲル素材で作り、センサーとカメラで来場者の感情を解析し、震えたり鳴いたりするようになっている。

 連日、障がい当事者たちが感じる社会障害の「攻略法」をディスカッションする「障害攻略会議」、渋谷ヒカリエの中を車いすに乗ったりアイマスクを付けたりして移動しながらモンスター(=不便な場所)を見つけるイベント「ふだんクエスト」、「未来のホスピス」をテーマに3種類の詩や安楽死について考えるアイデアソンなどを展開。シンポジウムでは、音声認識技術と多言語翻訳技術を使い発言内容をリアルタイムでモニターに翻訳・テキスト表示する「Live Talk」を導入する。

 期間中は区内各所でサテライト企画を展開。ハチ公前広場では7日、脳卒中経験者と医療職者が中心のパフォーマンス集団「STROKERS」のパフォーマンス、点字ブロックを活用して障がい者の移動を声で支援する「VIBLO(ヴィブロ)」の体験会などを実施。ベルエポック美容専門学校(千駄ヶ谷3)では8日、ブースやワークショップ、音楽ライブなどを展開する「ソーシャルワーク・ラボ」を開催。「アップル表参道」(神宮前4)では、「テキスト読み上げ」「ズーム」など視覚に障がいがある人がMacやiOSを操作するための方法を学ぶプログラムを実施。

 長谷部健渋谷区長は「今までの福祉を超えていこう、というのが超福祉。それは、テクノロジーを使って課題を解決していくことと交わってくことの2つがあると思っている。区は『違いを力に変える街』を基本構想に持っている。互いが違うということを認め合い交じり合って生まれてくる新しい価値をどんどんこの街から発信していきたい。多くの方に集まっていただき、共感の輪を広げて、未来を企む共感者を集めていけたら」と話す。

 開催時間は11時~20時。入場無料。今月9日まで。

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