表参道ヒルズ(渋谷区神宮前4)に11月11日、クリスマスツリーが登場した。
例年、本館吹き抜け大階段にツリーを設置している同館。2017(平成30)年から「アートの視点」を取り入れている。今年は、アーティストの松尾高弘さん率いるアートスタジオEMISSIONがデザインを担当。同スタジオは「光の結晶化」をコンセプトに、「プリズムアート」を手がけている。松尾さんは、2013(平成25)年の同館のクリスマスイルミネーションの映像制作などを手がけ、クリスマスツリーの制作は初めてとなる。
大階段に設置するのは、高さ約10メートルのツリー。「オーセンティックだけれど、技術を使いながら見たことがないモダンなツリー」を目指した。「光の集合体がツリーをかたどっている」イメージで制作したツリーは、独自に開発した板状の光学ポリカーボネート素材「Prism Ray」を手折りし、立体的にしたエレメント約1000個で構成。白の照明を当て、多面体が光を屈折・反射させることで空間全体を光で彩る。
ツリーには、松尾さんが開発した空間アート装置「Kinetic Light Vision(K.L.V)」を導入。ツリーを囲むように、ツリー上部にリングを設置。リングからは直径0.27ミリという細さのワイヤでアクリル球体48個をつるし、リング内のモーター制御で上下に駆動させる。各アクリル球体にはツリーの土台に内蔵するスポットライトを真下から垂直に照射することで、浮遊しているように見えるようになる。
K.L.Vは、大阪・関西万博の関西パビリオン・滋賀県ブースで初公開された演出システムで、万博以外で初の展示となる。リングは平和や調和などを表現する形であり、万博が開催された今年を象徴するモチーフとして採用。クリスマスを想起させる形をあえて使わないことで「温かさやエモーショナルな部分」を表現した。
点灯中は20分に1回、約3分間の特別演出(初回は11時20分~、最終は22時20分~)を行う。青やピンク、黄色などカラフルな照明を当てるとともに、K.LVはサウンドデザイナーの黑瀧節也さんが書き下ろした音楽にシンクロして動く。「ダンスをしているように生き生きした動きをして、人の温かさや生活している雰囲気」を表現したという。
初日の11日には点灯式が開かれ、俳優の橋本環奈さんが「ヴァレンティノ」のドレスを身にまとい登場。点灯ボタンを押し始まった特別演出には、「無心になって、ぼーっときれいだなぁと思いながら」(橋本さん)見入っており、「光の球体の動きがすごく幻想的ですてきだった」と目を輝かせた。表参道ヒルズにはペットグッズやゴルフウエアなどを買いに「よく来る」と言い、過去には館内で母親のクリスマスプレゼントとしてネックレスを購入したというエピソードも明かした。
橋本さんは「ホリデーシーズンになると心が躍るし、皆さんもわくわくしていると思う。私自身もイルミネーションとかキラキラしたものを見るのが大好き。表参道ヒルズの象徴的なすてきなクリスマスツリーを実際に間近に見てほしい」と呼びかけた。
点灯時間は11時~23時。12月25日まで。