
京都の日本茶専門店「一保堂茶舖」の新コンセプト旗艦店(港区南青山4)が8月29日、南青山の「根津美術館」向かいにオープンする。経営は一保堂茶舖(京都市中京区)。
1717年、近江商人の渡辺利兵衛が開いた「近江屋」に始まり、幕末に皇室宮家の一つ「山階宮」から「一保堂」の屋号を授けられた一保堂茶舖。京都に本店を構え、抹茶や玉露、煎茶、ほうじ茶・玄米茶などの番茶を中心に、お茶や茶器を販売。お茶のいれ方教室なども展開している。
都内では、新丸ビルや西武渋谷店をはじめとする百貨店内にも出店するが、店内に喫茶室を構える店舗は都内初となる。場所は、根津美術館と道を挟んで向かいのビルの2階。設計・デザインは建築事務所「Puddle(パドル)」(江東区)と共同で手がけた。「都会の中心で静かに茶葉と向き合うひととき」を軸に、茶葉が育つ山あいの茶畑などの「自然の営み」を空間に重ねるという。
店内中央の円形の下がり天井は「太陽」の隠喩で、喫茶室の窓には茶畑で日陰をつくる際に使う寒冷紗(しゃ)のカーテンをかける。床には、茶畑の「しっとりとしたふかふかの土壌」の感触に着想を得て、麻布に漆をかけた素材を敷く。売り場空間は、喫茶室の「地上」に対して「地中」をイメージし、落ち着いた空間に仕上げるという。
喫茶室では、お茶が「食卓とシームレスにつながる」ことをテーマに、菓子や、京都弁で「小腹がすいた時の軽食」を意味する「むしやしない」も提供。菓子との組み合わせをはじめ、食事の際に選ぶお茶やいれ方のヒントも、「実際に味わいながら体験できる」という。テイクアウトにも対応。
同店限定メニューとして、オープンを記念して作った抹茶「SEIZAN」や、ジャム・菓子研究家の田中博子さんによるジャムを添えた、パン店「パン屋塩見」(新宿区)のトースト、「だしいなり海木」のいなりずしとお茶のセットメニューなども用意する。
物販は、日常的に飲めるお茶や、ギフト向けの銘柄などを取りそろえるほか、道具類も販売。一保堂の茶畑をイメージしたグラフィックをあしらったグラスセットなども売り出す。店内では提案・参加型のイベントを随時開いていく予定。来年1月にはキッチン設備もそろえたスペース「Room Ippodo」を麹町にオープンする予定で、青山店との連携も計画する。
営業時間は10時~18時。月曜定休。