
累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および「人と組織の未来創り(R)」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所(R)は、3月25日~4月24日の期間で、2025年度新入社員 3,933人を対象に意識調査を行いました。本リリースでは、新入社員が内定企業からの支援をどのように捉え、入社に向けて準備をしていたか、内定期間にフォーカスした調査結果を公表いたします。
背景
来月10月1日は、多くの企業で2026年度の「内定式」が執り行われます。内定式を境に、各企業は内定者研修や交流会などを通じ、内定者との関わりを強化し始めます。しかし、内定承諾後も就職活動を続ける学生が一定数おり、より魅力的な企業から内定が出た場合は、承諾後辞退を選択するケースもあります。特に近年は売り手市場のため、1人当たりの内定獲得数が増加しており、内定辞退率も高まっているといわれています。企業は内定辞退を防止するため、どのような取り組みをすべきでしょうか。本リリースでは、12年間の調査の結果から、近年の内定者フォローや内定者の心境・取り組みについて調査・分析しました。
調査結果の概要
- 新入社員の入社理由、12年連続1位「志望業界だったから」。2023年の急増後、35%以上を維持(図1・2)
- 新入社員の入社時の気持ち、30.7%が「不安」と回答し、最大の割合(図3)
- 内定期間中、内定企業から受けたフォロー、「懇親会」が4年連続1位。2位の「研修」は3年連続増加(図4)
- 内定期間中、内定企業から受けたフォローのうち“最も良かった”と感じたフォロー、1位「懇親会」。2位は「アルバイト/インターン」。3位は「研修」で増加傾向(図5・6)
- 「内定企業での研修」経験者は、入社時の「期待」の割合高い。「事務連絡のみ」は「不安」の割合が最大(図7・8)
- 入社時点でスキルアップのために取り組んでいること、 2020年度を境に「何もしていない」が増加。「ビジネス本を読む」は急激に減少(図9)
調査結果の詳細
初めに、2025年度の新入社員に対し、今の会社に入社を決めた理由を質問しました。結果、「志望業界だったから」と回答した割合が37.2%と最も高くなりました。次に、「仕事内容が合っていたから」が20.3%、「社員が魅力的だったから」が13.6%と続きました(図1)。

新入社員に同じ質問をした結果を、2014年度から12年間比較したところ、「志望業界だったから」と回答する割合が2014年度から常にトップを維持しました。特に、2023年度に大幅上昇してから高止まりが続いています。
一方、「内定がもらえたから」の割合は2014年度では14.1%だったところ、徐々に減少し、2025年度では6.9%と1割を割る結果となりました(図2)。

志望業界に入社をした割合の高い今年の新入社員ですが、入社式を迎えたときにどのような気持ちだったのでしょうか。入社時の心境について質問した結果、「不安」と回答する割合が最も高く30.7%、次に「緊張」(22.4%)、「期待」(15.2%)と続きました(図3)。

入社時に「不安」の気持ちを抱く割合が高い新入社員ですが、内定期間中、会社からどのようなフォローを受けたのでしょうか。新入社員が内定期間に受けた会社からのフォローについて、2022年度から4年間、新入社員に同じ質問をした結果を比較しました。
結果、「入社予定の会社での懇親会」が4年間トップを維持しました。次に、「入社予定の会社で研修」と回答した割合が年々増加傾向にあり、2位を維持する結果となりました。
一方、「スマートフォン、タブレットなどで学習するアプリ」「PCで受講するe-learning」「課題図書の配布」「資格取得のためのプログラム」は減少傾向にあることがわかりました(図4)。

次に、内定期間中、会社から受けたフォローのうち、最も良かったフォローは何かを質問しました。
結果、「入社予定の会社での懇親会」のフォローを受けた新入社員のうち、73.9%が最も良かったと回答し、その割合は最大となりました。次に「アルバイト/インターンとしての勤務」(67.6%)、「入社予定の会社で研修」(57.0%)と続きました。社内の人と交流できるフォローに対する満足度が高いことがわかりました(図5)。

新入社員が内定期間中に受けた会社からのフォローのうち、最も良かったフォローについて、2022年度から4年間、新入社員に同じ質問をした結果を比較しました。
結果、「入社予定の会社での懇親会」は増加傾向にあり、今年は「アルバイト/インターンとしての勤務」を超え、過去最大の割合になりました。また、「入社予定の会社で研修」「スマートフォン、タブレットなどで学習するアプリ」「資格取得のためのプログラム」も増加傾向にありました(図6)。

内定期間中に会社から受けたフォローの内容と、入社時の心境には関係性があるのでしょうか。
ここからは、内定期間中に会社から受けたフォローのうち、最も良かったと回答した割合が高かった上位3つ(「入社予定の会社での懇親会」「アルバイト/インターンとしての勤務」「入社予定の会社で研修」)における、新入社員の入社時の心境を比較しました。
結果、回答に大きな差は見られないものの、「入社予定の会社での懇親会」を経験した新入社員は、他項目よりも「不安」の割合が高くなりました。また、「入社予定の会社で研修」を経験した新入社員は、他項目よりも「期待」の割合が高い結果となりました(図7)。

さらに、「事務連絡だけで何も受けていない」と回答した新入社員の入社時の心境も見てみました。結果、「不安」の割合が34.5%と、フォローを受けた層と比較して高い割合となりました。
一方、「期待」と回答した割合は、最も割合が高かった「アルバイト/インターンとしての勤務」を経験した新入社員の半分以下となりました(図8)。

最後に、入社時に社会人としてスキルアップするために取り組んでいることがあるか、2016年度から10年間、各年度の新入社員に質問した結果を比較しました。
結果、「特に何もしていない」が2020年度から増加傾向にあり、2025年度は32.3%で1位となりました。
一方、「ビジネス本を読んでいる」と回答した割合が、2020年度から減少の一途を辿っており、5年間で10ポイント以上のマイナスとなりました(図9)。
まとめ
新入社員の入社理由を質問したところ、「志望業界だったから」と回答する割合が12年間トップを維持する結果となりました。その割合は、特に2023年度に急増したのち、3割を超えた状態が続いています。「売り手市場」と言われる近年の新入社員が、入社先を選ぶ際の動機がうかがえました。
内定期間中に会社から受けたフォロー内容は、4年連続「懇親会」がトップ。また、「研修」の割合も年々増加していることがわかりました。内定期間中に会社から受けたフォローのうち、最も“良かった”と感じた会社からのフォロー内容は、「懇親会」がトップとなり、「研修」も3年連続で増加していました。
内定期間中に会社から受けたフォロー内容で回答者数が多かった上位3つの項目と、入社時の心境との関係性を調べたところ、共通して「不安」の割合が最も高かったものの、「入社予定の会社で研修」を受けた新入社員は「期待」の割合が高まることがわかりました。一方、「事務連絡だけで何も受けていない」と回答した新入社員は、「不安」と回答する割合が高い傾向が見られました。
最後に、社会人としてスキルアップするため、入社時点で取り組んでいることを質問しました。結果、「特に何もしていない」の割合が2020年度から増加傾向にあり、内定期間中の社会人になる準備が、自力では整えられていない実態がわかります。また、「ビジネス本を読んでいる」の割合は減少傾向にあり、読書離れの実態も垣間見られました。
考察 「内定期間に企業が取り組むべき4つのポイント」
新入社員が内定期間中に会社から受けたフォローのうち、“最も良かった”と感じたフォローは、1位「懇親会」、2位「アルバイト・インターンとしての勤務」、3位「入社予定の会社で研修」でした。これらのフォローを受けた新入社員は、入社時の心境について「不安」「緊張」「期待」と回答する割合が高く、特に「入社予定の会社で研修」を受けた新入社員が、「期待」と回答する割合が高くなりました。新入社員の受け入れをする際は、研修やその他のフォローを通して、企業の文化や業務内容の理解を促すこと、上司や同僚との人間関係を構築する機会を用意することなどが、入社前の期待感を高めることに寄与するでしょう。
一方、会社からのフォローについて「事務連絡だけで何も受けていない」と回答した新入社員は、入社時の心境について「不安」と回答する割合が、懇親会やアルバイト・インターンとしての勤務、入社予定の会社で研修を経験した新入社員の回答割合より高くなりました。会社からのフォローがなく、入社後のイメージが不明瞭なまま入社を迎えることが、不安な心境につながっていると推察できます。特に近年の内定者は、インターネットやSNSを通して、他社の内定後の状況をよく把握しています。周囲が手厚いフォローを受けている中、自身が同じようなフォローを受けられないことで、不安や不満がより高まるリスクを考慮すべきでしょう。
本調査では、社会人になるための準備が2020年度を境に低下傾向にあることもわかりました。その分、新入社員の入社後の活躍と早期離職防止の観点からも、企業側の支援の重要性が年々増しています。そこで、入社前に実現したい内定者の状態と、その状態を実現するために企業が取り組むべき4つのポイントをご紹介します。
【内定期間に実現したい内定者の状態】
1. 内定企業を「人を育ててくれる会社だ」と認識している
2. 学生と社会人の違いを事前に認識している(社会人になった際のリアリティーショックを緩和)
3. 入社後のイメージを具体的に形作り、入社への期待が高まっている
【内定期間に企業が取り組むべき4つのポイント】
1. 社会人に求められる最低限の知識・心構えを体系的に習得できる教育の提供
2. 内定者を飽きさせない、自発的・継続的な学びを促す仕組みづくり
3. 適時適切に不安を払拭できる環境づくり
4. 内定者と接する管理職・先輩の「対話力」「言語力」の強化
上記4つのポイントを実現するため、「職場訪問」「業務体験」「現場社員も参加する座談会」などを通じて、業務内容を理解したり、不安やわからないことを聞いたりできる場を設けるとよいでしょう。
<業界別の具体的な取り組み事例>
内定期間中の適切なフォローによって、新入社員が不安を解消し、期待を持って仕事に臨めるようになるでしょう。参考にしてみてください。
ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)
東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。
調査概要

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員が振り返る内定期間の取り組み調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り(R)」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。
《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞崎 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 328人(2025年4月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL
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▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用
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