Bunkamuraで「忘れえぬロシア」展-ロシア美術代表作品一堂に

イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」(1883年、油彩・キャンヴァス)©The State Tretyakov Gallery

イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」(1883年、油彩・キャンヴァス)©The State Tretyakov Gallery

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 ロシア「国立トレチャコフ美術館」が所蔵する19世紀半ばからのロシア美術作品を一堂に展示する大規模企画展「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」が4月4日より、渋谷「Bunkamuraザ・ミュージアム」(渋谷区道玄坂2、TEL 03-3477-9413)で開催される。

 19世紀半ば、モスクワの商人兄弟が自邸に開いた美術ギャラリーから始まった同館は、中世美術を含め約10万点の作品を所蔵。創始者トレチャコフは19世紀後半~20世紀初頭のロシア美術作品を熱心に収集し、同時代の傑作がそろう「ロシア美術の殿堂」としても知られる。

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 同展では、所蔵作品の中からロシア美術の代表的画家、レーピンやクラムスコイら38作家の作品を紹介。19世紀半ばからロシア革命までの生活風景や壮大な自然などを描いた作品をはじめ、トルストイ、ツルゲーネフら文豪の肖像画も交え、リアリズムから印象主義に至るロシア美術の流れを追う。

 展示作品75点のうち、50点以上は日本初公開。名画「忘れえぬ女(ひと)」(1883年)は、ロシア美術代表画家の一人、イワン・クラムスコイの代表作。描かれた「謎めく」女性像が印象的な同作は、当時画家や作家など多くの才能を輩出したロシア美術界の潮流を象徴。寒いロシアの街で無蓋(むがい)の馬車に乗る女性の表情を通じ、社会の真の姿を写実主義的な描写で表現しながらも繊細な美を描き出し、その後の印象主義への展開を示す歴史的にも重要な文化財となっている。

 同館所蔵のコレクションの中でも、とりわけ充実しているのが19世紀ロシア作家のリアリズム作品。実業家トレチャコフは、当時官立美術アカデミーの制約に抗議し結束したリアリズム美術の画家集団「移動展派(移動派)」の運動を支え、同集団の作品を大量に買い取った。

 集団がロシア各地で開いた巡廻美術展が本格始動する前の1860年代に活躍した画家の中でも、トレチャコフが特に注目したのが、パリに在住後民衆生活に迫る風俗画的作品を多く残したワシーリー・ペローフ。社会派リアリズム画家として「鳥追い」(1870年)など、日常にある名もない民衆の小さな喜びを描いた。

 風景画家のアレクセイ・サヴラーソフは、ロシアに広がるありふれた風景に着目。リアリズム画家の姿勢を貫きながら、祖国愛に訴える叙情性豊かな作品を送り出した。風景画では、ロマン主義的な感性で風景をとらえるアルヒープ・クインジや客観的な細密描写でロシアの身近な森を描いたイワン・シーシキンの作品も紹介する。

 クラムスコイ、シーシキンら移動展派第1世代に続き西欧を訪れた第2世代画家が活躍し始める1870年代以降は、西欧滞在で得た鮮やかな色彩や明るい色使いなど、ロシアの特異な社会風土の中でも印象主義的な作風を取り入れ変ぼうしていくロシア美術の潮流がうかがい知れる。イリヤ・レーピン、ワシーリー・ポレーノフら西欧に渡った画家を中心に、画家各々の個性が開花。雪や白樺などロシアならではのモチーフも多く描かれた。

 同展開催を記念し、会場では人気帽子ブランド「CA4LA」が「忘れえぬ女」をイメージしデザインした帽子を販売。地下1階「ドゥ マゴ パリ」は会期中ロシアをテーマにした限定メニューを提供。フードでは渋谷東急プラザ(道玄坂1)9階の老舗ロシア料理店「ロゴスキー」でも特別メニューを提供する。

 このほか、絵本作家たちもとみちこさんがロシアの民族衣装を着たクマのマトリョーシカをモチーフにデザインした「トレちゃん・チャコちゃん・コフちゃん」を同展オリジナルキャラクターに起用。初日の同4日には、先着100人に同キャラクターのクリアファイルを進呈する。

 開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで、入館は終了30分前まで)。入場料は一般(当日)=1,400円、大学・高校生=1,000円、中学・小学生=700円ほか。6月7日まで。

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