渋谷区の歴史や民俗などの資料を展示・保存している「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」(渋谷区東4)が大規模リニューアルのため、3月2日から約1年間にわたり休館する。
同館は、旧区議会議員の白根全忠から寄贈を受けた渋谷・東の敷地に1975(昭和50)年に開設された「渋谷区立白根記念郷土文化館」が前身。2005(平成17)年に全面改築し、新たに文学館を併設。歴史や民俗、考古学資料など地域にまつわる郷土資料と、ゆかりのある文学者の資料や書籍を収集・保管・展示し、古くは縄文土器をはじめ、昭和の街並みの模型、現代の渋谷についての資料などを通じて渋谷の魅力を発信してきた。
施設の老朽化に伴う不具合や、展示の大規模な更新が必要になるなどの課題に伴い、リニューアルを決めた。2024年にリニューアルの基本計画を策定し、公募型プロポーザルの結果、同年11月に2024年にトータルメディア開発研究所(千代田区)を事業者に選定。2026年度の区の予算で12億7,800万円を計上する。
リニューアルでは、電気などの設備を含め大規模な改修に着手。展示や施設機能も見直す。「博物館」機能に特化させ、地下2階にあった「文学館」は渋谷区文化総合センター大和田(桜丘町)内に、2027年4月以降移設する。
ファサードは、外壁の改修やガラス面を取り入れてオープンな装いに仕上げる。設備面では電気をLED化。双方向での体験や「短時間で濃密な」体験が求められている背景などから、「多様な視点を知ると探求したくなる」をコンセプトに掲げる。
フリースペースとなる1階「ウェルカムエリア」には、AIを活用した対話型のガイドシステムを搭載した忠犬・ハチがモチーフのオブジェを置く。同フロアの展示室では、リニューアル前と同様に企画展を展開。情報コーナーの機能は踏襲し、区の歴史に関する書籍やデータを閲覧できる場も設ける。
2階の常設展示エリアでは、近現代に関する展示と戦争に関する展示を充実させる。戦争に関する区画を設け、高齢化してきた戦争体験者のインタビュー映像を流し、当時の衣服なども展示する。
文学館だった地下2階には、イベントスペース「SHIBUYA SHOWCASE」を設ける。壁3面にビジョンを備え、没入感のある映像を流すほか、若者文化や再開発など近現代の渋谷の歴史に関する展示にも力を入れる。現在、体験教室や講座などに活用している地下1階は、より自由度が高く活用しやすい場にリニューアルする予定。
リニューアル期間中は、同館の事務所が区本庁舎内に移る。「休館中も区民とのつながりを残したい」(渋谷区産業観光文化部文化振興課・中嶋哲也課長)として、改装中は本庁舎1階の展示スペースで「企画展やパネル展なども開いていく予定」だという。
文学館を文化総合センター大和田内への移転については、「大和田には図書館があり、文学館との連動性が持てると考えた。一緒に何かを企画したり、施設同士で誘導し合ったりもできれば」と話す。まち歩き講座や学校への出張講座なども続けていく。
改装は2027年2月28日までを予定。