Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月27日、大阪エヴェッサに勝利し連敗を8で止めた。会場は青山学院記念館(渋谷区渋谷4)。
19得点10リバウンドをマークしたジョシュ・ホーキンソン選手
連敗している中でも「(今月21日の試合は)やらなきゃいけない部分をある程度出せた。今日もそれをしっかり出していこう」(田中大貴選手)と臨んだこの日。立ち上がりから簡単な得点を許さない好守を見せると同時に、連続3ポイント(P)シュートで流れを引き寄せ一時10点差をつける。
ミスからの失点もあり18-14で迎えた第2クオーター(Q)は、中盤で逆転を許す。この日はコンディションが万全ではない中、「『出場したい』と言ったので、プレータイムを制限した」(ゾラン・マルティッチアシスタントコーチ(AC)と言うベンドラメ礼生選手が、オフェンスリバウンドに飛び込むハッスルプレーで得たフリースローで得点を動かす。
ドンテ・グランタム選手がフリースローを1本外した場面でファンをあおるしぐさを見せたマルティッチAC。「母国スロベニアでは試合はとても感情的で、人々は感情を表に出す。日本人のように隠せたらいいと思う時もあるけれど。ドンテもサポートが必要だったと思うし、あの瞬間は重要な局面だった」とその意図を明かした。ファンの声援を受けたグランタム選手はフリースロー1本を落ち着いて沈めたほか、終盤には好守からの速攻でバスケットカウント(得点に加えフリースロー1本)を決めた。3分強得点を許さず、32-31と逆転し前半を折り返した。
後半序盤は、リバウンドで攻撃をつなぐ場面が随所に見られ、「たまたま(ボールが)回ってきた」田中選手や野崎(崎はたつさき)零也選手は3Pシュートを沈め仲間のプレーに応えた。58-50で迎えた最終Q。ジョシュ・ホーキンソン選手がバスケットカウントで3Pシュートを沈めるなどして2桁リードを奪う。終盤に4点差まで詰め寄られるが、確実にフリースローを沈め、守備では各選手が連動した動きで得点を許さず、73-65で勝利した。
この日は、ホームタウンの渋谷区の花「ハナショウブ」の紫色のユニホームで戦ったSR渋谷。「正直、そこに気がいかないくらい余裕がないというか(苦笑)。でも、似合っていたらよかった」と触れた田中選手。「(連敗の)流れを切ることができたのは大きい」と勝利を喜びつつ、「たぶん、ファンの皆さんが最初に期待していた位置にいるかといったらそうじゃないと思う。自分もこの順位が本当に自分たちの力だとは思っていないので、プライドを見せないといけない。個人としてもそうだが、自分たちで自分たちの価値を落としたくない。難しい状況が続いている時にどれだけタフに戦えるか、連勝するのは難しいが、いい準備をしてチャレンジしたい」と続けた。
「ディフェンスで勝ち取った勝利」と振り返った田中選手は、自身も含め随所で好守が見られたが、「個人の努力だが、もっと激しくいかないといけない」と評価。その一例として、体重差30キロ以上ある選手をマークした狩野富成選手について、「自分ももっとファウルを使ってもいいと言った。中に入ってボールをもらわれたらどうしようもできないので、もっとスマートにできればもっといい展開になるのでは」と続けた。
発熱で欠場したカイル・ベイリーヘッドコーチに代わり指揮を執ったマルティッチAC。選手や他のコーチ陣をたたえつつ、「カイルコーチが準備した戦術や戦略を引き継いでやった」と言う。田中選手は「試合をしているのは僕らだが、裏でずっとミーティングやスカウティングをして、自分たちよりもっとハードに休みなく試合に向き合ってくれているコーチングスタッフの努力はもちろん知っているので、なるべくそれに応えたい。コーチングスタッフが素晴らしい仕事をしてくれた」と感謝の言葉を口にした。