映画監督ペドロ・コスタさんの特集上映が11月27日、東京都写真美術館・1階ホール(恵比寿ガーデンプレイス内)で始まった。
コスタさんは、1958年ポルトガル生まれ。1989年に「血」で長編デビュー。2014年に「ホース・マネー」でロカルノ国際映画祭最優秀監督賞を、2019年には「ヴィタリナ」同祭でグランプリに当たる金豹賞を、それぞれ受賞。アントン・チェーホフの戯曲「三人姉妹」に着想を得た短編ミュージカル映画「火の娘たち」は、2023年のカンヌ国際映画祭で特別招待作品として上映された。
同館は総合開館30周年記念の一環で現在、コスタさんの個展「ペドロ・コスタインナーヴィジョンズ」を地下1階で開催している。コスタさんが「深い影響を受けた」というスティーヴィー・ワンダーさんのアルバムと同じタイトルの同展では、コスタさんの作品に登場する人物や、彼らが生きる場所に関わる映像作品などを紹介している。
特集上映は、同展に合わせて実施。初期作品~最新作の11プログラムを上映(日本語字幕付き)する。
長編デビュー作の「血」(4Kレストア版)をはじめ、フランス人俳優で歌手のジャンヌ・バリバールさんの歌手としての活動を映画にした「何も変えてはならない」、ポスロガルニクラスアフリカからの移民の歴史と記憶を、一人の男の人生の終焉(しゅうえん)とともに虚実交えて描いた「ホース・マネー」など。
初公開時の35ミリで上映する「ヴァンダの部屋」(2000年)は、かつてリスボンに存在したスラム「フォンタイーニャス地区」で再開発が進むなか暮らす家族を中心としたアフリカ系移民の暮らしを撮り、カンヌ国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で入賞した作品。 「火の娘たち」は、「あなたの微笑み(ほほえみ)はどこに隠れたの?」の未使用カットから成る6つの場面で構成する嬉遊曲「六つのバガテル」など3作品の短編集で上映する。
会期中にはアフタートークも予定する。今月30日には、コスタさんがオンラインで参加する。
展覧会チケット提示で鑑賞料1,000円。12月7日まで(同1日は休映)。